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19話目です。
誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・
戦闘は苦手です・・・
「えーっとこれは・・・」
ソウは、レイがフライブを狩っている横で、小島のあたりに咲いているタンポポのような黄色の薬草を摘んでゆく。
根が今まで採っていたナルソスよりも太く、なかなかに抜きづらい。
「アニス、中級ポーションの材料かぁ。これで調薬上げていけるな」
この周辺はこちらに襲ってくる魔物がいないので、安心して採集できる。レイもこちらをたまに見る程度で、注意はしない。シルバーはソウの近くで待機してはいるが、暇そうだ。
だんだん作業じみてくるレイの狩りに、ソウが声をかけた。
「どんな感じ?」
「減ってはいるが、完全殲滅となるといつになるかは・・・倒してもどこからか流れてくる気がする」
一旦槍を引き、採集していたソウの元へ戻る。
「どっかに沸き場でもあるのかな」
「殲滅は一旦中断して、湖を調べてみるか?」
「魔結晶の流れはあんまり変わったとこなさそうだけど・・・」
「北側から流れてきているようだから、そっちに向かってみるか」
ソウたちは北側ー魔都から離れた側の湖の湖畔に向かう。たしかにフライブの群れが魔都側よりは多いようだ。
湖は小高い山に囲まれている。
ちょうど北側の湖畔につくと、ソウが難しい顔をしていた。
「どうした?ソウ」
「・・・急に魔結晶の流れが変わった。あの奥の、ちょっと行ったとこ。あそこが異常に淀んでいる」
「ここからだと奥が見えないな。もう少し近づいてみるか」
距離をすこし詰め、のぞき込んでみると。
奥の窪地に、大量のフライブがいた。
そして、ソレに守られるようにして人型の、背に昆虫の翅が生えている複眼の女が佇んでいた。
「・・・あきらかにアレが原因だな」
「っていうかあれって『名前持ち』じゃんか・・・こんな魔都の近くで見ることなんてあるのかよ。ここら一般人だって来るんじゃないのか?」
ひそひそと小さな声で話していたつもりだが、気づかれたようだ。
「・・・ヤバッ!」
こちらを見た瞬間、レイが素早く槍を抜き放ちソウの前に立つ。
条件反射のようにソウがレイに強化魔法をかけた。
「ライフ、プロテクション」
レイを強化した後は自分とシルバーにも掛ける。
フライブのネームドはその白く細い腕を振り上げる。
一斉に周りのフライブたちが襲い掛かってきた。
「殲滅する!ソウは動向を見て何かあるようなら教えてくれ」
「わかった!シルバー、レイを手伝ってくれ。範囲に巻き込まれないようにな」
言われるとすぐに弾丸のように飛び出す。レイの範囲スキルの間をぬって、もれたフライブを確実に倒してゆく。
ソウはレイとシルバーに補助を切らさないようにしつつ、ネームドを注視した。
(『フライブクイーン マギサ』か、魔法師だな。取り巻きが多すぎる。レイの槍が当たれば倒せそうだけど、周りを何とかしないとどうしようもないな・・・魔法タイプってことは・・・)
取り巻きが半分になった時、ネームドの動きが変わる。
佇んでいただけだったのが、背の翅を羽ばたかせる。
周りの魔結晶エネルギーが収束していく。
「範囲魔法!!!」
ソウが叫ぶとレイとシルバーは条件反射のようにその場から飛びのき、ソウのもとへ走る。
戻ってきたのを見て即時バリアスキルを掛けた。
「コールドプロテクション!」
バリアが展開されると同時に着弾する、周りを引き裂くかまいたちのような風魔法。
何とかバリアで耐えきると、レイとシルバーが一気に突っ込んでいった。
「取り巻きの沸きパターン、もし無限だったら一回戻ってきてくれよ!」
あと1歩踏み込めば、女王に攻撃が届きそうだがフライブが邪魔をしてくる。
フライブが3分の1ほどに減った時、また女王が風魔法を放ってきた。
風魔法を放つモーションは一度見ているので、声掛けなくとも食らわない。
「増えないな、取り巻き」
「ならば収まったら突っ込む。雑魚は範囲で巻き込む」
「りょーかい」
もう一度強化魔法をかけなおし、持続回復してゆくスペルを掛ける。
風魔法が収まると、レイとシルバーは女王に向かっていった。
シルバーは取り巻きを中心に、レイはネームドに集中する。
さすがに等級が高いからか、なかなか斃れない。
しかし幸いにも、周りのフライブがいなくなってもまた召喚されることがなかった。
ソウも取り巻きが消えた時点で攻撃に参加する。
「雷!」
天空からのいかづちに打たれ、一瞬の硬直。
そしてレイの槍が女王の体を貫き、シルバーの牙が喉笛に食らいつく。
そのまま、女王は光となって消えていった。
「ふー。おつかれふたりとも」
「ソウ、戦闘補助助かった」
「わふ」
シルバーが落ちていたドロップ品を拾ってきた。
七色の翅。
受け取って鞄にしまうと、シルバーをひと撫でして言った。
「原因も斃したし、残り殲滅して報告かな」
「・・・そうだな。頑張るか」
ソウも採集をせず、残りのフライブを作業のように3人で狩りまくるのだった。
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