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2話目です。
誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・
蒼士さんの探検開始です。
さらりと髪を吹き抜けてゆくからっとした風。
ふんわりと薫ってくるのはみずみずしい緑たちの香り。
そして、肌に感じるのは柔らかな草の感触・・・。
「・・・」
もうダメかも、と思って意識がブラックアウトした。それは覚えている。自分はたしかにこちらに向かってくるバイクを見た。
ならばここはいったいどこ?
見渡す限りの緑の丘と、見たことのない花々。
昼とも夜ともいえぬ明るさの空、遠くに見える山々。
自分が今までいた場所とはあきらかに違う。
蒼士は鈍く痛む頭を振って、メガネをかけ直して辺りを見回した。
「いったいココはどこなんだ・・・?!」
混乱する自分を落ち着かせるため、もう一度頭を振り呼吸を整える。少し落ち着きを取り戻すと、立ち上がった。
(とにかくココが何処かわからないことには・・・)
蒼士は町や人を探し始め歩き出した。
舗装はされていないが、人が歩く場所なんであろう土むき出しの場所を道なりに進んでゆく。しかし行けども行けどもずっと同じような風景が続くばかりで、街はおろか人の影さえ見当たらない。人の影どころか、こんなに自然豊かな場所なのに生き物の気配がないのが不安感を煽る。
穏やかな気候、見渡す限りの草原。
見たことはないがささやかでも美しい花々や、鳥や小動物たちが喜びそうな木の実のなった背の低い茂み。
かなりの距離を歩いたが、スズメなどの小鳥さえ見ない。
警戒しながらもさらに進んでいくと、さらさらと透明感のある音が耳に入ってくる。
自然に早足になり、開けた場所に出ると。
「小川・・・か」
そこまで川幅は広くはないが、あきらかに人の手で作られたであろう小さな橋がかかっていた。遠くない距離には湖が見える。
そこで蒼士は奇妙な既視感を覚えた。
(この風景、どこかで・・・?)
慌てて湖に向かってゆく。はっきりとその姿が見えてくると、だんだんと蒼士の歩みが遅くなってゆく。
深く碧い湖には淡い桃色の蓮の花が咲き、薄桃色のグラデーションが美しいフラミンゴのような、しかし立派な冠羽の背の高い鳥が水中をついばんでいた。
蓮のような花のほかに、まるで色とりどりのビー玉がつるされたような草花らしきものもある。
蒼士は、たしかにこの風景を知っていた。
愕然とその湖を見つめてつぶやいた。
「Astleyer fantasy・・・魔界の、初期マップ・・・」
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