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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
2 魔都バルディウム
19/68

17

18話目です。

第2章です。誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・

本格的にパーティとして動き出します。

移動師で飛び目を開けると、目の前には大きな橋。

明るく舗装されたその道は、商店街につながっていて今までいたイスハルとは大違いの騒がしさだ。

行き交う人々、道端で会話を楽しむ者たち。

商店街を抜けた先には広場があり、大きな噴水と美しい蓮のような花が咲いた池があり、カフェや露店が立ち並ぶ憩いの場となっている。

その先に進んでいくと、警備兵の詰め所や高級住宅街、その逆側は酒場などがある。


ここは魔都バルディウム。

魔族の首都である。


「しばらくはここを拠点にするんだろ?」

「ああ、まずは情報が集めやすいだろうからな。とりあえず当面は資金調達がてらギルドの依頼をやりつつ、情報を集めていこう」

遠目にも目立つ真紅の髪と、背が高く目つきの悪い、背に槍を背負った銀髪の二人組。

真紅の髪の方は神道士系防具に身を包んでいる。

二人の傍らには、美しい毛並みのウルフが寄り添っていた。


ソウとレイは、覚醒後すぐに魔都へ飛んだ。

装備はヴェルの家にあった中古の物を譲り受けた。

当面はこの装備で何とかするにしても、買い替えが必要になるころまでにはまとまった金を稼げるようにしたい。


そこで、覚醒人たちが登録できるギルドへ登録、そこで出される依頼をこなしながら資金をためるという話になったのだ。

「まずは金だよな。拠点にするにしても宿か家借りるんだろうし、俺のポーション売るにしたって微々たるものだからな。早く調薬上げてもっと上の薬作れるようにしなきゃ」

「ギルドの等級が上がれば必然的に上の依頼を受けて、金回りがいいものを選べるようになる」

レイは酒場方面に進んでいく。

ギルド等級が上がると、格安で家を買ったり借りたりもできるのだが、初めのうちは宿でというのが一番金のかからない方法のようで、まだ等級の低いものは大抵この酒場通りの宿を借りているそうだ。


酒場を過ぎて少し、広場が見えるあたり。

『銀の猫』と書かれた看板の宿に入ってゆく。

「すまない、部屋を借りたい」

カウンターに声を掛けると奥から、ショートカットのスレンダーな女性が出てきた。

藍色の髪は額を出し、細かい編み込みできっちりとまとめている。

オレンジがかった茶色の瞳はつりあがっており、静かな身のこなしと相まってまるで黒猫のようだ。

「はぁい、・・・今一人部屋と二人部屋どちらも空いてますよ」

ハスキーな声で告げながら、台帳のようなものをこちらに向ける。

「二人部屋を。あと、ウルフが一緒なのだがいいだろうか」

「うちは部屋に入れる大きさなら何連れてても構いませんよ。二人部屋ね、鍵を持ってくるので記帳しててくださいね」

そう言って奥へ引っ込み、レイが記入している間に鍵を持って出てくる。

「レイさんとソウさんね、一緒にいるのがシルバーくん、あたしはミーシャ。この宿はあたしともう一人でやっているので、何かあったら遠慮なく言ってくださいね。ご飯は朝のみ、昼夜は言ってくれれば出すけど別途料金がかかります。部屋はそこの階段上ね。一番手前が二人部屋です」

チャリン、と鍵を渡される。

「滞在予定は?うちとしては暇だし、いつまででもいいですけど」

「とりあえず1か月ほど」

「新人さんだよね、いきなり前払いは厳しいだろうから、その日の朝にその日分でどうでしょう。1泊は二人で800コニー」

「助かる。では今日の分を渡しておく。よろしく」

ごゆっくりー、という声に送られて3人は階段を上がっていった。


階段を上がると、部屋は3部屋。奥のふたつは一人部屋のようだ。

鍵で開けると思っている以上に居心地がよさそうだった。

突き当りには大きめの窓。その左右にベッドがふたつ。大きさは、セミダブルほどだろうか。レイが寝ても足が出るようなことはなさそうだった。

真ん中にはふたり掛けのテーブル。ベッドに挟まれてはいるが、ゆったりと座れそうだ。

入り口に入ってすぐのところには、簡易キッチンまでついていた。

「あたりだったな」

「なに、レイ。知っててここに入ったんじゃないんだ?」

「あたりまえだ。今は(・・)バルディウムに来たのだって初めてなんだぞ」

「まぁそうか。今日はこの後どうする?」

ソウがベッドに横になったまま尋ねると、シルバーを撫でながらレイは考えていたようだ。少し間をおいて答えた。

「ギルド前で掲示板をチェックして、よさそうな依頼があれば受けておこう。ソウは調薬ギルドを覗いてくるか?」

「んー。この辺でなにが採集できるか知りたいな、まずは」

「じゃあ掲示板を見に行ってから、外の様子を見に行くか」

「まずは少し休憩しようぜ」

ソウが鞄から紅茶の葉と、ジャムを取り出した。



「採集もかねてとなると、あるなら魔都周辺の討伐依頼が良さそうだな」

「移動日だし、魔都の様子ももう少し見たいから遠出は今の時間だと厳しいかな」

時計はちょうど14時をさしていた。

ゆっくり紅茶を飲み、後片付けを済ませる。

「行くか」

蒼士たちは鍵をかけ、受付奥に出かけることを伝えて宿を出た。



掲示板は広場の前のギルド本部の入り口に立ててある。どんな仕組みなのかはわからないが、紙が張ってありそれをはがして受付へ、というシステムではなく、掲示板上に流れている文章にふれると、それが選択され詳しい条件などが見れるようだ。

ソウは思わず呟いた。

「スマホかよ」

「何か言ったか?」

「いや」

「ん、これはどうだ?」

レイがふれると二人の前に画面が開かれた。


『バルディウム警備隊

討伐 湖周辺のフライブ

魔都のそばにある湖でフライブが大量繁殖。討伐のほかになぜここまで繁殖したのかわかるようなら調査をしてほしい。


報酬 討伐のみ3千コニー

調査込みの場合詰め所にて報告を聞いた後別途報酬』


「これって結構破格?討伐だけでも3千て、今の宿3泊分じゃん」

「数がすごくいるのかもしれないが、フライブは襲ってはこないからな・・・ある程度固まってくれていれば、範囲で一掃できる。湖の広さもそこまでではないから、夜までかかることもないだろう」

とん、と画面をタッチするとピピッとという音とともに消えた。

(こんなに現代風だと思わなかったけど、これだとわざわざ受付に行く手間もないし、楽でいいよな)




依頼のあった湖は、魔都を出てすぐにところだった。

透明度の高い、底まで見えるような美しい湖。

遠浅なのか、湖の中におりたって鳥たちが魚をついばんでいる。

そこここに足場のような小さな島があり、その低い木のそばに、白い体に青い目の蠅のような魔物が何体かずつ群を作っているのが見えた。


お読みいただきありがとうございます。

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