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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
1 転移、出会い、覚醒
14/68

13

14話目です。

誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・

やっと物語が動き出した感じです。

駐屯地は村などと違い、平地に櫓やテントを立てたような簡素な作りだった。

ただし櫓は立派なものが2つも立っている。

「ここは獅子族(ラティノス)の村と一番近い偵察場だ。警戒の体制はかなり厳しく、常に誰かがあの見張り台から様子を見ている。ここから道なりに進んでいくと、すぐに村の入り口だ」

「そこに子供がいるってことか?」

「おそらくは。ここに手がかりがあるということはそうなんだろう。最悪の事態になっていなければいいが・・・」

レイは見張り台の手前に立っているスキンヘッドの男に声を掛けた。

「ドゥバン」

「レイじゃないか。やはりこの件では村の精鋭のお前を出してきたか・・・っと誰だそのお嬢ちゃんは」

その言葉にかなりむっとした蒼士。

蒼士はもともと容姿について触れられるのが好きではなかった。母親にそっくりでかなりの女顔だからだ。なのでいつも髪で目を隠しているのだが、さすがにこの世界で視界を狭くするのは自殺行為だと思い、わざと目にかけていた髪はレイと小屋を出るときから流している。

「占い婆の所で合流した」

「占い婆?!そりゃあかなりの能力者なんだろうな」

「そんなところだ。ところで、情報はどうなってる」

レイがうまく話をそらしたのと、たたかれた肩の体温で少し落ち着いた蒼士は、シルバーを抱いて後ろでおとなしくしていることにした。

「実はさっきわかったんだが、どうやら獅子族の村のさらに奥にある、渓谷の先の洞窟に荷車を運んでいる奴隷を見たそうだ。中身は見えたわけではないが、荷の大きさから子供であってもおかしくないとのことだ」

「やはり獅子族がからんでいるのか」

「今まではさらって村で置いていたんだろう。それがさらに奥へとなると、何かの儀式関連かもしれん」

ドゥバンは難しい顔で腕を組んだ。

「早く追わねばまずいことになりそうだな」

そういってレイはすぐに移動の準備をする。蒼士とシルバーにも声を掛け、村に情報の伝達を、と言い残し駐屯地を後にした。



「悪かったな、ソウ」

「ん?」

「ドゥバンはかなり軽くてな・・・ああやって何も考えずすぐに口に出すんだ」

「レイがうまく言ってくれただろ」

俺、今は絶賛役立たずなのに、と続ける。

「還り人なら絶対に適性は現れる。占い婆も言っていたがこうして行動しているだけでもそれが刺激となるかもしれない。決して焦るな。オレとソウ、もちろんシルバーも、仲間だろう」

気にするな、と言う。

そうは言われても、やはり蒼士としては焦ってしまう。この先に進めば進むほど、敵の密度は濃くなり、先ほどのように見つからないように進むことなどできなくなる。なにがしかの適性が現れて自分も戦闘に参加できれば、どんなにレイやシルバーが楽になることか・・・

村の入り口が見えるところで一旦止まり、偵察に見つからないように草木になじむように息をひそめる。

「ここからは先ほどのようにはいかない。戦闘は避けられない。獅子族は普通の魔物とは違う。いわゆる『亜人(あじん)』だ。理性も考える頭もあるから、連携や戦術を使ってくる。シルバーは攻撃よりできればソウを守ってくれ」

そして入り口に立つ二人の偵察を指さし。

「あの偵察を倒したら、まっすぐに渓谷へ向かう。渓谷に入るには切り出し石の洞窟を通るが、ここに偵察や兵士がいないことはわかっている。ここまで止まらずに進むから、後ろからついてきてくれ」

ソウとシルバーがうなずいたのを見ると、レイはいくぞ、と低く声を掛けて走り出した。



不意打ちに近い襲撃に、偵察はなすすべもなくレイの剣技に沈んでゆく。

しかしその先からは獅子族の密集地帯なうえ、侵入が知られているので敵は次々襲い掛かってくる。

レイはほぼすべての獅子族を、一刀で倒していった。

(精鋭っていってたよな。強いはずだよ)

蒼士はシルバーとともに遅れないようにレイについていく。レイが獅子族の戦士を相手にしていた時、櫓の上から弓を引き絞っているのが見えた。

「レイ、上だ!」

相手を切り捨て、すぐに剣を鞘にしまい、目にもとまらぬ速さで腰の鞄から弓を取り出し速射した。

矢は櫓の上にいた弓師の腕に当たり、弓を取り落とす。

「助かった」

すぐにまた剣を抜いて先へ進んでいく。

(レイってまだ未覚醒だよな。なのに剣士で弓が使えるってどういうことだ?やっぱり何かのずれがあるのか・・・)

村の中にいた獅子族は数が少なかったのか、想定より戦闘は多くなかった。全員けがもなく渓谷への洞窟にたどり着き、少し奥まったところでいったん止まった。

「レイ、めっちゃ強いな」

「・・・他の魔族と違って異様だといわれる。大した訓練もしていないのに、村についてすぐ色々な剣技が使えた。オレは記憶喪失で、この村にくる以前の記憶がない。剣士で弓が使えるのもおかしいが、村にいるときからなぜか使えたんだ」

「やっぱ弓を覚醒前に使えるのはありえないのか・・・知識と違うから、びっくりした」

蒼士は鞄の中からヴェルに貰った紅茶を出し、レイにはカップに入れて、シルバーにはミルクを深めの皿に入れて渡した。

「占い婆には、オレの過去に理由があるといわれた。ソウと一緒に旅をすれば、いつか分かるだろうと」

「え」

そんな話になってたのか・・・

「とにかく、今は子供たちを助けることが先決だ」

「そうだな」

二人と一匹はつかの間の休憩を終わらせ、洞窟の外へと出ていった。


お読みいただきありがとうございます。

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