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13話目です。
誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・
旅の道連れ、3人?パーティになりました。
そばの小川で拾ったウルフを洗ってみると、少し暗めの銀色なのが分かった。ウルフ系にはない毛色である。瞳の色も珍しいらしいアイスブルーだった。
「ファングウルフにしては毛色が全く違うな」
「結構細かい傷もたくさんあったし、それが原因でいじめられていたのかも。それにしても洗ってみたら綺麗な毛色だな!灰色に近いけど、光が当たると銀色にきらきら光る。お前の名前はシルバーでどうだ?」
蒼士がぶるぶる水をはらっているウルフに告げると、あう!とまだ幼い鳴き声で答えてちぎれんばかりにしっぽを振った。
シルバーは先ほどまで小さく震えていたのがウソのように、嬉しそうに二人の周りをまとわりついて走り回っている。
「シルバー、これから先に出るモンスターはこちらを見れば襲ってくる。必ずソウのそばにいてもらうことになる。お前の仲間も出る。それを倒さないとならないが、いいのか?」
暗に戻るなら今のうちだと伝えるレイだが、シルバーはじっとレイの顔を見つめた。
「シルバー、わかってるみたいだ。賢いな」
「普通魔物の類はひとの言葉は理解しない。だからこそのモンスターだ。確かにシルバーはさっきのソウの名前に関しても返事らしく吠えたし、何かが違うのかもしれない」
「主だったりして、実は」
きょとん、と二人を首をかしげてみているシルバーを思わず蒼士は抱き上げ、顔をこすりつけた。
「そうだとしても俺たちは一緒だよ。なんてもふもふでめんこいんだああぁ!」
でれでれの蒼士に少し苦笑してレイが出発を告げた。
しばらく歩いていくと少し高くなっている場所が見えた。そこを超えるといよいよアクティブモンスターの領域だ。
それを察してか今まではあまり離れない程度だが自由に歩いていたシルバーは、蒼士のそばにぴたりとついた。
丘から先は、今までの穏やかな森の風景とは全く違っている。
砂地が多く、若干荒れている。
背の高い木々はなく、背の低い草がぱらぱらと生えていた。
その草を食む大きなヌーのような動物に襲い掛かってゆくこげ茶の毛皮を持ったウルフ。
その向こうにはけぶってはいるが、船らしきものの帆が見えた。
「ここから見える2本の見張り台、あそこが駐屯地だ。見ての通りウルフの生息地の真ん中を通ることになる。しかし距離をとれば問題ない。奴らは索敵能力は低いんだ。なるべく避けて通るルートを選ぶが、時間はかけたくない。切り捨てたほうがいいものは倒していく」
「わかった。シルバーも、離れないでな」
はたり、と尻尾を振ることで答える。
もうじき駐屯地につく、その時に事は起こった。
蒼士の真後ろに急にファングウルフが沸いたのだ。
真っ先に動いたのはなんとシルバーだった。
「グアウッ!」
素早く蒼士の横から飛び出し、ファングウルフの首に牙を立てる。
しかしやはり力が足りないのか、それだけでは仕留められず逆に爪がシルバーの体に迫る。
「シルバー!」
「離れろ!!」
蒼士の後ろから剣の柄に手を掛けたレイが叫んだ。
その声に、シルバーは牙を離し、蒼士のほうへ飛びのいてゆく。
それとすれ違いざまに、レイが剣をふるった。
ザンッ!!!
まさに一閃。
これがゲームならオーバーキルだろう、とてつもない剣技だった。
(覚醒前でウルフ一撃死って・・・)
「大丈夫か?」
何事もなかったようにレイが蒼士とシルバーを見た。シルバーはレイの周りを走ることで示し、蒼士も意識を戻してうなずく。
「まさか真後ろに現れると思わなかった。シルバーがいなきゃ俺、大けがどころじゃすまなかったかもな」
シルバーを抱き上げて感謝するようにわしわしと撫でる。
「駐屯地はすぐそこだ、このまま急ごう」
二人と一匹はそのまま目の前の駐屯地に入ってゆく。
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