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23:今際の際の夢
陽菜は朦朧とした意識の中で、周りに幾人かの声を聞いた。
「これが、〈無限霊力炉〉ですか。まだ小さな女の子なんですね」
「ええ。ですが、霊力の強さは相当のものです。彼女が、体のどこか一箇所でも霊力を消費できたなら、それだけで兵士千人分の兵力にはなったはずです」
「それはそれは…………、また、なんといいますか」
ああ、と陽菜は思った。これから、自分の体から色々なものが取り出され、色々な人間の体の一部となっていく。もうそれでもいいや、とも思った。どうせ、自分に残された抵抗の術はない。楽しい未来を思い浮かべるだけ、辛くなるというものだろう。
陽菜は今度こそ、自ら、眠りに落ちた。




