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01-08 冒険者と探索者

成人の儀を終えて、晴れてケンジーは公式にも一人前となった。

戦士としても、成人の儀の直前に父から「一流にも引けはとらない、一人前と認める」と伝えられた。

もっとも親の欲目がないとは言い切れない。なんといっても親バカだ。



    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



ケンジーが成人になってすぐに行ったのは、もちろん冒険者ギルドへの登録だった。

予想と少し違っていたのは、フィールドワークの冒険者と迷宮探索専門の探索者と2種類に区分けされていたことだ。

それぞれにA~Gの7ランクがあるが、必要とする知識や技術が異なることもあり、大抵はどちらかに偏る。

父親の話によると、双方共にCランク以上になった者を特に“オールラウンダー”と言い、尊敬の対象となっているとのことだった。


ということは迷宮を討滅して貴族となった父親は、厳密には冒険者ではなく探索者だということになるのだろう。


ちなみにランクの意味はだいたいこうなる。


A:英雄(基本的に不在。世界を救ったとかしないと無理)

B:超一流(世界で10人とか言うレベル)

C:一流(普通に尊敬されるレベル)

D:上級(ベテランに多い)

E:中級(一人前と見做みなされる)

F:初級(見習いを卒業した駆け出し)

G:見習い(新米、ぺーぺー)


魔術師でEランクなら冒険者でも探索者でも引く手数多あまたということになる。

だが、よく考えてみよう。

戦士としてEランクになった自称(・・)魔術師。

胡散うさん臭いことこの上ない。


自分の先行きが明るくならないことに溜息が出るばかりのケンジーだった。



    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



冒険者と探索者について、もう少し詳しく解説しよう。


実は冒険者と探索者のランクの意味は異なる。

冒険者のランクは実力を指す、誰にでも解りやすい目安だ。

持ち込まれる依頼の難易度をギルドが吟味し、冒険者の実力に合わせたランク付けをして対応する。

ランクに対してギルド内外に共通の認識を与える。すなわち“ランク=実力”だ。

冒険者のランクは、ギルドと依頼者からの信頼のランクと言える。


対して探索者ランクは貢献度で決定される。

探索者は、迷宮のどこまで深く潜ろうが自己責任で済まされる。

ランクが低くとも、深層まで潜ろうが誰にも文句は言われない。

もっとも実力も無いまま深く潜れば生きては戻れないのは当然だ。


閑話休題。


迷宮の(・・・)モンスターを倒すと、必ずそのモンスターの強さ、攻略難易度に対応した大きさ、魔力濃度を持つ魔核と言われるアイテムが手に入る。

その魔核はギルドだけが買い取り ―ギルド外で売り買いすると重罪となる― 各魔核に対応した貢献度ポイントが探索者に与えられ、その累積ポイントでランクが決まる。

極端な例を言えば、安全な浅いところでも、長く続ければランクは上がるのだ。

もっとも、それでは一生を費やしたとしてもEランクが精々なのだが。


見方を変えれば、ギルド側が安全マージンを取る冒険者への依頼に対して、より実力主義な迷宮探索とも言える。


どちらにしても、一流と言われるCランクになれるのは一握りの実力者だけであり、“オールラウンダー”とは同業者からも畏怖と尊敬の眼差しで迎えられる特別な者のことなのだ。


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