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執行者 ~チート嫌いなチート使い~  作者: みやすのりか
第六章 トロールの王
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06-04 トロールとの接触

二人の美女は、名をエステルとジョエルと言った。

やはり双子だそうだ。

エルフの双子は珍しいらしい。

プラムがこっそり教えてくれた。


定番だがエルフは人間を良く思っていない。

人間は森の破壊者と言う認識だからだそうだ。

従って普通は会話もままならないものなのだが、ケンジーは二人を助けたこととプラムを連れていることで特例とされた。

“妖精は誠実な者に懐く”と言うのは種族を超えた世界共通認識のようだ。

プラム様々であった。



「――それで、何を揉めていたんだ? 縄張り争いでもあったのか?」


「違うわよ。 ええと――」


「Soeur, il est fort. Demandez-leur de coopérer parler de la situation.」



会話をしているエステル(姉)が言い淀むと、ジョエル(妹)が何かを告げた。

瓜二つの双子だが、なぜかケンジーには見分けが付いていた。



(これも代行者の能力なのかね?)



無論、そんなことは無い。

ケンジーの無意識下による観察の結果である。

本人たちですら意識していない僅かな癖などから判別しているだけだ。



「……Cela a été trouvé.」



そんなことを考えていると、溜息を吐きながらエステルがジョエルに頷いた。

そして何かを決意した顔でケンジーに向き直る。



「ケンジーさん、初対面で不躾ですが、折り入ってお願いがございます」



――また随分と難しい言い回しを知っているなあ。

ケンジーはそんな場違いな感想を持っていた。



  ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



エステルは彼女たちエルフの事情を話してくれた。

時折、ジョエルもフォローを入れたり相槌を打っていた。



(ジョエルも人間の言葉を話せたんだな……)



そんな暢気な感想を抱きつつも、ケンジーは真面目に話を聞いた。

その内容は、ざっくりと言ってしまえば、

エステルたちエルフの集落の中心に聳え立つ世界樹に枯れる兆候が見えると言うものだった。



「寿命じゃないのか?」



普通に持つだろう感想を述べてみた。



「違います。 知られていませんけれど、世界樹は細かな代替わりをしながらその姿を維持しているのです。 つまり――」



世界樹は一本の大樹に見えて、実は複合体なのだと言う。

寿命を迎えた部分は都度代替わりをして永遠を保つのだそうだ。



「その枯れるって言うのは全体が枯れると言うことか?」


「はい、そうです」


「原因は?」


「分かりません。 長老は過去にこのようなことは無かったと言いました」



それでケンジーにはもう話が読めていた。



「目的はトロールの秘宝。 世界樹の延命を願うつもりか。 つまり原因不明の元をトロールの秘宝を使って排除しようと言う訳だな?」



ケンジーの言葉にエルフの双子は言葉を失う。

驚愕の表情で固まってしまった。


数瞬の後、再起動したジョエルがケンジーに問う。



「あなたの狙いもトロールの秘宝と言う訳?」


「確認しに来ただけのつもりだったんだが、そうも言っていられなくなったようだな」


「……あなたとは敵対したくないわ、協力してもらえないかしら?」


「あれ、それは随分買ってもらったもんだな」


「私たちには後が無いの。 一緒に来た仲間たちは皆死んだわ。 生き延びたのは私と姉さんだけなのよ」


「お願いします! 協力して頂けたなら、私たちで良ければ何でもします!」



姉のエステルも復活し、ケンジーの説得に加わった。



「姉さんの言葉に嘘はないわ。 本当に何でもする。 奴隷になれと言うなら喜んでなるわよ」


(何でもと来たか……やばい、この二人めっちゃ好みだ。 ドストライクなんだよな)



そう、ケンジーは前世の記憶に引っ張られているため、女性の好みは自身(の外見)より年上になるのだ。

アンジェラやリリアーナは妹として愛でる分にはいいのだが、恋愛対象と言うには幼すぎたのである。


まあ、この二人はエルフなので実年齢は分かったものではないのだが、少なくとも外見は二十歳前後に見えて、いい感じなのだ。

スタイルもスレンダーだが、一部の小説にあるようなガリガリと言う訳でもなく、きちんとメリハリがあってケンジーからすれば十二分に高嶺の花なのであった。


――とは言っても、だ。

もったいないとは思うが、アレを放置することはできない。



「悪いが俺の目的は、そのトロールの秘宝を破壊することなんだ」



なんとか誘惑を抑え付けると、二人にそう告げた。



「Quoi?」


「エルフ語で言われても分からん」


「……本気なの?」


「ああ。 むしろこっちが聞きたいんだが、あれがどんなモノか知っているのか?」


「どんな願いも叶える究極の秘宝でしょう?」


「……その代償に心を蝕まれ、挙句の果てに怪物化することは知っているか?」


「Quoi?」



どうやらそこまでは知らなかったようで、二人とも絶句している。

すぐに回復したエステルがケンジーに問う。



「……本当なのですか?」


「つい先日、この目で見たばかりだ」



ジョエルが問うようにケンジーの頭の上に視線を向ける。



「本当だよ~、ケンジーがいなかったら今頃人間の街は一つ二つ無くなってたかもね~」



プラムの答えを受けて、二人は考え込んでしまった。

ケンジーは急かすことなく、二人の考えが纏まるのを待つことにする。



「さて、どんな答えを出すことやら……」


「ケンジーが助けてあげたらいいじゃない。 世界樹も含めて」



二人から離れた場所で休憩するケンジーとプラム。

むしろ、何で助けてあげないの?という顔でプラムが聞いてくる。



「俺はエルフがどんな連中かも知らないんだぞ。 安請け合いは出来ないな」


「そっか~」



そうして答えが出ないまま日が暮れた。


さすがに野営をする場所は選び、移動することにした。

野営の準備はケンジーが請け負った。

エステルが酷く恐縮していたが、気にしないで進めてしまう。


――今更だし、別にいいよな。

と言うことで自重せず、魔物除けの結界を張ることにする。



「本当に、あなた何者なの……?」



ジョエルに半ば以上呆れた目で見られたが、全力でスルーすることにした。


そして深夜を過ぎた頃、そいつは現れた。



  ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



「Hello, Pretty.」



場違いすぎる挨拶だが、言いたいことは分かった。

とは言え、まだ相手の出方を待つことにする。

――英語苦手だし。


トロールは、こちらの警戒を解くように、ゆっくりと姿を現した。

現れたのは確かにトロールだが、細身で少々痩せており、背の高い印象を受けた。

そいつは、きっちりケンジーに目を合わせて問うた。



「Who are you?」



やっぱり会話しなければダメそうだった。

諦めて覚悟を決める。

――英語は苦手だと言うのに。



「I Kenzie human. What are you?」


「I am troll. My name is Hawkeye. I am the brain of trolls.」



ケンジーのカタコト言葉に気を遣ったのか、ゆっくりと丁寧に言葉を紡ぐホークアイと名乗るトロール。

――なるほど、頭脳派ね。

そこまで考えたところでハッと気付く。



(……おいおい、通じちゃったよ。 どうしたもんかな)



言葉が通じるなら無理に戦うことも無いのではなかろうか。

そんなことも選択肢として有り得るのかもしれない。


会話が通じたことに気を良くしたのか、ホークアイは緩んだ表情で周囲を見渡した。

そして何かを見つけた。



「Oh!」


「なんだ?」



プルプルと震えながらエルフたちを指さす。



(しまった! 隠しておくべきだったか!)



二人は、淡々と会話をするトロールとケンジーに驚いて思考が止まっていたのだ。

隠れるなど頭になかった。


思わぬ失態に舌打ちしてしまうケンジー。

戦闘を覚悟しつつ、成り行きをを見守る。

だが事態は斜め上を全力で駆け抜けて行った。



「This is salads!」


「へ?」



そのまま、今度はケンジーの頭の上を指さす。



「This is sweet!」


「あー、えーとだな……」



ケンジーがどうしようかと躊躇しているうちに、指を刺された三人の口から悲鳴が漏れた。



「「「い~や~!!」」」





(あ、エルフって英語分かるんだ……)



相変わらず場違いな感想を持つケンジーだった。





 

そろそろタグを見直さないといけないかもしれない……

 

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