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01-02 人生ハードモード

その赤ん坊、男の子はケンジーと名付けられた。

前世の名前が研二だったのとは何の関係もない…はずだ。


ケンジーは慎重に観察することから始めた。

まだうまく目を開けられないので声や音を聞くことからだったが。



(何を言ってるのか全然分からねぇ…言語自動翻訳は異世界転生時のデフォじゃなかったのかよ)

(ハードモードだぜ。まずは言葉からかぁ)



いきなりやる気をがれた。

が、すぐに思い直す。



(いやいや、そういう異世界ストーリーが無かった訳じゃない。こんなのは想定の内だ)

(そうだ!他にやるべきことがあった!なんで忘れていたんだ、俺!)

(いいか?…いくぞ?)

(ステータス!)

(…………)



何も起こらなかった。



(なんてこった…そこまでハードだというのか)

(いやまて、口に出さないとダメなのかもしれん)


「ぅいぇゃふぃ(ステータス)!」



何も起こらなかった。


いや、厳密に言えば起きたことはあった。

お腹が空いてむずがっていると思われたのか、おっぱいを与えられたのだ。



(味は濃厚で美味いんだが、ちょっと生臭い…)



特に知りたくもない事実だった。



(赤ちゃん言葉じゃだめなのかも…いや現地語で言わないと効果が出ないのかもしれん)



研二、いやケンジーは諦めの悪い男であった。



    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



3年が過ぎた。


結果として、前世の記憶があるだけの、それ以外は普通の赤ん坊だったケンジーは、それを除けば多少成長が早いだけの子だった。


ちなみに現地語での“ステータス!”は不発に終わったとだけ記しておく。


その後の変化と言えば、妹が産まれたことくらいか。

アンジェラと名付けられた妹は、可愛らしかった。

前世でも妹が欲しかったケンジーはなついて欲しくて、それはもう甲斐甲斐しく世話を焼いた。

ちょっと両親に引かれるほどに。



そんな、ちょっと物足りないけれど充実した日々を送っていた頃。

徐々に自分の両親がどんな人物か分かり始めてきた。


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