表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
執行者 ~チート嫌いなチート使い~  作者: みやすのりか
第三章 オールラウンダー
25/77

03-01 迷宮の覇者

ケンジーは罠群迷宮を攻略し、成り上がるための足掛かりを手に入れた。


今回手に入れたモノはいくつかあった。

大量の宝物 ――成長した迷宮の宝物は、これの比ではないらしいが―― はもちろんのこと、探索者ランクは2段階上がりDランクとなった。

――――当面の目標だったCランクにリーチが掛かった。


家が永代の騎士爵になった。


領主に名を覚えられた。

――――付随して舞い込んだ縁談の数々には辟易としたが、これはまた別の話だ。


何より、念願の呪文スクロールが手に入った。それも四つもだ。

全て実用的で ――釈然としないものはあったが―― 品揃えは文句のつけようがないほど上々だった。


――――脚光を浴びる、それらの影で……手に入れたが、死蔵決定となったモノもあった。

一連の罠がらみの“技術”である。



「……やっぱり無駄になっちゃったね~」


「無駄じゃない。役に立った」


「え~? ケンジーの満足感以外になにかあったっけ~?」


「……くっ、最近突っ込みが辛辣になってきたな」

「ギルドで攻略方法を説明したろう。スクロールは最後に手に入れたんだ。それまでどうしたのかって疑問を持たれるのは分かり切っていたからな」



そう、罠など今後は呪文で攻略したい放題できる。

だが、今回はどう攻略したのか? 当然来る疑問だ。

“技術”で攻略したと事実 ―― 一部だけだが―― を告げるも、これもまた当然証明して見せろ、となる。


そこで証明に使われたのは、ギルドが用意した練習用の罠 ――罠群迷宮を参考にした最新型―― だった。

ケンジーは注目するギルド幹部と父親の目の前で、わずか数秒で解除して見せた。


その絶技に誰からも文句は出なかった。


ちょっと誇らしくなったのは内緒だ。

だが、その後は無用の長物と化した。

現実は無常だ。事実、今後出番はないだろう。



「それでも、ここに至るためには必要だったんだ」


「そうだね~、よしよし」


「……やめてくれ、慰めないでくれ……」



それが精一杯の強がりだった。



    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



両親を味方に付けるために領内の全ての迷宮を制覇する。

これは決定事項だ。

だが前回の罠群迷宮の時のように、遠征は必要になる。

そして、妹は不機嫌だった。


しかし今回は両親が妹を説得した。

さすがに家から日帰りで、とはあの両親でも言えなかったようだ。

だが、これは朗報だ。

両親の条件をクリアーすれば、妹の説得を任せられるという目論見が現実性を帯びてきた。



    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



領内に討滅の許可が下りている迷宮は無かった。

仮にあったとしても、ケンジーが討滅できる可能性は低いと思われた。

ベテランの探索者は、どこまで迷宮が成長すれば討滅の許可が下ると経験から知っているのだ。


そんな海千山千の手練れを出し抜く自信がなかった。



「まずは領内制覇からだな。討滅はタイミング次第だ。でも諦めたりはしない。ベテランが妙に多い地域は要注意だ」


「はいは~い」



呪文スクロールを手に入れたことと妖精(プラム)を連れていることを受けて、ケンジーは実力を隠すことをやめた。

討滅済みということを差し引いても異常と言える早さで迷宮を制覇していった。


ほぼ予想通りとは言え、討滅できなかったのは悔やまれるが、三か月もする頃には探索者ランクがCに上がっていた。


領内全てを制覇するにはまだまだ探索しなければならない迷宮はあった。

それまでより規模の大きな迷宮も多くあった。

だが、それらを軒並み攻略済みとしても、それ以降ランクアップする気配を見せない。

そんな折、あるベテラン探索者から噂を聞いた。


“Cランクより上に上がるためには貢献度だけでは無理らしい“


あくまで噂だ。

裏の取れていない、どこにでもある噂に過ぎない。

けれど、妙に信憑性があるように聞こえるのは気のせいか。



そして一年と経たずに領内の迷宮を制覇した。

結果、“迷宮の覇者”と言う、なんだかなーな二つ名で呼ばれることとなった。



    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦    ♢♦♢♦♢♦♢♦



結局、討滅できた迷宮は無かった。

しかし、討滅許可の出ていない迷宮でも最深部の深奥に入り込むことは可能だった。

あくまでダンジョンコアを取り外したり破壊しなければ良かったからだ。

おかげでいくつかの書を発見し、倒すことができた。

だが、これっきり生まれない保証はどこにもない。

定期的に確認しに訪れる必要があった。



「うわぁああああああ! めんどくせぇぇえええええ!」



悲鳴が上がったが、その悲鳴は誰にも届かなかった。


その一方で呪文スクロールは充実していった。

深奥では、宝物はそのままにしておいたがスクロールだけは持ち帰った。

金は充分に持っていたし、迷宮を討滅した探索者は、その努力に報いるだけの報酬が必要だと思ったからだ。


が、“そこはそれ、これはこれ”だ。



(俺だって、ここまで来たんだ。これくらいの報酬はあってもいいだろう)



自分に対する言い訳としては充分だった。

ナイス大義名分だった。



うん、朝職場から確認して「間違ってた」と思って修正して

やっぱり合ってた!と戻しました…朝はだめですね…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ