01-16 代行者
傍から見ると間抜けな状況。
その中で、まだ会話は続いていた。
(で、その代弁者サマが俺に何の用だ)
「あなたに用があるのは、あたしじゃないよ~」
(ああ、そうか、そうだったな)
(…世界が俺に何の用だ)
「えっとね。あなたは代行者の素質があるの」
(…また謎ワードかよ。代行者ってのは?)
「んーと、世界に代わって世界の理を自在に扱える者のことなの」
(さっきの世界を窮地に追い込んだナニカと、どう違うんだ?)
「世界の意志に沿って力を使うかどうかだよ~」
(合法か犯罪かってことか)
「うんうん」
「あとね~、代行者は多少なら自分の好きなように理を“書き換え”ても許すって」
「よかったね~」
(うおおぃ! やっちゃだめだろうそれは!)
「代行者へのささやかな報酬だって」
(どこがささやか…)
(…他の代行者やその予備軍が勝手に理を“書き換え“てるってことはないのか?)
「んと、代行者が“書き換え”るのは監視してるし、感知もできるんだって」
「さっきの報酬も最終的に許可を出すのは世界の意思なんだって」
(なるほど、本当の意味で勝手はできないってことか)
「あとね、今は他に代行者がいないんだって」
(なんだと! 100や200、もっとかも?ってのを俺一人でやれってか!)
「そうなるね~。今、世界にはあなたしか代行者になれる人がいないんだよ~」
(世界ってことは、文字通り世界中を回らなきゃいけないってことだろう?)
(そんなのアンジーが許してくれる訳ないだろうがよ…)
(っ!!)
( アンジー!! こんな長話してる暇はないんだよ!!)
(すぐにアンジーを助けに行かなきゃならないんだ!)
「ん~、今は世界の時間が止まってるから問題ないよ?」
「それに…」
(それに、何だよ)
「代行者になったら、それこそ今すぐ助けられるよ?」
(っ!!)
( …本当か!)
「うん。あたしは、あなたのための代弁者だから」
「あなたに嘘は吐けないの」
じっと動かない目で妖精を見つめるケンジー。
それを真摯に受け止める妖精。
(わかった。代行者になってやる)
「…ありがとう」
代行者になるとケンジーが答えると、
ほっとした表情で礼を言う妖精。
(なんで「ありがとう」?)
「ん。あたしは、あなたのための代弁者だから」
(訳が分からないんだが)
「あなたが代行者を拒否したら、あたしは何の役にも立たない」
「ただのフェアリーにも戻れない。消滅するしかなかったの」
(それを先に言えぇぇえええ!)
「言えないよ!」
「あたしのために代行者になってなんて…言える訳ないよぅ…」
涙目になる妖精。
ケンジーは、警戒に凝り固まっていた心が解れていくのを感じていた。
(…はぁ)
(お前も相当不器用なヤツだなぁ)
だが、悪い気はしない。
要領のいい人間より、よほど信用できる。
「それでもいいもん」
(名前、なんていうんだ?)
「え?」
(だから名前だよ、名前。いつまでもお前とか妖精とか呼んでられないだろ?)
「そうだね! えへへ~。プラムだよ~。あたしの名前~」
(そうか。プラム、俺はケンジーだ)
「うん!ケンジー~」
(なんだ?)
「呼んでみただけ~」
などと、初々しい恋人同士のようなやり取りがあったりして。
ケンジーは正式に、世界の意思の代行者となった。
会話成分多め。
というか、会話しかない!
でも思った。
プラムの魅力を伝えるためには会話を魅せるしかない!
このコンビの会話は書いてて萌えます。
読者に伝わっているといいなぁ。
あとプラムは、(設定的に)ケンジーのための代弁者であると同時に
(物語的に)ナビゲーターでもあります。




