赤原「ベーコンとか作れない?」ハヤト「豚の魔物狩りすぎたのか……OK!」
赤原の適性職業は重騎士で神殿から聖なるハルバードという矛槍を支給されてる。異世界の大豚の魔物であるジャイアントボアも一突きだ。
赤原は冒険者ギルドで冒険者になったばかりの女の子をナンパしてはそれを見せ回っていた。結果、豚肉そっくりのジャイアントボアの肉が大量に余ってしまった。
赤原「というわけで肉が一杯余っちゃったんだけど何とかできない? ベーコン作るとかさ」
ハヤト「なんでお前のナンパの尻拭いにベーコンなんて作らなきゃなんねーんだよ」
ユミ「でも店ではける量をオーバーしてるし、冷蔵庫の無いバーン世界じゃ多すぎて腐っちゃうよ。多めに作ってハリーさんにもあげたら?」
ハヤト「そうするか」
赤原「ひひひ。助かるぜ。冒険者ギルドの女の子にプレゼントしてやろっと」
佐藤「へ~ベーコン作るんだ」
赤原「げっ佐藤!?」
フェアリー「私がサトウに教えてあげたんだ。アカハラが冒険者ギルドの女の子達と遊んでるよってね」
西「……俺じゃないぞ」
清田「俺はベーコンが大好きなんだ。楽しみだな」
結局いつものメンバーがハヤトの店に集まった。
ハヤト「まず香味野菜や調味料をすりこむためにジャイアントボアの肉に鉄串をさして穴をあける。均一に大量の穴をあけるのは日本だったら便利な道具もあるんだけどな~異世界料理は大変だぜ」
赤原「(つっこまねえぞ)」
ハヤト「ベーコンは作る時には吊るしたり、煙でいぶしたりするからな。形が崩れたり千切れてしまいそうな肉はタコ糸で結んでおく」
ユミ「香味野菜や調味料って何が必要なの?」
ハヤト「まあ塩と胡椒だけでもいいよ。保存のためには香味野菜は無くても大丈夫。だけどあったほうが美味しいからね」
赤原「後で燻製するんだろ? 塩も無くて大丈夫なんじゃねーの? え? なんだよ皆……」
一同は赤原に冷たい目を向けた。その目は言っていた。あぶねーなことを言うんじゃねーよと。
ハヤト「香味野菜と塩胡椒をよく揉みこんだら冷たい場所に一週間ぐらい寝かせる」
ユミ「冷蔵庫があるといいんだけどね」
西「バーン世界なら冷たい洞窟だな」
~五日後~
ハヤト「さて明後日はいよいよ肉を燻製をする訳だがその前に重要な工程がある」
ユミ「何をするの?」
ハヤト「このまま燻製をすると塩辛過ぎるベーコンになってしまう。だから塩抜きするんだ。水に肉をひたして塩を抜く。三度ぐらい水を変えよう」
ハヤト「さて一晩塩抜きしたら肉を吊るすために金具をぶっ刺す」
ハヤト「一日ぐらい肉を風通しの良い場所に吊るして水気を切る。今回は日が当たらない窓の近くに置く」
ユミ「明日はいよいよ。燻製ね」
ハヤト「燻製室に肉を吊るしてまずは炭火で熱を加える。次に煙で燻す。今回は桜のチップで燻そう。チップによって肉の香りが変わるのもベーコンの面白いところだよな」
ユミ「燻製室?」
ハヤト「燻製室って言ってもベニアで庭に作った掃除用具入れみたいなもんだけどな。ハリーさん達におすそ分けする分も作った」
赤原「(そういう体ね)」
清田「モデルの肉は一番左の二つか」
佐藤「今は二時間ぐらい熱を加えただけの状態ね」
ハヤト「そそ。まだ煙でいぶしてはいないんだ」
ハヤト「燻製終了。完成だ」
清田「お~! 良い色になってるじゃないか!」
ユミ「燻製したのは二時間ぐらいか。意外と短いんだね」
ハヤト「保存を重視するならもっと燻したほうが良いかもしれないけど美味しさ重視だからね。さあすぐに店に帰って皆で試食しよう」
佐藤「え? すぐに?」
ハヤト「ああ、実はベーコンは燻製仕立てが一番美味いのさ」
ユミ「そうなの? どうして?」
ハヤト「それは食べながら説明しよう」
清田「見た目は本当に美味そうだな」
ハヤト「実際美味いぜ」
ハヤト「ほれ。食ってみ」
清田「え? 焼かないのか?」
ハヤト「燻製でちゃんと火は通ってるよ」
清田「そうなのか。ともかく食ってみよう」
清田とクラスメート達がベーコンを口にする。
清田「美味い!!!」
ユミ「そういうことか。私にも作りたてのベーコンが美味しい理由が分かった」
赤原「燻製したばかりだから香りが強いんだな」
佐藤「それに脂がまだ固まって無くて肉汁があふれているんだね」
ハヤト「そういうこと。この味が楽しめるのはベーコンを作った人間の特権だ」
赤原「よーし早速できたてを冒険者ギルドの成り立て冒険者の女の子達に持って行くぜ~!」
佐藤「赤原くん。ちょっとお話しましょうよ」
一同「(仏の顔も三度までだな……)」