いつもの町で切れていく
指を加えて家に帰る途中にそこそこ仲の良いクラスメイトにあった。
「あ、つきじゃん、ヤッホー」
クラスメイトが私に気づいて近づいてきた、私も手を振り返す。
「何してんの? 買い物?」
「散歩」
「散歩? 珍しい事するね」
「そうかな?」
「うん珍しい、てかつきって甘い物好きだった?」
「うん、好き」
「じゃあこれ貰ってくんない? バイト先で貰ったんだけど私の家族甘いもの苦手でさー」
「いいの! ありがとう」
「甘いもの大好きなのね、凄い食いつき」
「う、そうかな」
そういいながらクラスメイトから饅頭を貰おうとした瞬間私とクラスメイトの間になにか黒い影が通った。
「何触ってんの!!」
クラスメイトが饅頭を引っ込めながら私を睨む。
「え? どうしたの?」
「何よ、てかあんた誰よ」
「み……美月だけど」
「みつきぃ? わけわかんない」
もう一回私を睨んでクラスメイトは走り去っていった。
「…………?」
私は呆然と立ち尽くしていた。
家に帰ると母さんが料理を作っていた。
母さんとは最近少し話すようになった。
この件に関してはぺんたちころおやしに感謝している。
「……おかえり」
「ただいま」
「夕飯運んで」
「わかった」
私が夕飯を持とうとした瞬間私と母さんの間にまた黒い影が通った。
ガシャン
母さんが驚いた表情で私を見ている、落とした皿は完全に割れている。
「……どうしたの?」
「あなた誰よ!? なんでうちにいるの!!」
「えっ……」
母さんは顔を真っ青にしながら
「出て行って……通報しますよ」
「母さん?」
「出て行って!!」
叫ぶ母さんから逃げるように私は家を出た。
「美月ちゃんどうかした? 凄い声が聞こえたけど」
呆然としている私に声をかけてきたのは近所の仲の良いおじいさん。
「いえ……」
私があいまいに答えると
「なんか悪さでもしたか、追い出されたかー」
これはおじいさんのいつもの冗談だ。
「……いえ」
力なく答えた私に気づいたおじいさんは優しい顔になり
「悩み事か? とりあえずおじさんの家においで」
「……はい」
頷いた瞬間また黒い影が通った。
おじいさんは何事もないように家に向かって歩き出した、私もそれに続く。
「……ふう」
おじいさんの歩きがいつもより早い気がする、そう思った時におじいさんが私の方を向いた
「なんなんじゃあんたは」
「え?」
おじいさんは少し怒った顔で
「なんでついてくるんじゃ」
「だって家においでって」
嫌な予感がする
「家? 何を言ってる」
やめて
「大体お前……」
言わないで
「お前は誰じゃ?」
その言葉を聞いた瞬間、私は走り出した。