-14- 守りたい
親善試合当日の朝...スターニアさんがいつもより気合が入ったお弁当を渡してきた。
「すみません...私はいけないですが、何かあれば必ず連絡ください」
「いや...まあ、スターニアさん目立つから...」
ごりごりのシスター礼装のスターニアさん...圧倒的にスタイルもよく、巨乳で金髪美人...
こんな人目立つに決まっているし、他のメンバーに関係性の説明も難しい。
「行ってきます」
「はい、お気をつけて」
いつも笑顔で見送ってくれるスターニアさん...何故か今日だけは緊張しているように表情がこわばっていた。
※※※
相手高校に到着すると、先に来ていたみんなが軽くストレッチをしていた。
「おはよう創、早く準備してストレッチに付き合ってくれ」
「はいはい...って部長は?」
「ああ...電車に乗り遅れたみたいで遅れるそうだ」
あれ...ゲームでは部長が遅刻することはなかったはず。
気になる事項ではあるが、スターニアさんに確認するべきか?
まあでも...ここはゲームではない...現実だ。
あの部長のことだ。どうせ夜更かしして寝ぼけたのだろう。
「お、あいつらが敵兵か?!」
春馬とストレッチをしていると少し背が低い女子生徒が声をかけてくる。
なんでこいつがこんなところに...
「鷲山 愛華...」
春馬が少し強張った表情で彼女の名前を呼ぶ。
青崎高校の1年生で間違いなくトップの選手...聖槍の異名を持つ選手。
同じ高校だから見学ぐらいはしていると思ったけどまさか声をかけてくるとは――
「見覚えがあると思ったらシルバじゃあないか!」
「お前人の名前をっ!」
去年の大会で因縁があるこの2人は中々に相性が悪い。
イベントに支障が出るのはもちろんだし、西日本最強ペアとご対面するにはあまりにも早すぎる。
早々に追い払わないと――
「愛華勝手に他校の人に―――おや」
鷲山妹を止めにきた人もまた最悪の登場人物――神壁の異名を持つ鷲山 流気。
春馬といがみ合っている鷲山妹の1つ上の兄であり…西日本最強のシールダー。
春馬が前回1位を取れたのはこの鷲山 流気が先に高校に行っていたから――鷲山兄が中学時代の時春馬は一度も勝てていない程の実力者。
「春馬くんではないか、青泉高校に行っていたのか」
「っ――」
比較的人当たりがいい春馬だが…この2人は相性が悪すぎる。
鷲山妹は中二病過ぎて話が通じず―――鷲山兄に至っては。
「君はてっきり青崎に来るものだと思ったよ。ほら僕に勝ててないから」
無自覚に人を煽ってしまう悪い癖がある――正直この2人と遭遇すること自体イベント外―――早く離れないと
「春馬、ストレッチするんだろう。行こう」
春馬の手を引っ張って無理やり連れだそうとするが、突然鷲山妹が俺の手を掴んで睨みつける。
「モブが勝手に話しを終わらせるな!私はシルバを調教せねばならない!」
「はあ…」
正直呆れて相手する気も起きないのでスルーしようとするが…どうやら我慢の限界に達してしまったやつがいた。
「俺の友達に随分と失礼なことを言ってくれるな…創がモブならお前はミジンコだぞ」
返しが小学生かよ…そんなこと言われても誰も何も思わない――
「なんだと!!モブにモブって言って何が悪い!!シルバ!王への口がなってないな!!」
小学生以下が一名だったな…はあ、どうするんだよこれ…
「おい春馬俺は何も思ってないから落ち着けって」
「愛華落ち着け、いくら弱そうな人でも初対面の人にそれは失礼だぞ」
お前の方がもっと失礼だわ鷲山兄。
「流気さんも創のこと甘くみてたら足をすくわれますよ…創は俺にも勝ったすごい選手です」
「まあ、春馬くんは僕に勝ててないわけだから、正直僕からするとどっちもどっちだから分からないんだが…」
もはやわざと言ってるレベルの言葉が飛び出してくるな…これがリアル鷲山節か…近くでみるといらだつもんだな。
「春馬落ち着けって…ここで青崎高校の人と揉め事は不味いから」
「逃げるなシルバ!王の命令だぞ!!」
カオスになるからそろそろ鷲山兄弟には口を閉じて頂きたいところだが――どうも完全に舐められている俺では話にならないらしい――仕方ない引率の先生を呼んで――
「ずいぶんと創様をバカにしてくれますね」
「青崎高校の人達は失礼過ぎないかな?」
後ろから刺すような鋭い視線を感じ振り向くと、目からハイライトが消えた2人が怒りを露わにしていた。
よりにもよって一番厄介なタイミングで…
「弱いかどうかはエアマジックで決着をつければいいですわ!」
「どれだけ強いか知らないけど、人をバカにするのはよくないかな?」
青泉さんと菫の睨みに反応したのは鷲山妹で、2人に近づいて人差し指を向ける。
「いいだろう…この王が叩きのめしてやる!」
こうして…予想外過ぎるイベント、親善試合の対戦相手がまさかの西日本最強ペア鷲山兄妹になってしまった。
※※※
春馬&マヤたんペアVS青崎高校2群選手ペア……ゲーム通りの対戦表、少し違うのは相手に名前がついていること。
田中&加山ペアは名がついただけでゲーム上と全く変わらぬ姿で登場した。
今回のイベント試合はいわゆる負けイベント...春馬にとって格下の相手だが...敗北を経験することになる。
ちなみに青崎高校はペアをランキングで分けていて、20位より下を2群としている。
『これから、第一試合を始めます。選手の方はバリア内に移動してください』
アナウンスが響き、春馬とマヤたんがベンチから立ち上がる。
「頑張ってね二人とも、いつも通りだよ?」
「春馬さん!シールダー一位に実力見せつけてくださいまし!マヤさんはいつものように暴れてください!」
「おう!」「はい!」
暴れてくださいって……マヤたんはイノシシじゃあないんだから。
中学生時代...シールダー1位の座を手にした春馬、だがそれはあくまでもソロの話。
今回直面するのはペアであることの壁の高さだ。
「創からは何もないのか?」
からかうように春馬がいうとマヤたんも期待しているように目を輝かせる。
正直かける言葉が見つからないというのが事実...部長も電車に乗り遅れて遅刻している今...それらしい言葉をかけてほしいのだろう。
「二人とも、楽しんで。エアマジックはそういうスポーツだ」
「そうだな!よっしゃ!」
「頑張ります!」
勢いよく二人はバリア内に入ると事前に相談した配置についた。
マヤたんのステータスは今の段階では確か……オールバランス。何一つ突出しているものがない。
大体自分の個性にあった振り分けをするが、マヤたんはまだ自分の個性を見つけられていない。
敗北イベントは必ず自分の壁を教えてくれる。
春馬にとってもマヤたんにとっても...今後乗り越えないといけない大きな壁を。
『3、2、1……試合、開始!』
試合開始のアナウンスと共にバリア中央の上空にエアが生成される。
相手選手はエアを取るため走り出すが――
「な?!」
選手が走り出したと同時に春馬がエアを手にした。
コインを使わずとも相手が認識するより早く動ける...シールダーとして異質過ぎる性能だ。
「ちっ!」
相手選手も負けじと春馬の前に立ちふさがるが……一瞬にしてゴールの前まで抜かれてしまう。
誰も思わないだろうな...シールダーが攻撃にまわるなんて。
でも今のマヤたんでは攻撃性能が足りない...だからこそのポジション逆転作戦ということだ。
「もらった!」
『春馬ポイント、2対0』
圧倒的過ぎるな……ただ早いだけの選手ならいくらでもいるが、春馬のスピードは常軌を逸している。
ステータスを一点に集中して振り分けても、自分の限界が存在し、それを超えると装備の方が振り分けを拒否する。
春馬のあのスピードは天性的に特化している証拠……まさしくあれが才能ってやつだ。
「よし!」
「やりました!」
先制点を決めて喜ぶ春馬とマヤたん、そのまま第一セットは余裕で勝ち取ったり、試合は第二セットへ。
ここからは相手にエアがわたり、一定距離からのアタッカーによる得点は3点となる。
相手の方も第一セットはほぼ諦めて体力を温存している様子だった……肉を切らせて骨を切るってやつだな、でも二人はその事実にあまり気がついていない。
「第二セットから一気に状況が変わるかもしれないな」
「そうですね……って!!」
いきなり見解を言う人に視線を向けると、遅刻したのに平然座っている部長の姿が見えた。
「部長?!」
「どうにか間に合った!」
「間に合ってませんよ!」
親指を上げる部長の手を叩き払いながらツッコミを入れる。
「いやーそのツッコミ、懐かしいなーお母さんを思いだす」
「どういう家庭ですか...」
「いやみんなごめん...ちょっと緊張しているのか普段乗らない路線でミスしてしまった」
部長が頭を下げると菫と青泉さんは仕方ないとなだめる。
まあ実際そういうこともある...でもゲームには部長が遅刻するという項目は無かった。
違和感があれば知らせろと言われたからスターニアさんに連絡を――
『第二セット、開始します』
タイミング悪く第二セット開始を知らせるアナウンスが流れた。
まあ……大丈夫だろう。ここは完全ゲームってわけではないからそういうこともある。
少し気になるが、携帯をカバンに入れ試合の方に視線を向ける。
『―-―-』
「……?」
何だ?相手側にエアが生成されたと同時に……一瞬ノイズのようなものが聞こえた。
どこかで聞いたような...SE?
「部長、菫、青泉さん。何か聞こえなかった?」
「俺のお腹は鳴ったが...」
「うんん、何も聞えてないけど……」
「すみません、特に変わった音は聞いてませんの……」
聞き間違い?いや……それにしては鮮明過ぎたような………
『田中ポイント、3対0』
と、音の原因を考えている間に相手チームがゴールを決めた。
よく見ていなかったが……春馬が抜かれたのか?
「くっ……何だこれ!」
「春馬さん?!」
「おいっ春馬どうしたんだ!」
焦る青泉さんと部長の視線の先――そこには春馬が何もないところで立ち止まっている様子が見えた。
あのNPCのコイン...確か
「金縛り……」
「創くん相手のコイン知ってるの?」
「ああ...前試合で見たことがある。多分今動いていない加山さんの方がそのコインだと思う」
金縛り、そのコインは相手を長時間スタン状態...動けなくする。
めちゃくちゃ厄介なコインだが、確率なのでスタンしない可能性もある。
だが、イベント補正で春馬にスタンが付与される確率は極めて高くなっており、コインが発動したらほぼ必中と思ったほうがいい。
1回目の試合で春馬主導の動きだったことでマヤたんが初心者なことはバレバレ...春馬を止めればなんとかなると知った2人は遠慮なくコインを使う。
『田中ポイント、6対0』
「うっ……」
『田中ポイント、9対0』
アタッカーの3点ゴールをあっさり決められ、あと3ポイントとなかったところで、相手は突然マヤたんにエアを投げる。
「お前もアタッカーなら決めてみろ。そのままじゃあ悔しいだろう?」
完全にマヤたんをバカにしている。
このイベントはかなり腹が立つが……このまま見守るしかない。
でも、ニヤニヤとしている相手選手の顔面に今すぐにでも殴りかかりたい……我慢だ……これもマヤたんの為なんだ。
「アクティブこいん!迷子!!」
マヤたんは自分のコインを使って思いっきりエアを投げる。
一発逆転の想いを込めて……だが……まだ未熟なコインはランダム性が激しい。
ゲームでも結果は……
『えっ…あ、ぽ、ポイント…12対0。田中&加山ペア1セット』
自滅ゴール、距離もあったため3点と認められてしまいそのまま試合は2セット目は終了した。
マヤたんのコインアリスは全フィールド内を対象とするため、コントロールできない状態だとこの結果も十分あり得る。
向こう側のベンチからはクスクスと笑い声が聞こえてくる。
マヤたんはそのまま膝をついてただ荒く呼吸をし、体を震わせる。
とても辛いはずだ。でも……今は何もできない。そして辛くてもあと1セット、試合をしないといけない。
※※※
戦意を完全に失ったマヤたんはその後必死に駆け回ったが、田中にからかわれていると思われても仕方ないようなプレイをされた。
結果は2対1……田中&加山ペアの勝利となった。
「クソッ!!」
ベンチに戻った春馬は真っ先に壁へ八つ当たりをした。
相手の加山もかなり息が上がって動けなかったが、田中1人でもマヤたんを圧倒するには十分。
自分の実力を何も発揮できないまま、ペアの人をバカにされて負けたんだ……こうなるのも当然だ。
「あ!マヤさん!」
春馬の方を見ていると、いきなりマヤたんがベンチから飛び出て走り出した。
イベント通り...イベント通りの展開だ...だが……実際に見ると想像以上に心が痛い。
パートナーを守れなかった春馬、大勢の前で笑い物にされたマヤたん……昔の俺だったら確実に心が折れて二度とエアマジック出来ない。
でも……みんなは俺でもないし、そんな簡単に諦める人じゃあない。だけど……心は折れる。
「菫、春馬の方頼んでいいか?井波さんの様子見て来る」
「清崎くんが行った方がよくないかな?」
「今は井波さんを辛くするだけかもしれない……」
ゲームでは春馬が追いかけているが、ここは俺が行かないと意味がない。
それに……言葉通りの意味合いももちろんある。
「分かった。ここは任せて」
「ありがとう」
急いでマヤたんを追いかけて走る。
行き先は分かっている……この先にある青崎高校の裏庭だ。
裏庭に到着すると、小さな泣き声が聞こえる。
誰にも気づかれないようにと必死に声を抑えている声の主にそっと近づくと、その前にスポーツドリンクを置いた。
「えっ……創さん…?」
「お疲れ様」
「え…えっ……」
慌てて涙をふくマヤたん……だが、俺はその手を止めて首を振る。
「俺、後ろ向いてるから。何も見てないし聞こえない」
ゲーム通りのセリフを言ってしまえば終わりだ。
でも………それは違う。俺はずっとマヤたんに言いたいと思ったことがある。
俺がこのシーンを見てマヤたんに言いたかった言葉……それを今、やっと言えるんだ。
「俺...家庭環境的には不自由なく暮らせてたんだ」
「え?」
「独り言だよ……聞こえているならそのまま聞いてほしい」
「は、はい……」
「で……世間知らずだったわけだ。自分は何でもできるし、何でも手に入ると勘違いしてた。でも実際そうだったな……何でもできてしまうし、何でも与えられた」
できてしまう……自分は分かっていないのに結果が出てしまう恐ろしさ。
その時には知らなかった。それがどれだけ怖いことなのか。
「両親の思いにはいつも答えられた……でも、いつからかそれが出来なくなったんだ。誰のせいじゃあない……俺のせいだ」
自分という存在を知らなかった。
ただ、求めるがままにして来た………だがある日突然それが出来なくなってしまった。
その結果は悲惨な人生を送ることになったが……それも全部自分のせいだ。
「今まで適当にやればできたから……そんな努力なんてことしたことが無いんだと思う。だから……俺は何処まで落ちたんだ。一度墜落した時に気づけていればよかったのに……」
自分が天狗になっていたのか……あるいは我儘の塊みたいな両親の影響を受けてしまったのか……それは未だに分かっていないが、いずれにせよ……俺に非があるのは明確だ。
「俺が絶望した時「あなたは何もしていない」って言われたことがある。それ……本当だった。俺は今まで何もしてこなかった。だから辛かったんだ」
「そ、そんなことありません……創さんは……」
「あとこうも言われた「努力は主張するものじゃあない」って、だから……俺は井波さんがすごいと思う」
「え…?」
自分が頑張ったと言わない。自分が辛いとも言わない。
ただ、前向きな言葉をみんなに伝え、場を和ませる。まさに太陽のような人。
俺が一目惚れした相手……絶対に幸せにしてあげたい人、それがマヤたんだ。
「俺だったらみんなの前で泣き崩れてた……でも井波さんはわざわざこんなところまで来て一人で泣いてる……すごいと想う。頑張ったと想う。もう……無理しなくていいと想う」
誰だって心が折れることはある。でも……その時に誰も隣にいないっていうのは辛すぎる。
あえてそんな選択をするマヤたんだから……俺はマヤたんの隣を歩きたい。
「一人で居たいと思うけど……ちょっとだけそばに居させてくれ。俺では役不足かもしれないけど...俺は今泣いてる井波さんを1人にしたくない」
マヤたんから視線を逸らしながらハンカチを渡す。
スターニアさんがいつも多めに持たせてくれるから助かった……後でお礼を言っておこう。
「創さん……ありがとうございます」
「!!」
ハンカチを受け取ったマヤたんは俺の背中に身を預けて静かに涙を流した。
「ちょっとだけ……ちょっとだけ背中かりますね……?」
「いいよ……俺はここにいるだけだから」
確実に好感度は上がった。
でも……それ以上に何か心の中で一つ達成感が沸き上がる。
上手く表現することはできないが……簡単に言うと嬉しいんだろう。
マヤたんを……自分の言葉を励ますことができて……
『私の言葉使ったくせに』
「う……うっせ」
「ふえ?」
「い、いや何でも、ちょっと慣れないことしたから恥ずかしくて」
一瞬、俺の隣で居ないはずのサヤがそう言った気がした。
お前の言葉を借りたよ...だって俺はその言葉で多くのことに気づいたんだ。
※※※
試合開始ギリギリにベンチに戻り、俺は菫の隣に座って装備を装着する。
「手伝ってあげようか?」
「こ、子供じゃあないんだから」
「そうだね。井波さん上手く励ませたみたいだし」
「あ、ああ...」
そういうと菫は足側のパーツの装着始めた。
「すごいね創くんは」
「な、何が?」
「井波さん、前の試合が無かったみたいに元気になってるから」
「それ言うと菫だってすごいぞ……春馬すっかり元気になってるし」
向こう側で互いに謝っている二人を見ながら言うと、菫はイタズラのように笑う。
「清崎くんは単純だから」
まあ...それは否定できない。
「はい、出来たよ」
「こっちも準備OKだ」
「よし、じゃあ。よそ様の事は一旦頭から外してもらおうかな?これから私と創くんの問題だから」
「そう……だな」
菫は立ち上がって向かい側のベンチを睨み付ける。
そこにいるのは……鷲山兄妹。
親善試合イベントでは名の無いNPCに当たるか、ネームドの2人に当たるかはランダム。
菫ルートでは高確率であの2人と戦うことになるが...結果は――
「行こう。目にもの見せてあげるんだから」
「ああ、ボッッコボッコにしてやろう」
結果なんてどうでもいい。気合は十分、不安要素はまだ残るが……ぶつかってみるしかない。
諦めない……俺は、この手で未来を勝ち取る。
※※※
フィールド内に入ると、緊張が増してきた。
呼吸が少し荒くなる……心臓のも騒めき始める。
「創くん、大丈夫?」
「あ、ああ……まあ、緊張してるのは確かだけど」
「よかった。私もだから……ふふ、なんか変なテンションになっちゃうね」
とても緊張しているとは思えない菫だが、笑っていてもその目が真剣に輝いていた。
そして、鷲山兄と妹が入場すると、菫の表情から笑みが消え、殺気のようなものを放つ。
「絶対、勝とうね」
「ああ」
『第二試合、流気&愛華ペア対古山&花島ペアの試合を行います』
気がつけば周りに選手以外の観客が現れ鷲山兄妹に声援を送る。
校内でも大分人気みたいだな…残念美人とイケメンではあるが、それでも人気なんだな。
『3、2、1……試合開始!』
知らせとともにエアが空中に生成される。
『―――――』
なんだ……またノイズのような聞きなれた音が……音?効果……音……
あ、しまった!早く取りに―――!
「……」
走り出した俺は相手側を見て唖然としながら歩いてエアを獲得した。
くそ……舐めてんのか?一歩も動かないじゃあないか。
「余裕の現れか?第一セットの間俺たちがエアを持つんだぞ?」
「それぐらいハンディをあげないと可哀想だろうと思ってね」
鷲山兄はキメ顔で髪をかきあげながら言う。
「そう………かよ!!」
俺は思いっきりエアを鷲山兄に投げつける。
「アイギスを破った時にハンディがあったからって言われたくないんでね」
「……そうか」
エアを片手で受けた鷲山兄は流すように妹に渡す。
「愛華、お前の槍の威力、見せてやれ」
「よーし!わらわの出番じゃな!」
ロンゴミニアド……絶対に防げないな。
正直聖槍を防ぐことなんて考えてない、アイギスさえ破ってしまえばこっちの勝ちなんだから。
「走れ!激槍!!」
「なっ?!」
ロンゴミニアドじゃあない?!
「アクティブバリア!!」
とっさにバリアを張るが、出でくるのは相も変わらず薄く小さい布のようなバリア……こんなんで防げるわけがない!
「アクティブカード……庭園の(in)女神!!」
後ろから花吹雪が舞い上がり、飛んでくる槍に向かって集中する。
すると、槍は花びらに弾かれ、俺の手前で球状に戻った。
「なっ……」「カード?!」
相手側はもちろん、会場全体に騒めきが広がる。
カードを使える選手……それがどけだけごく少数なのかこの反応だけで分かるぐらいだ。
隠し刀だったけど……俺のせいで……
「創くん!パス!あとコインお願い!」
「あ、ああ!」
カードを解除した菫は一気に前に出ると、俺から受け取ったエアを思いっきり握りしめる。
『―-―-』
またノイズが聞こえる。まさかこれって……
「創くん!!」
気を取られているうちに菫は鷲山妹を振り払ってゴールに向かっている。
気になるけど、気にしている暇がない!ゴール前にいる鷲山兄のアイテムを封じないと!
「アクティブクロス!」
「アクティブコイン!ディスペル!!」
クロスを展開しようとした鷲山兄はアイテムが使えないことに驚く。
鷲山兄のコインはパッシブ型なのは把握済み――ディスペルのいい的だ。
「もらった!」
『――――――――!!』
鷲山兄に大きな隙が生まれた瞬間、すかさず菫の魔球が放たれる。
離れているこっちまで風圧を感じるぐらいの大火力……そしてより鮮明に聞こえるノイズ。
あのノイズは効果音だ……なんだ……なんの効果音だ?思い出せ……きっと大事な……
「アイギス!!」
鷲山兄がゴールの前に立つとアイギスを展開させた。
アイテムの使用を制限出来てもシールダーの特権は無効化できないのかっ!
入り組んだ模様の白く巨大な盾が現れると、魔球とぶつかり激しく火花が散る。
「くっ!!」
「お、お兄い!!」
少しずつ押される様子を見て慌てる妹……その瞬間――
『ビキ』
アイギスから鮮明に不気味な音が聞こえた。
よく見ると魔球と当たっている中心部分に小さいが亀裂が走った。
さらに不気味な音を放ちながら魔球の進行が進む。その時―――
「あ、アクティブスティック!突き刺す(エレメ)四つ(ンタル)の(ライト)閃光!」
妹の方がステックを使い、アイギスに接していた魔球を押し出す。
魔球は四つのステックに打たれ、失速……椿が散るようにあっけなく地面に散ってしまった。
「うっ……」
菫は険しい表情を浮かべ、すぐに防御体制に入る。
俺もすぐにでも動けるようにはするが……あのノイズが頭から離れない。
青崎高校侵入事件、サヤの留守、部長の遅刻、突然の鷲山兄妹との試合――覚えのあるノイズ。
全て繋がっている気がする……俺が知らない何かが動いている。
――――――誰かが俺の未来を壊そうとしている。
「認める……わたしの本気、見せてあげるよ」
中二病が抜けた本気の鷲山妹がエアを掴み、構える。
『―-―-』
「聖槍……撃滅せよ!ロンゴミニアト!!」
大きなノイズが俺にはハッキリ聞こえる…これは――この音はあってはいけない音だ。
絶対に…絶対にこの場にあってはいけない物が存在している。
「やめろおおぉ!!」
叫びも虚しく先ほどより鋭く早い槍が菫に向かって飛ぶ。
一昔前、この世界……エアマジック・エンジェルズの世界設定では旧式のエアが存在した。
新式と旧式の最大の違いは安全装置の精度だが……他にも出力の違いがある。
エアマジックはド派手な演習が売りで、その演習を高めるために一昔前は全ての装備、アイテム、エアの出力が今より高かった。
それが全て改訂された事件がある。そう……絶対に人を気づけないはずのエアが人を殺しかけた。
当時ランキング一位だった中学生選手がその被害者……鋭く形成されたエアが脇腹に風穴を開け、フィールド内は血だまりができるほど出血した。
幸い命は助かったが、彼女は重い後遺症を背負い、エアマジックを辞めた。
それ以来、エアを含める全ての道具が出力半減され、安全装置が強化された。
だから……今のエアでケガをすることはありえない――――今のエアでは。
そう……今菫に向かって飛んでいるのは旧式のエア……。
あのノイズは……ゲーム内で旧式のエアが飛ぶときの効果音、皆が気づかないのも無理ない……だってあの音はゲームをやっている人にしか分からないんだから。
「うっ……ふ、防げない……かも」
庭園の(in)女神もロンゴミニアドを防ぐことはできない、あれ旧式……今の装備で防げることが奇跡に近い。
それこそアイギス並みの盾が必要だ。
『ピピ!』
狂化の数値が一気に限界に達したことを知らせるが、それを無視して菫に向かって走る。
間に合わない……このままじゃあ……菫が!菫が!!
「スミレえええええええええええええええええぇ!!」
この世界に来てから……俺はずっと守られていた。
春馬に、マヤたんに、青泉さんに、部長に……サヤ、スターニアさん……それに……菫に。
沢山の人が俺の味方になってくれた……だが、俺は何一つ返せてない。
返そうと思って頑張るが、それ以上にまたもらってしまう。いつも……いつも、いつもいつもいつも。
ずっと俺を笑ってみてくれた。俺に「頑張ったね」と言ってくれた。こんな俺の隣を歩いてくれた。
誰一人欠けて欲しくない……欲張りだが、この全てを持って俺はエンディングに行きたい。
俺の未来は―――――自分で勝ち取りたい、ほしい……菫を守る盾がもみんなを守れる盾が!!
何でもいい……何だっていい!!菫を守れる盾をここに!!
『あなたを守もります。私の命にかけても……大好きですよ。私の弟』
「アクティブバリア!!イ―――ジス――――――――――!!」
優しい声が耳元に囁かれた気がした……そしてとっさに叫んだ言葉より早く、菫の前に巨大な盾が現れる。
フィールドを半分に分けてしまうほど大きな盾は、空のように青い色をしていた。ロンゴミニアドが盾にぶつかり、激しく火花が散る。
ダメだ……これじゃあ守れない……もっと、もっと、もっと強い盾を……みんなを守る盾を!!
「アクティブ……クロス。燃えやがれえええええええええええええぇぇ!!」
クロスを発動すると、青い盾は一瞬で夕焼けのように赤く燃え上がる。
盾全体が燃え尽きる頃にはロンゴミニアドの威力も大分下がり始めたが―――急増品では限界があった。
『―――』
「ぐうっ!!」
左手に激しい痛みを感じる……だが、麻痺しているのか徐々に痛みが消えていく。
「え、エアが!」「嘘だろう?!」「ち、血が!!」
騒めく会場……すぐに試合中止を知らせるアナウンスが響き、教員たちが駆け寄る。
フィールド覆っているバリアが消えると、突き刺さっているエアも消えた。
風穴が開いた手から血が溢れ出すが……俺は残る力を振り絞って菫を抱きしめる。
「よかった……生きてる!生きてる!!」
「た、創くん……………」
もう自分が何をしているのか分からない……でも……ただ嬉しい。
守れた。自分の手で守れた……初めて……菫を守ることができた。
「創くん?!たく―――-!!」
菫の声がかけ消えるように不鮮明になる。
まだ意識はある……でも菫が見えない。
『また無理したのですか?本当あなたは仕方ない人ですね』
誰かの声の笑みが浮かぶ……いつも甘えてばかりだった気がする。
迷惑もいっぱいいけたが、その人は必ず笑顔で頭を撫でてくれた。
姉さん……でも、俺は一人っ子だ……誰だ……誰なんだ。
※※※
「……」
目が覚めると真っ白い天井が出迎えた。正直見慣れたと言ってもいいだろう。
何が起きたか頭の中で整理している途中、左手に若干の痛みを感じる。
「おはよう、創くん」
ゆっくり体を起こすと、装備を着たままの菫が座っていた。
おはよう…?俺ってそんなに寝たのか?
「ど、どれぐらい寝てた?」
「2時間ぐらい…?色々無理し過ぎだよほんとに…」
「ごめん……あっ試合は?」
「当然中止だよ。今警察が青崎高校に事情聴取して大変だよ」
旧式のエアを所持するのは犯罪……そうなるのも当たり前か。
「私も事情聴取受けたけど、創くんの分まで説明しておいたから創くんはまた今度ゆっくりでいいって」
「あ、ありがとう……」
「それはこっちのセリフ、創くんが守ってくれなかったら今頃串刺しだったんだよ?考えただけでゾっとするよ……」
菫は若干身を震わせながら笑みを浮かべる。
違う……自分がケガするのを恐れていたわけじゃない……もし、俺のアイギスが威力を十分に抑えることが出来なかったら、俺はこの程度の怪我では済まなかった。
それを考えて恐怖心を感じているのだろう。
「二つほど質問があるけどいい?」
「ああ……」
「何で旧式のエアだってわかったの?」
やはりその質問か……でも、ごまかしても仕方ない、ここは正直に答えよう。
「音だ……旧式のエアと新式のエアでは微妙に音が違うんだ。それに……菫の魔球があまりにも強すぎたから」
「ふーん……ただ調子がいいだけだと思ってたけど……そうなんだ」
若干嘘を交えて説明すると、すんなり納得してくれた。
どちらかというと嘘の方を信じているようだけど……それが警察に通ずるか……
「二つ目……あの盾はなに?」
「盾?」
「そう、イージスだったかな?」
「イージス………ああ」
とっさに浮かべた最強の盾の名前、魔を払うアイギスはのちにメデューサの首を盾にかけ、石化の能力を得る。
俺はそれを個人的にアイギスからイージスへと変化したと解釈した。魔を払う盾が魔を帯びている……そうなっても俺は守りたいものがあった。
と、言う弁明だが……アイギス=イージスだから相手側のパクリ……ただアイギスと言いたくなかっただけかもしれない。
何せよ、理性は半分ほど吹き飛んでいたから理由なんてあまり覚えていない。
「べ、別に意味もないし、どうやってできたかもわからない…」
「クロスまで使ってたよね?」
「は、はい……」
「うーん、本当は使えてたのに隠し刀として持ってたとか?」
「違う……一回バリア出した時は小さかっただろう?」
「そうだね……なんでだろう……やっぱり創くんなんかあるよ」
「そう……だな」
巨大な盾、エアを変化させたこと、バリアと同時にアイテムを使ったこと。
とっさのことではっきりとは覚えていないが……でも、何か感覚を掴めた。
あの優しい声が聞こえると……俺はアイテムもバリアも使える。
「早く練習したいな……」「ダメに決まってるでしょう」
うっ……それりゃあまた倒れたんだから、しばらく安静は必要かもしれないが、何故か体はとても楽だ。
痛むのは手のみ……今すぐでも走り出せそうな身軽さを感じている。
「すみません、面会時間がそろそろ終わりですよ」
「あ、はい。ごめん創くん……私そろそろ帰らないと」
「いや、ありがとう…退院とか色々分かったら連絡するから」
「必ずだよ。それじゃあ」
菫は俺の様子を見たかなり安心しているようだ。
俺が目覚めるのをずっと待っててくれたんだよな……それまでどれほど不安を包まれていたか、俺には想像することしかできない。
「す、菫!」
「なに?」
「お、俺は大丈夫だから!今日はゆっくり休んで……」
「……うん、分かったよ」
可愛いものでも眺めたような笑顔で手を振る菫……もう弟枠から外れることはなさそうだな。
「はあ……」
菫が病室を出たあと軽くため息をつく。
さて……一体どうなったことか知りたいんだが、まずは状況を整理するか。
一、何者かが青崎高校の侵入した事件、この時点でエアがすり替えられていた可能性が高い。
二、それじゃあ犯人は誰か、少なくとも……この世界……現実世界より科学技術が高いこの仮想世界の捜査でも捕まらない人。
三、サヤの突然の出張、これをみると一も二も一発で分かる………事件を起こした犯人はサヤと同じ分類の人だと。
そうなると、この疑問が浮かんでくる。
四、何故同じ分類で邪魔をするのか、チームが分裂する理由は色々あり、想像の範囲外だが……今ほしいのは確証。真実だ。
一番真実を知っていそうな人は……もちろんサヤとスターニアさんだろうな。
でも、スターニアさんは未だに連絡がない……何かあったのか?それならサヤに連絡して……
「創!!」
いきなり病室のドアが開き、服装が乱れたサヤが名を呼ぶ。
「さ、サヤ…?」
「大丈夫ですか?!今すぐ治療を!」
「落ち着けよ……ご覧の通りほぼ何ともない」
「手、ケガしてるじゃあないですか!」
「もう治療済んでるって、何でそんなに慌ててるんだよ。お前らしくないな」
「そ、その……スターニアさんが襲われたので」
「な、なんだそれ……」
ずっと連絡がないことを気にしていたが、まさか……
「命に全く問題ないですが、恐らくこちら側の人間に襲われたのでしょう……まさかこんな露骨に仕掛けてくるとは………」
「何か知っているなら洗いざらい吐いてもらうぞ、こっちは中々酷い目にあったんだからな」
中々…と、一応弱めに表現したが……サヤは深く労わるように拳を強く握りしめた。
「あなたに……話してないことがあります」
「またかよ……」
「はい、またです……本当申し訳ありません。ですが、これは隠しておいた方がいいと思っていたので……知らぬが仏ですから」
「……それで?何を隠していたんだ?」
「このプロジェクトには反対派が存在します。当初からずっと抗議をしていましたが……今回はこんな露骨に……」
「……」
このサヤはこの世界が出来た理由を実験と言っていた。
その実験を反対する派閥が存在するのも納得できる。
サヤ1人でこの世界を作っているわけではないと思ったが……多くの人が関われば必然と上手くいかないこともあるか。
「全部仕組まれていたように見えた…これからこんなことあったら結構致命的だぞ」
「こんなに露骨にしてくるとは予想していませんでした……すみません、全て私の責任です」
「い、いや……その……」
何でそんなに素直に謝るんだよ!調子狂うな!
「まあいい、何とかなったから……でも、若干未来が狂ったのは確かだ。どこでどんなバグが発生しているかは分からない……自分でやらないといけないのは知っているが、今回みたいに邪魔が入ったときの対処はどうすればいい?」
「それに関してはもう考えてあります。ご心配なく」
「そうか……」
反対派の邪魔か……現実だから起きる誤差か…判別が難しいラインを突いてくる奴らだ。
あえてプロローグの終わりを狙ってきたってことは相手もどこでどう邪魔をすればフラグとイベントが狂うか知っている。
これからも重要なイベントに邪魔を入れてくることは予想できるな。
「サヤ……俺強くなりたい」
「……なれますよ。あなたは私の自慢ですから」
「なんでだよ……」
「なっ何でもないです。明日には退院できますから、今日はゆっくり休んでください。私は色々準備をしてきます」
サヤはペコリと頭を下げると病室から消えた。
手の傷はまだ痛むが、俺は思いっきり拳を握りしめた。
負けてたまるか……これぐらいの逆境、乗り越えてみせる。
天井に手を突きあげ、強く誓う……諦める理由なんてどこにもない、この手で絶対未来を勝ち取ってみせる。
※※※
次の日、サヤの言った通り退院できた俺は、その足で学校に向かった。
「た、創?!」「創さん?!」
「よ、よう……」
さすがに一日退院は驚きらしく、教室の入ると朝練組が目を丸くして驚いた。
「もう大丈夫なのか?!」
「あ、ああ……」
「て、手痛みませんか?!」
「若干……」
本当手は若干しか痛まない……ここに医学って相当進歩しているんだな……
あ、そうか。そうじゃないと4番目のヒロインも助かってないか。
「ごめん春馬、井波さん……心配かけたな」
「いやいや……それはいいけど、本当色々聞きたいことがいっぱいだぞ」
「まあ、のんびり答えさせてくれ。俺も聞きたいことがあるから」
「私も色々聞きたいですぅ!」
お互いに知りたいことがあるのは分かるが、とりあえずゆっくり日常に戻ったことを認識したい。
また……みんなと学園生活をできる。それがただただ嬉しい。
「おはよう、創くん」
「おはよう、菫」
「今日の練習は控えようね?ね?」
「は、はい……」
菫さん目が笑ってないです。昨日の言葉まだ気にしてたんだ。
菫と軽く挨拶をかわし、自分の席に座ると、丁度先生がやってきた。
そして、全員が席に着くと、先生は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「みなさん、今日は転校生がいます」
転校生?今の時機に?なんだ……ゲームではないイベント、なら……邪魔者が――
「それではどうぞ、サヤさん」
は?
「初めてまして、古山家でメイドをやっています。サヤと申します。ご主人様のご厚意により、この度同じ学び舎に入ることになりました。どうぞよろしくお願いいたします」
丁寧に挨拶をしたのは……紛れもなくサヤだった。
艶やかな白い髪、青泉学園の制服に身を包み、滑らかなラインが男どもの視線を引く。
一番視線が集中している胸は、普段の制服で大分抑えられていたことがよくわかるくほど膨れ上がっていて……って!!
「サヤ?!」
「あら、お坊ちゃま」
「なんだよその呼び方!どうしてお前がここに!!」
「どうしてと言われましたも、お坊ちゃまあるところに私ありですよ?これからもよろしくお願いしますね」
対策ってこういうことか!!しかもあの笑い方……完全にからかってやがる!!
「たーく・み・く・ん」
「えっ……」
「座って、朝礼中だよ?それに………休み時間にどういうことかゆっくり聞かせてね」
「は、はい……」
菫に威圧されそのまま着席する俺を見てさらに笑うサヤ。
平凡に始まると思っていた第1章は……最初から波乱の幕開けだ。
第1章 理想郷はここで終わりです。
章の終わりということで何となく後書きを書いてみます。
第2章はちまちま書いているのでまたのんびりお待ち頂ければ幸いです。
ここ数か月結構色々リアルでありまして...作業に回す時間が無くなってました。
人生初コロナにかかったり、仕事で色々と研修があったりと...
40度の熱が数日続くと人間は死に至るんだと実感しました...なむなむ。
第1章は自分の感覚では4月~5月ぐらいをイメージしています。
第2章は5月~7月夏休み前
第3章は夏休み期間を予定しています。
絡み合う運命と、今後の展開と謎が楽しめるようにより一層精進致します。
感想や意見など頂けますと嬉しいです。
では第1章まで御覧くださった皆様ありがとうございました。




