俺の拳!(3話
今回は短いよ。私の前書きも短いよ。
レイトアはなるべく高速移動を使いながら避けることに専念することで時間を稼ぎ、その間にフィクスは大男の後ろの方の木に隠れながらこそこそ移動している。
レイトアがそろそろいいだろうと思った時、大男の正面、それも上に移動した。その位置は大男の頭上よりも高くちょうど隠れているフィクスの位置がわかる場所だ。
「今だ!」
と、レイトアは声を出し、その声を聞いたフィクスは瞬時に剣を投げた。
しかし、レイトアが高速移動を使おうとしたその時だった。
「はっ、完全に理解したぜぇぇ!通りで剣が1本になってるわけだ!」
ちらりと少し後ろをみた大男はそう言い、飛んできた剣を蹴り飛ばした。そして、作戦が失敗したと思ったレイトアはすぐさま剣を振り下ろし大男に怪我を負わせようとしているが、その攻撃も避けた。
「あまっちょれぇぇんだよガキどもがよぉぉー!」
と大男が言ったその時だった。
「おいレイトア!これは作戦失敗でいいんだよな!」と言い手から魔法陣を出し、そこから炎が飛び出し、その炎を使い自身の手を燃やした。
「いっけぇ!ファイヤーパンチ!」
そのパンチの勢いは凄まじく、大男が見て対応しようとした時には大男の腹に直撃していた。
あまりの力に大男は気絶し、地面に倒れた。
「熱い熱い熱い!レイトア早く水持って
きて!」
燃えた(燃やした)手に対してフィクスはそう言った。そしてその後御者が水を持っていたためそれを使い消化した。
あれから数分、俺が馬車に縛った大男など盗賊を乗せた時、レイトアが話しかけてきた。
「なあ、お願いだ!レイトア、俺を連れて行ってくれないか?」
と手を合わせながら聞いてきた。
「安心してくれ、これからお前は俺たちとサムバストと言う国に行って、そこで自由に生きろ」
「いやいやそうじゃなくて、お前と一緒に旅に出たいんだ!連れて行ってくれよ!」
「いや、すまないがそれは無理だ。お前のイメージしている旅と俺の行く旅はおそらく全然違う。きっと、後々後悔をさせるだけだろう。」
俺の行く旅は村を壊した奴に復讐する、殺すための旅だ。こいつの性格的に自由の保証はないがサムバストなどで生きるほうがきっと自由に旅ができる。
そう思っていたがフィクスは
「何言ってんでだよ。後悔するだって?俺が行きたいと決めたなんだ!後悔なんてしないぜ!」
まるで理屈が通っていない。しかし、俺はなぜかその言葉に納得してしまった。
そしてフィクスは
「ってなわけでこれからよろしく頼む!」
と手を差し出してきた。
それに対し俺は「ああ、よろしく頼む、あと、ありがとう」と言い手を差し出し握手した。
村の人たちが殺されたのを見た時、感じてしまった。俺の人生は狂い始めたのだと。
そしてフィクスと出会った時、感じさせてくれた。俺の運命をフィクスは狂わせてくれたのだと。
俺はクズだろう。なんと言っても復讐をするんだ。
自分のために復讐をするんだ。
周りの人が聞いたら「復讐なんてダメだ」「復讐をする?許してやれ」そういうはずだ。
日が経ち、そして考えた。
そいつを許して俺の気持ちが変わるならそれでいい、と。
でも俺は許せない。
変われなかった。
俺の故郷を崩壊させ、そして村の人達を殺した。俺の村で仲良くしてくれた人達を。
そして俺は耐えきれないんだ。幸せに生きたいわけじゃない。でも、『復讐』でしか消えることのない、この『苦しみ』を無くさせて欲しいんだ。