俺の名前は・・・(2話
俺は『そいつ』に敵意が向いている内に飛ばされた剣を一本取った。
もう一本は壊れてしまったが、まだ剣はある。
レイトアは『そいつ』に向かって
「その剣、貸せ!」
といい、半ば強引に取った。
しかし、その瞬間、レイトアは取った剣をすぐさま投げた。しかし投げたと思われた剣の位置にはレイトアがいた。
「しゅ、瞬間移動した!」
そう驚きを見せている『そいつ』に話すのはまた後だ、今はこの盗賊達を倒すことに集中しないと。
一人は『そいつ』が落ちた時に気絶しているな。
そう考えながら俺は残りの盗賊の武器を弾き飛ばした。
そしてすぐに顎を殴り、気絶させることで行動不能にした。
その後、気絶している盗賊を縄で縛りつけた。
もしかしたら俺達を襲う前に誰かの金品を奪っているかもしれない。
そうなるとその人の元に返してあげるべきだろう。
するとそいつが話してきた。
「さっきはありがとな!て、お前、俺を殺すつもりはないよな?」
「殺す理由がないからな。ところでお前、名前は?」
そう盗賊を縛りつけながら『そいつ』に聞いてみた。
すると、
「お、やっと聞いてきたか。いいぜ、教えてやる」
少し生意気だなと心の中で思っているとこんなことを話した。
「俺の名前はフィクス、またの名を不死鳥フェニックスだ!」
それを聞いた時、驚きを隠さなかった。
あまりにも信じ難い。
・・・・・・・が確か納得する点はある。
まずその見た目。まるで燃えている炎のような見た目、手に鳥の様な羽がついているなど他にも子供の頃に見た幻の生物が描かれた本で見たことのあるフェニックスと類似している点が何個もある。
そして圧倒的な再生力。先ほど剣を刺されたはずなのにもうその傷は塞がっている。
再生力が高い生物は多くいるがここまで早いとなるともはやフェニックス以外に考えらない。
不死鳥フェニックス、その名の通り不死の鳥。
一生を過ごしても会うことはできない者が目の前にいるとすれば、偶然・・・いや運命と言っても差し違えないだろう。
そういったことを考えているとフィクスは聞いてきた。
「ところでさっきの瞬間移動したのは何なんだ?」
フィクスが聞いてきたので俺は軽く回答した。
「今のは『魔力』って言うんだ。知らないのか?」
「俺は上から落ちて来たんだぜ。こっちに来たのも初めてだし知るわけないだろ。」
「それもそうか。まあ簡単に言うと魔力って言うのは力を持つ者が1人につき一つ手に入れることができる能力のことだ」
俺は続けて話した。
「魔力は体内にある魔素という何にでも存在するエネルギーを使うことで発動できるんだ。」
へぇーとフィクスは少しは分かった?かのように返事した。
そう話していると森からどん、どんと足音が聞こえてきた。
「おいおい、何かでけぇー音がしたかと思ったら、俺様の子分共がやられてるじゃねぇかよぉ、なぁ、そこのお前らっ!」
と言いながらおそらく盗賊のリーダーと思われる大男がその大きな右腕を俺たちに奮ってきた。
大男は俺たちが攻撃を避けたことを見てすぐさま2発目の攻撃を入れてきた。
「一回避けた攻撃をもう一度放ったところで、結果は変わらないぜ!」
と言ったフィクスに対して、大男の左腕は皮膚を突き破り筋肉が見え、今までよりも大きくなった腕により直接攻撃を受けてしまい、フィクスは吹き飛ばされた。
「誰がさっきと同じだと言った。お前の頭がどうにかなる前に覚えておきな。俺の魔力は『筋肉増強』。その名の通り筋肉を強くする魔力だ。こいつは筋肉勝負ではいままで誰にも負けたことがない、つまり、筋肉界最強の魔力だぁぁぁーー!」
と大男は言い放った。
レイトアはフィクスが吹き飛ばされた場所へ行き森の中に連れ込み、隠れた。
「ちっ、くそ!なんだよ筋肉界最強って!」
「おい、まだ動けるか?」
「あぁ、今にでもあいつに一発殴ってやりたい気分だせ」
「わかった。なら作戦に手伝ってくれないか?」
「俺があいつに殴れるならいいぜ」
「そうか、じゃあこれを預けとく」
といい、剣を1本預けた。
「これで斬りに行くのか?」
「いや、俺の魔力『高速移動』を使う。
簡単に言うと自分の魔素への移動。これは俺の魔素をつけた場所に移動する魔力だ。だからその魔素との間に壁などがあると衝突する。そこでお前は奴と俺の背後に回ってその剣を俺が合図したら奴に向かって投げて欲しい。」
「わかったけど、俺が殴るは?」
「・・・この作戦が終わったら頼む。」
フィクスは納得をしていない顔はしているがわかった。とだけいい、作戦を始めた。
「やっと、見つけたぜぇ!黙ってお家に帰ればよかったのによぉぉ!」
と言いながら大男は『筋肉増強』によって大きくなった腕を奮い落としてきたがレイトアは難なく避けた。
「・・・たとえ家に帰ってもお前は追ってくるかもだろ。なら、今倒した方が楽だ」と言い、レイトアは剣を1本もち、大男に向かった。