理由
これは、確かに美しいかもしれない。
あたしもサキも目の前のアーリーンの姿に言葉が出なかった。
「どうじゃ、これが私の本来の姿じゃ。美しかろう? 私はそんじょそこらの存在とはわけが違うんじゃ! 選ばれた存在! 大陸一つを作り出せるほどの力を持った特別な存在なんじゃぞ!!」
アーリーンの言葉で金縛り状態がまた解ける。
今なんて言った? このアーリーンは。大陸一つを作り出した??
「ちょっと質問!!」
手を挙げてアーリーンに聞く。
「アーリーンってもしかして神様か何かなの?」
「いや、そういった存在ではないのう。私はお前たちが今から行く異世界の最初の人の血を濃く受け継いでおる存在での。そこではずいぶんと昔にほかの星からやってきた者たち、最初の人たちが幻獣や神獣などといった者たちを住まわせることにより人間や他の種族が生きられるようになったのじゃ。それで色々な大陸や国々を作り出し星は繁栄を極めてい言った。私もある大陸を、まあお前たちが行く大陸を作ったわけなんじゃが、少々いじりすぎてのう。世界中の魔素のバランスが崩れて魔素を必要とする生き物にとっては非常事態が起きてしまったのじゃ。それを私ほどとは言わんが、最初の人の血を濃く受け継いだ仲間が何とかしてくれて、何とか世界中の魔素のバランスを元に戻したんじゃ。そこまではよかった。そこまではよかったんじゃが。問題はその後からじゃ!! 仲間たちは私が起こした問題について私のしたことについて謝れと言ってきたんじゃ! 最初の人の血を濃く受け継いだ私に向かってじゃ! 実に頭にくる話じゃった! なぜ私ほどのものがそんなことをしなければならないのか! 頭にきた私はそれをずっと拒んでいた。すると! ちゃんと反省するまで力を没収され封印されてしまったんじゃ! 実に腹立たしい話じゃろう!? なぜ私がそんな目に合わなければならないのか! おかしいとは思わんか!? のう!?」
「「あほくさ~」」
あたしとサキは口をそろえて言う。
なによ、思いっきり自業自得じゃないのよ。
「あほくさ~とはなんじゃ!! 私は事実を述べておるだけじゃぞ!! まったくどいつもこいつも私のことを馬鹿にしおってからに!」
怒るところがずれてる気がするんですけど……
あれ? でもそれなら
「ねえ、今そんな奇麗な姿をしているってことはその力とやらを取り戻したんじゃないの?」
あたしが言うととたんにアーリーンが慌て始める。
「い、いやこの姿になるにはそうとうな時間が必要なんじゃ。ああ! 時間が……」
ボボン!!
突然目の前にいたアーリーンが派手な音とともに煙に包まれてしまった!
「な、なに!? 何が起きるの!?」
またもやサキと手を取り合って事の成り行きを見守る。
しばらくすると煙が晴れアーリーンが姿を現した。
しかし目の前に現れたのは小さな人形だった。
目は線が二本引かれているような作りになっていて、口元はなんと点になっている。
でも姫カットのセンター分けや、かなり簡単なつくりになってるけど巫女さんのような服を身に着けていて、まるでアーリーンを小さな人形にしたような感じだ。
「こ、これってもしかしてさっきまでのアーリーンなんじゃないの?」
サキが触ろうとして手を伸ばすと突然その人形がむくりと起き上がった。
「あああああ! こ、この姿だけは見られたくなかったというのに……お前たちが時間をかけすぎるからこんな姿になってしまったではないか!!」
この声はやっぱりアーリーン! もしかしてさっきまでの美しい姿は長い時間をかけてやっとなれた姿だったの!?
なんかあほくさいことになってますが引き続き読んでやってください。