第5話「更生プロジェクトその5!」
その日はなんて事ない日だった。まさかお嬢様があんなことをするなんて誰が思っただろう。お嬢様の部屋に向かった時だった。ノックをして入ろうとした時、
「お嬢様、失礼します。」
「ルイ!」
「今日は付いてこないで!」
「え?」
その言葉の意味が理解できない。なにかしてしまったかと問うが、はぐらかされる。なにかしてしまった覚えもない。
一体何故お嬢様にさけられないといけないのだろうか?嫌わた?思春期?反抗期?一体何が問題だったのだろうか?ずっと考えるが思いうかばない。しばらくしてローズは部屋から出てきた。ついて行こうとすると怒られる。
「こないで!ひっぱたくわよ!」
「は、はい。」
「ルイは部屋で待ってて!」
そう言われ執事室へと言って休む。本当になんなのだろう?半日がたったころ、お嬢様が部屋に入ってきた。
「ルイ」
何やらもじもじしている。何かを後ろに隠していた。
「これ、あげるわ!」
「へ?」
ローズがルイに差し出したものはクッキーだった。
「その、他の使用人達に手伝ってもらって、作ったの!たべる、わよね?」
「お嬢様(泣)」
「なっ!なんで泣くのよ!うまく作れたはずなのだけれど……」
俺はそのクッキーを受け取って泣いていた。あまりの嬉しさから。
「お嬢様、ありがとうございます!お嬢様の執事になれてこれ程良かったと思うことは初めてです!」
「……ふ、ふんっ!おおげさね!一緒に食べてあげるわよ。」
「お嬢様、ありがとうございます!早速お茶を入れてまいりますね。」
本来使用人と一緒にたべることなどほぼないのだが、今日は特別らしい。お嬢様と一緒にお茶を飲みながらクッキーを食べる。
「美味しいです。お嬢様。」
「ふんっ!当たり前よ!」
人のことを思える優しい性格に育ってくれた。これならきっと!きっと!乙女ゲームを生き残れる!