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第3話「更生プロジェクトその3!」

お嬢様更生プロジェクト始動から2週間がたったある日の事。


「お嬢様、今日はピクニックに出かけませんか?」


「ピクニック?」


「ええ、花が綺麗に咲いたところを見つけたので!よければ…」


「ふーん、まあ、いってあげなくてもよくてよ?」


「ありがとうございます!あらかた準備はしておきました!さあ、馬車へ。」


「ええ。」


馬車に乗ったローズは馬車からの風景を満喫していた。


「外に出るの久しぶりだわ!」


「そうですね。」


と、たわいない会話をしていると、すぐに目的地にたどり着いた。他の使用人達とピクニックのシートを敷いていると、


「ルイ!見てみて!あんなところに綺麗な鳥がいるわ!」


「そうですね!」


これは優しい性格にするのに成功したのでは?!そう思ったのも束の間、


「私、あの鳥が欲しいわ!取ってきて!」


「ええ?!お、お嬢様?!」


「あんな高い所…」


「取ってよ!取って!!」


ええええ?!高いし、届く気がしないのだが、お嬢様の為である。ここはなんとか……


木に登ろうとしているとローズが自分でとってくると言って走って行ってしまった。


「お嬢様!危ないですから!お止めください!!」


「大丈夫よ!これぐらっ…きゃーーーー!!」


案の定ローズは足を滑らせて木の下へと落下する。ルイは猛ダッシュで走ってローズを抱きとめた。否、抱きとめようとしたがそのままローズに潰された。


「いったた……」


「ルイ、大丈夫?ごめんなさい。」


「いえ、お嬢様にお怪我がなくてよかったです。ははっいたっ。」



「ルイ、足を痛めたの?大丈夫?」


「はい、大丈夫…いたた」


「無理はしないでね?」


なんて情けないんだろう。こんな小さな女の子に心配をかけてしまうなんて俺は本当に情けない。


その後はシートの上でお弁当を食べて花を愛でて馬車で帰宅する。


馬車に乗っていると急に馬車が止まった。

ヒヒーンッと、馬の声が聞こえた。


「どうしたの?」

「さあ、どうしたんでしょう?」


そうこうしているうちに馬車の扉が荒々しくあいた。


「出てこい!金づる!!」


「きゃっ!嫌っ!!」

ローズは腕を掴まれて外へ連れて行かれそうになる。それをルイは必死で止めた。


「お嬢様!逃げましょう!!」


ルイはローズの手を引いて逃げる。だが、子供の足だ。すぐに追いつかれた。


「お嬢様、この茂みに隠れていてください!」


「ルイは?!」


「俺はアイツらを引き寄せるます!必ずここから出ないでください!」


「わかったわ!」


「おい、どこいった?!」

「あっちか?」


「こっちだ!!」


見つけたぞ!追え!と言う声と同時に3人の大人に追い回される。そしてルイは行き止まりに追い込まれ、痛めた足で転んだ。このままでは!そう思った時だった!


「glace!」


その声で3人の男達の足元は氷ついた。


「ルイっ!早く!」


「お嬢様!」


そうだ、ここは乙女ゲームの世界、お嬢様は魔法が使えるのだ。すっかり忘れていた。


かくゆう俺は使用人なので使えないはずだった。この世界で魔法が使えるのは貴族だけである。ローズに手を引かれて馬車の方へと戻ってゆく。


「お嬢様、馬車に戻るのは危険では?」


「大丈夫よ!あいつらの狙いは私!馬車に見張りはいないはずだわ!」


お嬢様の言葉を信じて馬車まで走る。そこでは、使用人達がローズとルイを探していた。


「ほらっ!」


と、ローズが言った瞬間に暗転する。


「へへ、捕まえた。」


1人見張りが居たのだ。使用人達とは少しまだ距離がある。



「助けて!!ルイ!嫌っ!!」


「お嬢様!!」


なんとかお嬢様を取り返そうとするルイだが、ガタイのいい大人の男の前では塵も同然だった。ルイは男に殴られる。そして、フラフラになりながらもローズの為に立ち上がる。


「お嬢様を、返せっ!!!!」


その瞬間手から光が溢れた。


「flamme!」


男は炎に包まれる。


「ぎゃーー!?なんだこれ?!魔法だと?!ただのがきが!なっ!」


そしてローズは地面に投げ出された。


「お嬢様!」

「ルイ!」


2人は手を取り合って使用人の馬車まで戻った。使用人達からは心配したと言われ、その無事を喜ばれた。馬車に乗り、急いで屋敷へと帰る。そして、旦那様と奥様にしっぽりとルイは怒られたのであった。


「全く、危険な目にローズを合わせるなんてどういうつもりだ!」


「申し訳ありません!」


「だが、2人とも無事でよかった。何よりだ。よく、ローズを守ってくれたね。ありがとう。ルイ。」


「へ?」


「ルイはローズの為に頑張ってピクニックの予定を立ててたものね。ありがとう。ルイ。でも、危ない事はもうしないでください。私達も、今度から外にローズを出す時は用心棒を雇うことにします。」


「ありがとうございます。」


2人からの説教が終わると部屋から出たルイを待っていたのはローズだった。


「ルイ、ありがとう。」


「お嬢様、申し訳ありません!」


頭を下げて膝まづくルイ。そんなルイをローズは抱き寄せた。



「?!」


「ありがとう、ルイ。楽しかったわ。」


「お嬢様、ありがとうございます!」


こうして困難を乗り越え、少し優しくなったローズ。だが、更生プロジェクトはまだまだ始まったばかりである。

読了ありがとうございます。


少しでも面白いと思っていただけたら『ブックマーク』と、評価の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。


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