第2話 「更生プロジェクトその1と2」
悪役令嬢の執事に転生したルイ、そんなルイが前世を思い出した時には既に断罪イベント1日前。お嬢様に死刑が言い渡された瞬間に10年前にタイムスリップ!
今度こそお嬢様を更生させてハッピーエンド二してみせる!そう誓うルイだった。
そんなローズお嬢様更生プロジェクトの始動により、今日も今日とてルイは奮闘するのだった。
「お嬢様、今日はとてもいい天気ですね。」
「ええ、そうね。」
「庭の花でも見に行きませんか?」
悪役令嬢を優しい性格にする。そのためには命の尊さを学ぶべきだ!そう思ったルイはお嬢様を庭へと引きずり出すのだった。
「……」
「どうかされましたか?お嬢様?」
「どうして花なんて見ようと言い出しましたの?」
「え、そ、それは、綺麗な花を見ればお嬢様の心も安らぐのではと、思いまして。」
「ふーん、まあ、嫌いじゃありませんけど……」
「ほら、お嬢様、見てください。この薔薇。とっても綺麗ですよね?」
「……ええ、そうね。」
「青い薔薇はお嬢様の瞳のようで、とっても綺麗で、お嬢様ににあいますね。」
「……さっきからなんなの!もう!からかってますの?」
ローズは少し頬を染めて怒りだした。
「え?違いますけど……?」
「まあいいわ。もう花を見るのはあきました!私は戻ります。」
「え、あ、はい。」
失敗かな……?お嬢様に優しい性格に育って欲しいと思ったのに……。
部屋に戻ったローズは困惑していた。
私に花が似合うなんてどう言う意味なの!?ルイのバカ!急に変な事言わないでよ!
そうローズは困惑して部屋に籠るのだった。
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別の日、今日こそはお嬢様更生プロジェクトを成功させる為にとルイは張り切っていた。
「お嬢様、今日はお菓子を作りませんか?」
「お菓子?私が?」
「はい!」
女の子らしい事と言えばお菓子作り!お嬢様には淑女に育っていただかなければ!
「ふーん、まあ、いつものダンスレッスンやらマナー講座よりは楽しそうね。」
「ええ!是非一緒にしましょう!」
こうして、お菓子作りを始めた2人。
「今日はクッキーを作ろうと思います。」
「クッキーね。ふーん。」
「まず生地をこねて、それを型でぬきます。簡単でしょ?あとは焼くだけです。」
ローズは言われた通りに生地をこね。型でぬき、それをオーブンへと入れた。焼き上がるのを待ってオーブンからクッキーを出そうとした時だった。ローズがうっかり素手でトレーに触ってしまったのだ。
「きゃっ!?」
「お嬢様!?」
「だ、大丈夫、少し熱かっただけ……」
「お嬢様!大変です!すぐに冷やさないと!」
そう言うとルイは水道の水を出し、ローズを背中から抱き寄せ、火傷した手を持ち、水を手にかけた。
「る、ルイ?!」
「お嬢様、しっかり冷やさないとあとで水膨れになります。」
「だ、大丈夫!1人で冷やせるわっ!」
「そうですか?」
「そうよ!近い!!」
「すみません。」
ローズは少し近づいてくるルイに、ドキマギしていた。対してルイはそんなお嬢様を少し不思議そうにみていた。
クッキーは無事に焼けていた。ローズはその後クッキーを紅茶と共に味わった。
ローズ更生プロジェクトは始まったばかり、しかし、お菓子作りを身につけてローズは特技を身につける事ができた。淑女までの道のりへ、遠いが小さな1歩になった。
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