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第4話  雑談からの共に探索

翌朝、9時、『FSO』内の噴水の前に茜は立っていた。

すると目の前に転移の光を纏った葵が現れた。


「あ、えっとーなんて呼べば良い?」


「へ?あっ忍者、ってことは、だね。私のプレイヤーネームはユア」


「ユア?」


「そう。名前の頭文字をとってユア。よろしく」


「私はアヤネ。名前を合体?させてアヤネ。よろしく。早速、フレンド登録済ませちゃおうか」


「そうだね」


「はい、申請したよ」


「はい、了承したよ」


「それじゃあとりあえずあそこのカフェ行こうか」


「え?あれ、カフェなの?」


「ん?そうだよ」


「あの建物全体に植物が覆い被さってるやつが?」


「うん」


「マジかー。ちょっと入るの抵抗あるかも」


ユアがそう感じるのも無理はないだろう。このカフェの見た目は廃村や森の奥深くに建っていて近寄りがたい雰囲気を釀し出しているやつに似ているのだから。


「まあ、少なくとも味と内装は大丈夫だよ。私、昨日入ったから」


「ホント?」


「ホントだよ」


「な、なら行こうか」


ガチャ、カランカラン。


「いらっしゃいませ。2名様ですか?」


「はい」


「この席にどうぞ」


「ありがとう。ほら、早く早く」


「う、うん」


「ご注文が決まりましたらこのタッチパネルを押してください」


手が指す方向に顔を向けるとそこにはタッチパネル式のメニューがあった。


「はーい。ユア、何にする?」


「何があるの?」


「ケーキとか、コーヒーとかあるよ」


「じゃあ、イチゴのショートケーキがあったら、それかな」


「ブレないね。じゃあ、私もそれにしようかな。ユア、押してみて」


「わかった」


ユアがアヤネに言われた通りタッチパネルを押すと、チャリンチャリンという軽快な音が響く。


「え!?タッチしたら自動でお金取るようになってるの?私、今のであと100コインになったんだけど?アヤネ」


「ご注文の品をお持ちしました。ごゆっくりどうぞ」


「ありがとう。おぉー、美味しそう。ほら、ユアも食べようよ」


「アーヤーネ?」


「ごめんごめん。驚く姿を見たくて。お金は出すから、えっと、はい、届いた?」


ユアに詰められてアヤネは笑いながらお金を送る。


「うん、届いた....けど私の分も払ってもらって良かったの?」


「もっちろん。このゲームでは先輩だからね」


「たったの1日だけでしょ。あ、美味しいねこれ」


「でしょ。味覚まで再現できるのすごいと思うわほんと」


「いや~、外観とのギャップがスゴいね」


「私も昨日の夜に1人で入ったときは怖かったよ」


「よく夜にここに入ろうと思ったね。はぁ~、美味し〜。飲み物も頼もうかなー?」


「ちょっと気になっちゃったからね。入ってみた」


「それでこのあとどこ行くの?」


「私は正直どこでもいいんだよね。ユアが行きたいところで」


「えぇ〜、そう言われても初めてログインしたんだけど私」


「それもそうだね。なら一緒に考えよっか」


アヤネは壁の方にマップを出すことでユアにも見れるようにする。


「昨日の夜にフィールドを走り回ってだいたいどんなところかは把握したけど」


「走り回ったって......AGIの数値は?」


「レベルが上がったときのも入れたから130かな」


「130!?それってほとんど極振りじゃないの?」


「いや、ほとんどというか完全に極振りだけど?」


「極振りでもうレベルが9」


「走り回ってる時に上がって10だよ、今は」


「1日で10も上げるとか、スゴいね」


「そうかな?」


「そうだよ。追い付くのが大変そうだ」


「ユアは?ステータス」


「私はAGIが75のSTRが25。やっぱりパルクールを生かしたいから」


「だよねー、分かる。私もパルクール生かすためにAGI上げたもん」


「アヤネは上げすぎだと思うけど」


「極振りで成功したらカッコよくない?」


「カッコいいけどその分難しいよー?」


「だからこそ燃えるんだよ」


「なら頑張って」


「もちろん」


「じゃあ、とりあえずレベル上げをしたいからレベル上げが効率よくできるところに連れていってよ」


「りょーかい。ならここの森かな?昨日、ログインしてからすぐここに行ったんだ。モンスターも弱いし、数も多いし、良いと思うよ」


「ならそこに行こうか」


「うん、でもその前に食べきっちゃおー」


「そうだね」



◇◇◇


「「ごちそうさまでした」」


2人が席を立つと、さっきまで机の上にあった皿が消える。


「ん?席、立ったら消えるんだね」


「私も最初はびっくりしたよ。スゴいよね」


2人は技術に感心しつつ、店を出る。


「道案内よろしく」


「まっかせなさーい。こっちだよ」


「アヤネ、どのくらい強い?今から行くところのモンスター」


「えーっとねSTRが0でも武器のSTRだけでも倒せるよ、2発で」


「じゃあホントに雑魚モンスターだね」


「そうそう、だから13、4体くらいに囲まれたときはビックリしたけど冷静に動けばなんとかなったよ」


「ん?13、4体?」


「うん、13、4体」


「スゴいね。私だったら出来るかな?」


「出来るでしょう。だってSTRあるもん、一発で倒せるよ。まあ、私が殲滅できたのは木があったからなんだけどね」


「木?どうして?」


「え?だって木蹴ったり、木から登ったり、ぶら下がったり、飛び降りたり、木に手をかけて方向転換したりしてなかったら私、殲滅できてなかったと思うから」


「なるほど。しっかりとパルクールしてるね」


「まあAGI極振りだしパルクール以外に使える武器がないよねっていう話。もう入るよ」


「オッケー」


「じゃあ、私は観戦しとくね」


「え?どういうこと?」


「モンスターに気づかれにくくするの。【隠密】」


「ズルい。私も欲しい」


「ダメだよ。ユアのレベル上げを手伝うんだから。ヤバい時はちゃんと助けるから」


「ちゃんと助けてよ」


「もちろん。あ、モンスター集めようか?」


「どうやって?」


「こうやって。【釘付け】」


アヤネが昨日手に入れたスキルで近くのモンスターを呼び寄せる。


「え?うわぁっと、あっぶなーい」


パリンッ


「じゃんじゃん来るから頑張ってね」


「えー?」


アヤネは木の上に登り、完全観戦モードに入った。

そして、そこら中から草の揺れる音が聞こえる。


「無理無理無理無理無理ぃ。いきなりこの数は無理ー。アヤネ助けて」


「じゃあ、その半分ウサギ半分キツネはよろしく。熊はめんどくさいから私がやる」


「うん、ありがとう」


「7体くらい無傷で勝ってやる」


そこに元気よく飛びかかってきたモンスターが2体。共に串刺しになった。


「はい、2体上がり」


ユアは右にある木に向かって走る。その木に登り、モンスターの数と大体の位置を確認する。


「あそこの3体が近いからあそこから行こうか。よっ、と」


木からジャンプをして目をつけた場所に着地する。素早く剣を振り、攻撃を与える。

その場にいたモンスターはそれぞれ真っ二つ、串刺し、真っ二つに姿を変えて消滅していった。


「ふう、あと2体」


ちょうど飛びかかってきている個体を串刺しにしてあと一匹に装備している長剣を投げつけるとキレイにど真ん中を射抜く。


「やった!倒せた」


<Lv.3になりました。>


「おおー、レベル上がった」


ごつんッ


「痛っ!!何すんのさ、アヤネ」


「いや、モンスターが近くにいてもおかしくない状況でよく、武器ぶん投げて無防備になれるなー、と感心していたのです」


「なら叩くな」


「ちょっと叩かないと気がすまない気がしたので」


「どういう気だよ。それよりも熊は?」


「倒したよ」


「はあぁ良かった」


「でも、熊を倒しきる前にユアが倒しきってこっちに来るかもと思ってたけど倒しきれてなかったね」


「それは仕方ない。初めてだし」


「まあ、おおめに見てあげる」


「勘弁してよー」


「じゃあ、そろそろこの森の正規のダンジョンに行こうか」

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