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第1話  卒業式からの初ログイン

ここは中学校の体育館。現在、卒業式の真っ最中。卒業生の中にウズウズと常に動いていて落ち着きがない者が一人いる。名を宮田茜。中学校の卒業式という人生で1度しかない機会なのにウズウズしている理由。


(早く終わらないかなあ.....)




◇◇◇◇◇

時は、遡って2024年12月1日。

この日は世界で始めての完全VRMMOゲーム「Fresh Sense ONLINE」通称FSOの予約販売が開始した。それにはもちろん茜も電話をした。その日は土曜日で午後3時から開始でも難なく電話できた。先着1万人がソフトと遊ぶときに身につけるVRギア、そおしてそのソフトを予約できる。現在、午後2時55分。あと5分で始まる。

茜はスマホをいつでも掛けられる状態にして待っていた。


「あと5分。ジャストで掛けたら回線パンクして繋がらなそうだからちょっと早く掛けよう」


ちょっとと言っても1、2秒だ。そのまま待っていると時計の針が59分を指した。ここからはスマホの時間を頼りにする。スマホとにらめっこして午後2時59分58秒になったところで電話を掛けた。応答があったのは午後3時ジャスト。


『お電話ありがとうございます。こちらクリエイト・スターズです。VRギアとFresh Sense ONLINEのご予約ですね。』


「っ!はい!!」


『では、お客様の住所とお名前、電話番号を教えてください。』


「はい。名前は宮田茜で、住所は━━━━━━。電話番号は━━━━━━━です」


『はい。かしこまりました。確認させていただきます。宮田茜様。ご住所は━━━━━━。電話番号は━━━━━━━。で間違いないでしょうか?』


「はい、はい大丈夫です」


『これでご予約が完了しました。商品は2025年、3月1日にお届けします。』


「分かりました。ありがとうございました」


『またのご利用をお待ちしております。』




「やったー!!まさかできるとは思わなかったよぉ。これで受験を頑張ればあとは楽しむだけだ。よぉし、勉強頑張ろう」



◇◇◇◇◇

そして無事に志望校に合格し、今日を迎えたわけだ。2025年3月14日の今日は待ちに待った「Fresh Sence ONLINE」のリリース日。ちょうど卒業式が終わったあとの13時00分から遊べるようになるのだ。


(早く終わらないかなぁ。私は早くゲームしたい。友達は買えなかったみたいだけど.....ドンマイ。友達に買えたこと言わなくて良かった。言ってたら絶対にめんどくさかっただろうな)


ずっとそんなことを考えていた卒業式は滞りなく進み、無事に終わった。


(始まるまであと2時間半くらいあるし、中学最後の思い出だし、ゆっくりしていこうかな)


1時間ほどみんなと写真を撮ったり、話をしたりとのんびり過ごした。


「お母さん、帰ろう。なるはやで帰ろう」


「あ、そういえば今日の13時からだったわね。「Fresh Sence ONLINE」だったかしら」


お母さんが「Fresh Sence ONLINE」の名前を出した瞬間、みんなの視線が自分たちに注がれる。


「げっ、は、早く帰ろう」


同級生が近寄ってくる。

私はお母さんを車まで押して進んだ。

その最中に後ろから「待って!!」とか「裏切り者~」とか声が聞こえた気がするけど全部無視した。ていうか、私、裏切ってないし。


「早く、みんなの目が怖いから早く」


「そ、そうね」


お母さんが鍵を開けた瞬間にドアを開け、中に飛び込み、ドアを閉め、鍵を掛けた。ほどなくしてお母さんも乗り、出発した。


「ねぇ、茜」


「なに?お母さん」


「どうしてみんな急に目が怖くなったの?」


原因を作ったのはあなたじゃありませんでしたっけ?母上さんや。


「『Fresh Sence ONLINE』を買えた人ってホントに少ないんだよ。だから友達の中にももちろん買えなかった子たちがいるの」


「あら、そうだったの。てっきりもう友達には言ってると思ってたわ」


「言ったらあんな感じになると思ったから言わなかったの。『ピロン』もう、めんどくさいLINE来たんだけど」


呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない


「いや、怖いよ。そんなにしたかったの?うーん、なんて返そう。既読スルーで良っか。めんどくさいし」


「もしかしなくてもママのせい?」


「そうです!!反省してください」


「ごめんねぇ。ほら、着いたわよ」


よし、もう邪魔するものは何もない。


「じゃあ、ちゃっちゃとお昼ご飯、作っちゃうわね」


「うん、お願い」


子供心をよく分かってらっしゃる。


なら待ち時間に卒業アルバムでも見とこうかな。


「━━━━アハハハ、あったなぁ。こんなことも。あ、これも懐かしい」


と思い出に浸っていると、


「ご飯出来たわよ。ゲームするんでしょ。ちゃっちゃと食べちゃって」


「はーい」


今は12:30分。うん、充分ある。


茜はお昼ご飯を食べ終わってスマホをイジっている。


「あ、あと2分だ!!準備しないと。VRギアをコンセントに繋いで、ソフトを入れて、と。出来た。あ、あと1つあった。お母さん、5時くらいに戻って来るから」


「は~い。いってらっしゃい」


「うん、行ってきます」


茜は自分の部屋に戻ってくるとベッドに寝ころび、ギアをはめて13:00になるのを待った。13:00になった瞬間、


「リンクイン」

と呟くと視界が白一色に変わり、目の前にタッチパネルが現れた。


<名前を入力してください>

[   ]  [OK]


「名前かぁ。どうしよう。み、や、た、あ、か、ね、だからアミ?いやいや、あかね、うーん、あやね?よし決めた」


<名前を入力してください>

[アヤネ] [OK]


次は、ステータスか。


[アヤネ]


スキルポイント:100

HP:50 ↑ ↓

STR:0 ↑ ↓

VIT:0 ↑ ↓

AGI:0 ↑ ↓

MP:30 ↑ ↓

DEX:0 ↑ ↓   [OK]


「ふむふむ、STRが攻撃でVITが防御、AGIが素早さでMPが魔力?HPは0になったら死ぬやつでDEXが......何?これ。よくわからないから入れないで良いや。どうしよっか。パルクールしてるしAGIに全部で良いかな?STRは武器で補えるし、VITは攻撃に当たらなかったらいらないし、HPも同じ、MPは30あるからとりあえず保留、とするとAGIに全部になるよね」


[アヤネ]


スキルポイント:0

HP:50

STR:0

VIT:0

AGI:100

MP:30

DEX:0 [OK]


よし、次は装備ね。


[大盾]

VITが装備の中で一番高くなる。攻撃にはあまり向いてない。


[大槌]

攻撃力はピカイチ。小回りは効かない。


[双短剣]

対応力はダントツ。ヒットアンドアウェイが有効。


[長剣]

使い易さは一番。


[杖]

魔法職。遠距離攻撃に向いている。


[弓]

遠距離攻撃に向いている。


[槍]

間合いは剣や双短剣よりも広いが、直線的な軌道の攻撃なため避けられやすい。


「うーん、まぁ、対応力重視かな。ってことで双短剣っと」



<これよりフィールドへ転送されます。>


茜の体を白い光が包み込んだ。あまりの眩しさに目を閉じてしまったが、目を開けると緑豊かな小さな町の中にいた。

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