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最終話

     あとがき


 こうして彼らのことを書き終えることが出来たのは嬉しく感じています。しかしまだまだ、彼らのことについて語るべきことが多いのも事実です。大幅に抜け落ちている時代もあります。家族からの言葉も、伝えきれていません。

 しかし心配をしないで下さい。御存知の方もいると思いますが、抜け落ちている時代については、ロンがその半生を自伝として発表しています。僕もいつかその時代の物語を記そうとは考えているのですが、今回は見送ることになりました。それは、ロンの自伝があまりにも素晴らしいからです。僕はロンに敬意を表し、あえて見送ることにしたのです。

 彼らの家族から聞いた言葉は、それぞれの物語を作り、発表するつもりでいます。メンバー一人ひとりの伝記を書こうと思っているのです。

 今回僕は、キースの言葉を中心に、その時代背景を織り交ぜながら、ライク・ア・ローリングストーンの物語を書きました。ライク・ア・ローリングストーンのメンバーの中でキースとの仲が一番なのは言うまでもないのですが、やはりライク・ア・ローリングストーンといえば、誰もがキースの名前を思い浮かべるのが事実なのです。

 キースの人格は、それは素晴らしいものです。僕にとっても、この本を読んでいるあなたにとっても、キースはなくてはならない存在のことでしょう。キースが死んだ時、僕は本気で死んでしまおうかと考えました。それが無意味なものだとしても、そうすることで楽になり、もう一度キースに会えるかもしれないと考えたからです。哀しいことですが、現実にそう考え、実行した人が何万人も出てきてしまいました。事故の直後だけでなく、いまだにその流れは続いています。この本を手に取った方も、そういう気持ちがあるのかもしれません。しかしこの本を手にしたことをきっかけに、そんな考えは捨ててしまうことを願っています。

 この本を書いた本当のきっかけは、ポールの言葉があったからではありません。初めは確かに、その言葉をきっかけに書き始めました。しかし書き終えた今になって考えてみると、本当のきっかけは別にあるのです。

 彼らのことを思い出し、文字にしていくことが、僕の心を癒すのです。僕はキースを失った寂しさを、こうして思い出しているのです。長い人生を共にしてきた仲間です。キースがいない人生は、想像以上に虚しく感じられました。

 彼らはこれからも、きっと人々の心に残っていくことでしょう。それは永遠であり、ザ・ビートルズ以上であり、どんな宗教よりも長く続いていくことでしょう。

 彼らの伝記本を出版することになり、早速海外から、翻訳出版の依頼が来ています。大きく分かれた世界の中、失われた歴史以前の言葉を正式な母国語としている国が、一つだけあります。その国は、ノーウェア・マンが生まれた国であり、僕はその国に、一人の友達がいます。作家仲間であり、世界中の誰もが知っている物語を生み出した、林田広之がその人です。僕はその翻訳を、彼に託そうと考えています。彼ならきっと、素晴らしい翻訳をしてくれることでしょう。

 短いあとがきになりましたが、これ以上のことを書くのは、今現在の僕には出来ません。もう一度キースたちとのことを思い出し、またの機会に別の物語を書きたいと思っています。その時もまた、このへたくそな文章に付き合ってくれると幸いです。

                          ヨネ・タカマキ


 なんて話を長々としてきたけれど、これが大嘘だったりしたら面白いと思いませんか? 真実は未来に隠されています。僕はほんの少し、その未来を覗いてみたに過ぎません。多大な嘘を交えながら。

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