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世界中で始まった戦争に、意味なんてありません。大義名分を偉そうに並べても、誰一人として納得なんてしません。しかし、目の前の現実に戦いを余儀なくされています。戦いに参加をしなくても、戦場は目の前に広がっています。戦わなくては、生きてはいけません。今を生き抜くためには、戦わなければならないのです。
街全体が戦場と化したのに、理由はありません。誰もが自分の身を守りたいのです。その思いが強く、誰もが自由に銃を持つことが出来たため、自然とそうなってしまったのです。国同士の戦いとして始まった戦争ですが、国とは関係のない、ただの暴動と化してしまいました。
当時の国は、会社を倒産に追い込んだ反抗勢力のリーダーたちが指揮を執っていました。そのリーダーたちは、実は会社の幹部たちやその息子たちであり、事実上は以前からの権力者たちがバラバラに世界を支配していただけです。会社が内部分裂をし、その権力争いをしていただけというのが、現実でした。
しかし、動き出してしまった世界は、誰にも止められません。少なくとも、当時の僕はそう思っていました。
「俺たちは、暴力には屈しない。それが本当の、自由なんだ」
そんな中でも、ライク・ア・ローリングストーンは世界中を周るツアーを続けました。
「銃には頼らない。そんなものがなくても、人の心を変えることは出来るだろ? 俺たちはそれを信じ、続けてきた。確かに今は、時代が変わったな。安全な日々を平和と呼ぶのなら、今は最悪なのかもしれない。けれど俺は、今の方が以前よりも幸せだと思っている。多くの人が死んでいるのに、不謹慎なのはわかっているさ。けれど今、みんなが自由を求めている。自分の意思で日々の生活を送っている。これこそが幸せだろ? 世界はやっと、スタート地点に立ったんだ。ここから真の自由な世界が、始まる」
僕はなにも答えられませんでした。死んでしまった人のことを考えると、どうしても納得が出来ません。その言葉の意味は理解が出来ても、現実として受け入れることは出来ません。
「戦いなくして、人は前には進めない。それは歴史が証明をしているだろ? 殺し合いを薦めるつもりはないけどな、戦わなければ、人は先には進めない。俺たちだってそうだ。当時の世界と戦って、ここまで進んできた。お前もだろ?」
僕の戦いは、小さなものです。文字を書き、伝えているだけです。特別に表立った行動は、していません。
「お前が言いたいことは、わかっているんだ。けれど俺はな、それでも戦う必要があると言い続けるのさ」
戦争が始まり、キースの弟が殺されています。僕の親戚も、死んでいます。