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「ついにこの日が来たんだな」
「これは喜ぶべきことなのかい?」
「どうだろうな・・・・ 新しい世界が始まるんだ。悪いことではないな。けれど・・・・ 結局はなにも変わらないんだ。どんな時代になっても、不満は残る。ただ少し、以前よりは自由にはなるだろうな」
「キースはいつでも自由じゃないか」
「そうなんだ。俺の自由が、世界に広がった。今日はそういう日なんだ」
三千一年九月十九日、世界を支配していた会社が、完全なる倒産になりました。世界中に広がっていた全ての会社が、同時に崩れ去ったのです。反抗勢力が、新たな世界を立ち上げました。
「世の中に、正解なんてないんだ。人は繰り返す。繰り返しの中から、新しい世界を見つけていくんだ。俺たちにはもう、なにも出来ないだろうな」
世界中で始まった革命により、世界は一つではなくなりました。国という塊を作り、仲間たちが集まり、小さなそれぞれの世界を支配しました。
僕やキースのいるこの世界は、イギリスと呼ばれるようになりました。アメリカ、日本、失われた歴史以前に名乗っていた国名を持ち出し、そのまま名乗ることになりました。それと同時に、失われた歴史以前の歴史が、各国で公表されました。
国名は名前を拝借しただけで、領土も以前とは形を変えていて、その血筋もまるで関係がありません。今では世界の人類が一つの民族となっています。以前のような民族間の争いではなく、土地の奪い合いによる国作りがなされたのです。
歴史が繰り返されるのは言うまでもありません。会社の倒産と同時に発足した国は、同時に戦争を始めました。どの国も、自分たちの国が一番偉く、一番強いことを証明しようと必死になっています。