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 テイラーが辞めてすぐ、新しいギタリストが見つかりました。ミックの友達で、当時ギタリストとして世界一と称されていたジェフ・ペイジからの紹介でした。

 世界一という言葉が、当時は流行していました。ライク・ア・ローリングストーンも、世界一のバンドと称されていました。僕には、意味がわかりません。

 音楽や楽器の演奏に、優劣をつけるのは難しいと思います。答えのあるテストではありません。個性や感情が大事な世界です。いいものはいいのです。好きなものは好きなのです。評価をするのは、それだけで十分です。

 ミックは当初、ジェフをメンバーに引き入れるつもりでいました。ジェフは自身のバンドを組んでもいましたが、大抵の活動はソロで行っていました。一人でその時々の気の合う仲間と好き勝手に演奏をするのが、ジェフのスタイルです。

「ジェフはバンドに誘ったことを喜んでくれたよ。けれどメンバーにはなれないと言われた。ライク・ア・ローリングストーンの枠にはまるのが嫌なんだとさ。俺は別に、そんなつもりはない。自由にしてくれればいいと言ったんだ。けれどジェフは、バンドには参加できないと言い続けたよ。俺もミックも困ってしまったな。ジェフが入ればまた、新しい音楽を楽しめると思っていたからな。ジェフの作る曲は、確かに俺たちには合わない。だからこそ、楽しみにしていた。俺はジェフが、好きなんだ」

「僕もジェフは好きだよ。何度か会って話をしたこともある。僕はジェフの意見が正しいと思うな。ジェフはバンドの一員になるよりも、自由に生きる姿がよく似合う」

 少しは僕も、ジェフが加入したライク・ア・ローリングストーンを見てみたいと思っていました。ジェフのスタイルは、確かに彼らに新鮮な風を与えてくれたことでしょう。

「それで彼を紹介されたのかい?」

「まだ会ってはいないけどな。彼の参加したバンドは、どれも最高だ。上手くいく。そんな予感しかしないな」

 僕は少しの不安を感じていました。確かに彼は素晴らしい。しかしそのギターは、僕の好みではなかったのです。僕としては、彼はベーシストなのです。ジェフのバンドの作品で聴ける彼のベースは、素晴らしい。

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