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キースの掛け声を合図に演奏が始まり、観客の盛り上がりが高まりました。キースはマイクを手に取り、ステージを駆け回ります。そして観客を、煽りました。
「新しい家族が出来た! 新しい音楽を始める!」
キースはステージ袖に顔を向けました。するとそこから、勢いよくテイラーが飛び出してきます。キースはテイラーと共に作った新曲を披露しました。テイラーのギターに、観客の盛り上がりが絶頂を迎えます。それを切り裂くキースの歌声、最高の演奏が、始まりました。
キースは言葉を使わずに、テイラーを観客に紹介してみせました。ギタープレイを見せ、ステージ上で楽しんでいる姿を見せるのが、最高の紹介になると考えていたのです。
ライブは大成功でした。ブライアンの追悼も含め、テイラーの紹介も、どちらも満足のいくものでした。僕は始め、二つを同時にだなんて、無理だと考えていました。なにせブライアンは、前日に死んだばかりです。非常識な行為だと、世間だけでなく、僕もひそかに感じていました。しかし、それは間違いでした。そのライブは、ブライアンにとっても最高の瞬間だったことでしょう。