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キースのソロ作品は、非常識なものだとして、受け入れられませんでした。こんなものは音楽ではないと、頭の固い連中からは、音楽なんて興味のなかったような連中からは、バッシングの対象になったのです。作品自体は素晴らしかったのですが、売れ行きは不味いものでした。その後に再評価を受けてはいますが、決して正しい評価だとは言い難いと僕は感じています。
その内容は、ライク・ア・ローリングストーンの作品よりもよりストレートなものになっていました。吐き出すような歌い方が、パンクと呼ばれたこともあります。失われた歴史以前の音楽にも使われていたジャンルなのですが、その本来の意味は悪ガキという意味で、キースのその歌い方が悪ガキの叫びに似ているという理由からでした。その作品ではキースの感情が、勢いよく突き刺さってくるのです。僕としてはかなりのお気に入りなのです。
キースはソロでのライブも考えていたそうですが、企画の段階で中止になってしまいました。
「うるさい連中はどこにでもいる。邪魔ばかりだな」
「けれどきっと、観客は集まらない」
「お前までそう思うのか?」
「あの作品は好きだ。ライブでの演奏も見てみたい。けれど、そう思っている人は少ない。今はまだ、時期じゃないんだよ。いずれ認められる時が来る。その時を、僕も楽しみにしているよ」