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当時はまだ、ミックもイアンも地下でのバンドを継続していました。その活動は小さなものでしたが、辞めることは出来なかったのです。実際はライク・ア・ローリングストーンでの活動が忙しく、ライブに参加をすることは少なかったのですが、暇を見ては足を運ばせていたようです。かけ持つという考えは一般的だったので、その行動が非難されることはありませんでした。
多くのバンドが世に溢れたとはいえ、依然力のないバンドは地下での活動を余儀なくされていました。
バンドで市民権を得られる者は、ごく僅かでした。
今の時代を考えると、当時は平和な時代でした。争い事は少なく、人が殺される事件は稀です。戦争なんて、何百年も行われず、その言葉さえなくなりかけていたのです。
しかし、それだけのことです。色々な意見があるとは思いますが、今の方がよほど人間らしい世界になっています。日々、多くの人が死んでいることは、哀しむべきことですが、みんなの顔つきが、その目つきが、変わってきているよう思えます。誰もが必死に生きています。その目が、輝いています。退屈な目つきをしていては、生きてはいけません。みんながキースのような目つきをしています。