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始まり、そして終わり。-緋色の教室-
夕暮れの教室。
そこに、1人の少年が立ち尽くしていた。
癖のある紺とも黒とも言えぬ髪が、カーテンとともに靡く。
開け放たれた窓からは、微風とともに美しく夕暮れた街が顔を覗かせていた。
そして、
それと比較させるように
少年の手に握られた鋭利なナイフと、
少年の足元の少女は、
美しく、赤黒く染まっていた。
彼は「最善」と「最悪」の分岐点にいながら、自らの手で「最善」の枝を切り落とした。
元からここは、最低最悪の可能性の世界というのに。