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タンザナイト

タンザナイト 3

作者: 星野☆明美

千夏は、タンザナイトの指輪を買ってはめるようにしたあと、宝石に魅せられて行きつけのジュエリーショップに度々でかけては、気に入った華奢な指輪をちまちまと買い集めるようになった。

あんまり高額なものは買えなかった。しかし、ショップの女性店員と仲が良くなり、宝石や貴金属の情報を得るようになった。

「この前、別れた彼氏からもらった指輪を質屋に持っていったら数千円にしかならなかったから、安物をもらったのか?とかいう小説を読んだんですよ」

「ああ!それは、彼女の方が世間知らずですよ」

「もともとは高かったの?」

「そうです。何万円かしたんだと思いますが、質屋で鑑定すると、よほどのルース(石)でなければ、地金の部分だけ計算して時価で算出するんですよ」

以前は銀も高額で取引されていたが、今は二束三文だという。

プラチナと金の取引値が日々変動しているらしい。

「質屋以外に持っていったら?」

「リサイクルショップは買い叩かれますよね〜」

「うちの店に持ってこられたら質屋並のお値段で引き取りますよ。切れたネックレス、石が外れた指輪…」

「うーん。とりあえず、今はめてる指輪のクリーニング頼めますか?」

「はいはい」

店員のノルマでダイヤモンドのルースを売らなくちゃならないとのことだった。

四角いケースにルースと拡大して見る筒状のもののセットだった。

「ちょっと黄色がかってるかなぁ?」

「やっぱりわかりますか?」

「ええ」

「天然ものだから鑑別書つきです」

「うーん、これ。ノルマ?」

「はい」

「再来月の給料日に来たときまだ売れてなかったら買おうかな」

「いつもありがとうございます!」

他の店でダイヤモンドをサクラの花の形にカットしたものを見かけて、とても欲しかったが、その系列の店ではプラチナシルバーという謎の金属で商売していたので、足が遠のいていた。

ダイヤモンドかぁ。一つは欲しいかな?でも、自分に見合ってないものは手の上を素通りして行くものだ。ただ、店員への気持ちで買おうかなと思った。

高い趣味だから、仕事頑張らなくちゃ。

思わずため息をついた。

タンザナイトだけはしっくり馴染んで右手の薬指におさまっていた。

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