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俺の前に豚が横たわっている、眺めていると腹が鳴った。
「腹、減ったな…」
だが、解体して食おうにもナイフ等の道具はない…
辺りを見回したが、丁度良い石などは落ちていなかった。
「ふーむ、どうしよう…」
悩んでいる俺は豚の足から骨が突き出している事に気がついた。
「そうだ…これを加工すれば…くっ!ぅぅぅぅ!」
俺は豚の足から突き出た骨を力一杯ひねり廻したが、豚から出る血と脂で滑り、上手くいかない。
くそっ!段々イラついてきた…
俺の感情に呼応し、俺の右腕を粘土が覆った。
「うぉぉぉぉ!」
粘土の水分を追い出して硬化させ、右の抜手に纏わせ、何度も関節を突いた。
硬化させて居るのも魔力をかなり使うらしい…これは長くは持たないぞ…
左手で引きながら突く度に少しずつ千切れていく。
《ブッ!》
「くっ!ハァハァ…やっと離れたか…」
泥の中に切り離した足を入れ、回転した泥をぶつけて骨についた肉を削ぎ落とし、ナイフとして使える程度に研磨し、尖らせた。
完成する頃には魔力が殆ど枯渇していた。
「ぐはぁ!…ハァハァ…しんどい!」
でもナイフは完成した…これで肉を手に入れて、あとは焼くだけ…焼くだけ?
「あっ…」
『馬鹿な奴だな…妾は曲がりなりにも師匠だ…あまり辱めてくれるなよ?』
「あはは…」
完全に思慮が抜けてた…なんかわらけてくるな…
『まぁ良い、次が最後だ…』
「最後って、まだ食ってないのに!?」
『なぁに、今のお前なら時間はかからんさ…これに魔力を込めてみろ』
俺の足元にに小さな紫色の宝石が落ちたので、それを拾い上げた。