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アツい時期

 暑くも楽しい気分にさせてくる季節も、もうすでに半分が終わろうとしていた。

 それと同時にクリューンだけでなくどこの街も人の出入りが活発になってきているように感じる。何かあるのだろうか?


「それで何かあるの?」


 分からないことは素直に人に限る。ということで俺は地下の部屋でニヤニヤと笑いながら、なにやらまた怪しい薬の研究をしている恭也に聞いてみた。


「ん? あぁ、そうか。そろそろ準備の時期か。ということはレオンからの招集が今日にでもあるかもな」


 研究していた手を止めてこっちを向く恭也。黙っていてさらに動かなければ真面目に見える恭也だが、今のこいつからはたった一つでそれを支えていた表情の崩壊によって微塵もそんな雰囲気を感じることが出来ない。どこから見てもただの危ない奴だ。


「なんの?」

「それはな――祭りだ。それもただの祭りじゃなく、一年に一回の特別な祭りだ」




「よし、大方は集まったな」


 恭也が予想したとおり夕方にギルドに集まるようにとの連絡が、昼ごろにエルピリアのメンバー全員の魔報へと入った。それに従ってメアや恭也たちと集まって一階で待機しているとレオンが二階に現れた。


「さてお前ら。なんで今日ここに集めたか、もちろん分かるよな?」

「当たり前だろ、坊ちゃん!」

「そうだよな。またあの時期がやって来たからだ、あの――」

「「「「ファルケド神祈祭(じんきさい)が!!!」」」」


 ファルケド神祈祭――この世界に存在する神に一年間の感謝を伝え、そして見ているであろう神たちを楽しませる祭り――と恭也が言っていた。

 その規模は国を挙げて数週間にわたって行われ、全国に存在するほとんどのギルドがこの祭りのメインイベントである大会に参加するのだそうだ。


「そうだ。当然今年もエルピリアは出るんだが……」


 そこまで言ってレオンは俺たちを見まわした。


「去年、俺はこの国を離れるときに言ったよな? 俺がいなくても優勝してエルピリアは強いということを見せつけてやれ、と。だが結果は総合優勝はしたものの、各部門ごとに見ればいくつか結果がひどいものがあった」


 その言葉を受けて一気に騒がしくなった。


「違うんだ坊ちゃん! それはあれだ……あの時は頭が痛くて調子が悪かったんだよ!」

「そうよ。決して二日酔いだったわけじゃないんだから!」

「あ? そんなことはどうでもいいんだよ。それよりお前ら、今年は……」

「分かった! きちんと結果を出すから! そんな顔でこっちを見ないでくれ!」

「そうか、分かったんなら良いんだ。それじゃあ解散だ、帰っていいぞ」




「かなり優勝にこだわってるんだね」


 一階で待っているとレオンがやって来たので聞いてみた。どうもレオンはかなり優勝を重要視しているように思う。


「そりゃあ出るなら優勝を目指すのは当然だろ」

「そうじゃなくて差をつけて勝つことにさ」

「あぁ、それか。ほら、俺たちのギルドは他と比べて人数が少ないだろ?」


 レオンの言うようにエルピリアはギルドメンバーがかなり少ないのだ。俺はそれをフランヴィーレに行ったときにありありと感じた。


「滅多にないがギルド間で争いが起きることがあるんだ。俺たちは強いがそれでも人数の差というのはやっぱり戦力の差に繋がる。だからこういった機会にしっかりと力を見せつけて舐められないようにしておくのが大事なんだ。とくにうちは何故か他のギルドから嫉妬とかを買いやすいからな」

「なるほど」


 だからあんなことを言っていたのか。というかうちはそんなに嫉妬を買いやすいのか……普段の生活でそういったものを感じることはなかったが少し気をつけよう。


「まぁ今はそれはどうでもいいことだ。いま大事なのは……」

「あぁ、いま大事なのは」

「「「祭りで出店を何を出すか決めることだ!」」」


 ……出店?

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