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姫願槍・メティオラ

「それがメアの専用武器か……!」


 メアから魔力の奔流を感じると同時に、左手に赤い槍を握っていた。


「そうよ。さぁ、あなたから魔力を貰ったからと言っても時間がないわ。一気にけりをつけたいのだけど……ねぇ、障壁を展開できる魔力はまだ残ってるかしら?」

「ちょっと待って、ポーションを飲むから」


 ウルファルドの攻撃からみんなを庇ったこと、そして今、メアに大量の魔力を分けたことで魔力が枯渇しかけているのでポーションを飲んで回復を図る。

 俺が持つ全ての魔力の量に比べれば僅かなものだが一応は回復した感覚がある。


「うん、いけるよ」

「それなら私が合図したタイミングでいつもの大きさで張ってもらって良いかしら? そのとき、私が中に入れないようにしてちょうだい」

「分かった」

「それじゃあ……いくわよ!」

「りょーかい!」


「待たせたわね」

「大丈夫さ。それで僕たちはどうすれば良い?」

「私はとにかく攻撃に集中するからサポートしてくれないかしら」

「お安い御用さ」

「任せて」

「まずは一発目よ! 食らいなさい!」

「ギャイン!」


 メアの大きく薙ぎ払った攻撃を足首に受けたウルファルドが初めて、このような鳴き声をあげながら右前脚を上げた。どうやら刃が硬い毛の先にある肉を切り裂いたようで血が流れ出している。

 そして流れるように右後ろ脚へと走り抜けたメアは、今度はすねのあたりから縦に槍を振り下ろした。


「ギャオォォォン!」


 先程よりもさらに大きな鳴き声をあげるウルファルド。攻撃は確実に通っているようだ。


「こっちだ、こっち!」


 ウルファルドにとって今、この場で一番の脅威となるメアから少しでも意識を逸らさせるために、俺たちはできるだけ正面に立って攻撃を続ける。


「ぐっ……」


 まるで己の周囲を飛び回る小さな虫を払いのけるかのように行われた前足による薙ぎ払いを障壁を展開して受け止める。


「助かったよ、優臣君!」


 その間もメアは右足を中心に攻撃を続け、他の二人は毛を焼き切って少しでも刃が楽に通るようにサポートしている。


「はぁあああ!」


 そんな攻防を何度か繰り返し、動きが鈍くなってきているウルファルドの右後ろ足をメアが掛け声とともに大きく切り裂いた。


「グオオオ!」


 戦闘が始まってから一番となる大きさの声をあげながらウルファルドは右後ろ足の膝をついた。


「次!」


 そしてメアは続けざまに右前脚を斬りつけ、こっちも膝をつかせることに成功した。これでこいつはもう素早くは動けないだろう。


「あ、あら?」


 そのまま左足に移動するかと思ったメアだが困惑した声をあげてその場にとどまる。どうやら槍がウルファルドの肉に食い込んだまま抜けなくなってしまったようだ。

 これを起死回生の好機と見たのだろう。左前脚を上げてメアを叩き潰そうと素早く振り下ろした。


「そうはさせるか!」


 それを左前脚を高く上げた時点でメアのもとに向かっていた俺が、メアと左前脚との間に身体を滑り込ませ障壁で防ぐ。


「優臣、今よ!」


 俺の障壁から素早く外に出たメアが、少し前に言っていた合図を出したので素早く障壁を誰も中へ入れないものへと変質させる。


「良いよ!」


 俺が言い終わる前にメアは高く跳んで障壁を踏みつけ、さらにこれを踏み台にしてウルファルド目がけて再び大きく跳んだ。


「これで終わりよ!」


 メアが勢いよく突き出した槍は赤い輝きを放ってウルファルドの首へと消え、そして大きな音を立ててウルファルドは横に倒れたのだった。

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