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いざ、フランヴィーレへ

「へー……」

うち(エルピリア)とは全然違うわね」


 今日からしばらくはフランヴィーレで依頼を受けるということで、俺とメアはフランヴィーレにやって来ていた。正面の扉を開けてまず感じたのは、エルピリアとは作りも雰囲気もまったく違うということだった。

 うちは扉を開ければまず、必ずと言っていいほど誰かしらが集まって酒を飲んでいる。しかしフランヴィーレはざっと見た感じ、そんな人たちはいない。だからだろう、少なくともうちより空気がしっかりしているように感じる。


「さて、どうしようか?」

「そうねぇ、とりあえずギルマスのところに行けばいいんじゃないかしら?」

「そうだね、そうしようか」




「ようこそ。優臣君、メアさん」


 ギルドに入り、一人の受付嬢に話をするとすぐにギルマスの部屋へと通してくれた。そして中には椅子に座った男とその隣にリヴォルが立っていた。あれ? リヴォルがギルマスだったと思ってたんだけど。


「どうも、優臣です」

「メアよ」

「俺はライアンだ。二人の噂は聞いてるぞ、今日からしばらくよろしくな」

「はい」

「えぇ」

「じゃあリヴォル、案内しなさい」


「どうしてリヴォルがギルマスの椅子に座ってなかったんだ?」


 部屋を出てそのことを訊いてみる。俺はてっきりリヴォルが座っているのかと思っていたんだけど。


「それは僕がまだまだギルマスの器じゃないからだよ。だから僕は肩書だけで実際は父がほとんどをやってるんだ」

「あの人、あなたのお父様だったのね」

「うん。僕も早く名実ともに立派なギルマスになりたいんだけどね……そうなるにしてもまずは僕がもう少し歳をとってからだろうね」

「そうなの?」

「こんな若造のギルマスに従いたくないという人たちはいるだろうからね。そんな人たちを黙らせるほどのずば抜けた実力や人望は僕にはないし……レオンを追い抜くのはまだまだになりそうだよ」

「なるほど」


 ギルマスになるのも大変だということか。そうなるとレオンはもしかして俺が思っている以上に凄い奴なのか……?


「そういえばさっき噂がなんとか言ってたけど、どんな噂なのかしら?」


 確かにそれは俺も気になる。もしかっこいいとか凄いとかそういうものだったら嬉しいんだけど。


「メアは可愛くて強い槍使いといった感じかな。優臣は……」


 うん? どうしてそんなに言いにくそうなのだろうか?


「その……試合で自爆したからそれ関連がね……」

「ぷっ」

「さ、最悪だー!」

「あはは……二人ともこれを見てくれるかな?」


 噂の内容に絶望しながらリヴォルに案内されたのはここに入った時から見えていた大きなボードの前だった。そのボードには依頼書が大量に貼られている。


「依頼を受けるときはこのボードから依頼書を取ってあそこの受付に出してね。ちなみに右側が討伐系、中央が採取系、左側がその他って感じで大まかに分けられているよ」

「分かった、ありがとね」

「これぐらいお安いごようさ。それで二人は今日はどんな依頼を受けるつもりなんだい?」

「そうねぇ……優臣はどうかしら?」

「うーん、普段受けられないような依頼とかかな」

「それ良いわね。となると左側かしらね」

「ねぇ、二人さえよければ僕たちと――」

「あっ! やっぱり優臣君にメアさんじゃないか」

「うん?」


 後ろから唐突に名前を呼ばれ、振り返ればバイゼルと他に二人が立っていた。


「どうしてここに?」

「今日からしばらくここにお世話になることになってね」

「あぁ! エルピリアから来る二人って優臣君たちのことだったんだね!」


 なるほど、どうやら誰が来るかまではまだ伝わっていなかったらしい。


「そうだ、二人とももし依頼をまだ受けてないなら僕たちと一緒にどうかな?」

「どんな依頼?」

「少し離れた村までの護衛だよ。泊まりになるから帰るのは明日になるけど」

「うーん……どう思う?」

「エラたちのことが少し心配だけどレオンたちに連絡しておけば大丈夫でしょ。それに護衛なんてうちのギルドじゃなかなかない依頼だから良いんじゃないかしら?」

「だね。それじゃあ一緒に受ける人たちから許可を貰えたら受けようかな」

「私たちは良いよ」

「ねー」

「僕も誘おうと思ってたところだからもちろん良いよ」

「えっ? リヴォルも?」

「うん。それじゃあ受付に行ってパーティを変更してから早速依頼を受けに行こうか」

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