ビーチバレー
青い空に白い雲。うん、いい天気だ。二日目も天気が荒れなくてよかった。
「その無駄に整った顔面にぶつけてやるよ!」
「ふんっ、返り討ちにしてその眼鏡を叩き割ってやろう」
「「うおぉおおおお!」」
ほっと安心しながら準備運動をしている横で、ビーチバレーの熱い戦いを恭也とエクスが繰り広げている。なぜかビーチバレーとは思えない物騒な単語がなぜか飛び交っているが。
しかし二人でずいぶんと盛り上がっているが、これはペア戦である。つまり
「自分もいるっすよ!」
「あぁ!」
ペアの動きにも気を配る必要がある。エクスの上げたトスから、ミーナの鋭いスパイクがマヤの足元に綺麗に刺さった。
「恭也、ごめんね」
「気にすんな。まだまだこれからだ」
「エクス、どうっすか?」
「良かったぞ。次は恭也の顔を狙うんだ」
「これ、ビーチバレーっすよね……?」
エクスの言葉にミーナは困惑しながらサーブを打った。
「お待たせ~」
「じゃあ私たちも始めましょう」
おっと、隣のコートを見ていたらメアたちの準備が終わったようだ。
「じゃあサーブはどっちから?」
「そっちからでいいぞ」
どうやら向こうはサービス権をくれるようだ。
「じゃあいくよ!」
速さはないが丁寧に打って、まずは相手のコートに入れることを意識する。
「はい!」
相手のコートに飛んでいったボールはリアが受け、そしてレオンがトスを上げた。さて、どこに打って――っ!?
「えい」
「くっ!」
反応が遅れてボールを返し損ねてしまう。
「ごめん」
「気にしないでちょうだい」
「次はこっちのサーブですね! いきます」
「ふっ」
リアからのサーブを上手く受け止め、そしてメアがトスをあげた。
「くらえっ!」
「甘いです」
コートのギリギリを狙って打ったが綺麗に受けられ、そして再びレオンがトスをあげる。今度こそは!
「やぁ」
「あっ!」
今度こそは受けようと思ったが、またしても反応が遅れる。この試合、駄目かもしれないな。
「ごめ――」
「ちょっと良いかしら」
謝ろうとしたらそれを遮られてしまった。
「耳を貸しなさい」
何やら話があるようだ。なんだろう?
「どうし――」
「さっきからどこを見ているのかしら?」
「ひっ!?」
小さな声で囁くようにメアは言った。笑ってはいるがこちらを底冷えさせてくる声だ。
「いやっ、別に!」
「そんなに大きいのが良いのかしら?」
メアがちらりとリアに目を向ける。いや、訂正しよう。リアの胸に目を向けた。まさかばれているのか!?
「そうよね、ジャンプするたびに揺れているもの。そりゃあ集中できなくても仕方ないわよね」
「ごめんなさいぃ!」
そのまさかであった。メアの言うとおり、リアが打つたびに胸が大きく揺れているのだ。それに視線を奪われて反応が遅れてしまうのだ。
「ねぇ、怒らないから言ってみて? 胸は大きい方が良いのかしら?」
「なんでそんなこと――」
「いいから言って」
「お、俺は別に大きさに良い、悪いはないと思ってるけど」
「そう」
答えを聞いて満足したのかメアは顔を離した。あっ、もしかして自分が小さいことを気にして――
「余計なことを考えたら殺すわよ」
「はい!」
「次からあれで反応が遅れるたびに罰があるから。覚悟しておいてね」
「そんなむちゃな!」
これは死ぬ気でやらないとまずそうだな。よし、集中しよう。
「か、勝った……」
「やったわね!」
何回かマッチポイントを繰り返した末にレオン、リアペアから勝利をもぎ取った。
「お疲れー」
「良い試合でした」
「それでこれからどうするの?」
「そうですね……昼食を食べてから探検しませんか?」
「おー、いいんじゃないか」
「それじゃあ他の皆さんにも声をかけてみますね」
そう言ってリアはそれぞれが遊んでいる場所へと向かった。
はぁ、なんか普通のビーチバレーより疲れた感じがするよ……
☆
「いやぁ、美味しかった」
「そうだな。俺はたこ飯が一番だったかな」
別荘のすぐ近くにある洞窟を探検しながら、さっき食べた昼食について話す。
今日の昼食は別荘にいる使用人が作ったもので、素材の味を活かしたものだった。しかし、だからと言って生臭さなどを感じさせなかったので、きっと丁寧な下処理などがしてあったのだろう。見習いたいものである。
「こっちを右に曲がったところに……おっ、あれか?」
別荘を出るときにリアから貰った地図を見ながらレオンがナビをしている。そしてどうやらお目当ての場所が見えたらしい。
「おぉー!」
「これはすごいな!」
「あぁ、綺麗だな」
歩みを進め、近づいてみればそこは神秘的なものを感じさせる場所となっていた。
目の前の開けた場所には天井がなく、そこには線のように日の光が差し込んでいる。その差し込んだ先には小さな湖があり、周りにはまるで湖を囲むかのように色とりどりの小さな花が咲き誇っている。
「どれどれ……おぉ、ちょうどいい感じだな」
花を踏まないようにしながら湖に近づき、そして水に触れたレオンがそんな感想を述べる。
「触ってもいいものなの?」
「大丈夫だって言ってたぞ」
「じゃあ俺も」
レオンを見習って花を避けながら湖に近づく。見た感じどうやら湖は浅く俺の腰まであるかないかだ。
「あぁこれは確かにちょうどいい感じだね」
湖は冷たすぎるわけではなく、かといってぬるいわけでもない。ほのかにひんやりとしていて、まさに絶妙といった感じだ。
「これは良いものが見れたね」
「あぁ、それじゃあ次に行くか」
満足し、引き返して別の道を進む。
いやぁ、本当に綺麗だった。これは別行動しているメアたちにも見てもらいたいものだ。
そんなことを思わせるほど綺麗な光景が、あそこにはあったのだった。




