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チームワークⅡ

 天使が死神の鎌を持って現れた。こう言われてすぐに状況を理解できる人はいないだろうし逆に頭がおかしいのか疑ってしまうだろう。だがこれは紛れもない事実なのだ。


「テオはあんな武器も扱えたんだ?」


 あんなに大きく重いであろう武器をテオが扱えるとは思っていなかったのであいに尋ねる。


「あぁ、他にもあいつはいろんな武器を使っているぞ。魔法、剣はもちろん他には戦斧とかも使っていたな」

「……でもそれって職業と武器が合っていないとスキルの恩恵を受けられないんじゃ」

「だからテオは幅広い職業に就いているということだろ。今だって魔法使いから瞬時に職業を変更したんだろうな」

「えぇ……」


 あいはあっけらかんに言った。

 魔法、剣、鎌。これまでの戦いを見た限りテオはそれぞれスキルをいくつか獲得していることだろう。

 しかし俺は身をもって知っている、スキルを獲得することがどんなに大変かということを。現に俺は魔力覚醒のスキルを獲得してから1つしか増えていないのだ。しかも獲得したのは剣に纏わせる魔力の鋭さが増すという初歩的なものである。


「そんなことできるの?」

「あいつはできるんだよ。しかもレオンたちみたいに特化していないから超一流とはいかないが、それでもなかなかの強さだぞ」


 ああいうのを天才というのだろうか? それとも努力したのか。俺には分からないがテオもエルピリアの例に漏れないやつということだけは分かった。



           ☆           



「くっ……」


 後衛二人がやられたことを確認して苦々しい顔をするリヴォル。僅かだったとはいえ貰えていたサポートを受けられなくなったのは辛いものがあるのだろう。

 それじゃあ終わらせてやるか!

 リヴォルに押し返されて離された距離を一気に詰める。奴の後ろには剣に換装し終えたテオがいるため挟み撃ちのかたちとなっている。これは勝ったな――


 ヒュッ!


「……」


 リヴォルに近づき剣を振ろうとしてところで俺のすぐ横をクナイが鋭い音を立てて通過していった。頬を見れば血がツーと流れている。

 ……あの野郎!

 そしてクナイはというとリヴォルに弾かれている。が、俺の背後から突然、それもかなりの速さで現れたからだろう。剣を大きく斬り上げてしまって胴ががら空きになっている。

 ってしかも弾かれてるじゃねぇか!

 反射的に身体が動いてしまったのだろう。しまったという表情ですぐに迎撃態勢に入るリヴォル。だがもう遅い。



           ☆           



「はい?」


 レオンのリヴォルに対する一撃が決定打になったと結界が判断したのだろう。レオンの剣が当たる直前でリヴォルが闘技場の中から消えて外の待機席に転移させられた。これにてフランヴィーレは全滅、3対0でエルピリアの勝ちになったのだが……決着すると同時にレオンはくるりと体の向きを反転させエクスにもの凄い勢いで近づいて斬りかかった。そして予想外のことだったにもかかわらずそれを当然のようにかわすエクス。

 何が起こってるんだ?


「あーあ」


 マジかよという顔をしながら溜め息をつくあい。


「何あれ?」

「エクスの投げたクナイがレオンの頬をかすめただろ? おそらくそれにキレたんだな」

「えぇ……でもそれは戦闘中だったから仕方ないんじゃ? それにダメージは受けないんだし」

「そりゃ多少は仕方ないしレオンもそれは理解している……はずだ。だがエクスならあんな投げ方をしなくても別の方法が取れたはずだ。つまり今のは――」



           ☆           



「テメェ今のはわざとやりやがったな!」

「なぜ吾輩が怒られているのかさっぱり分からないな。むしろリヴォルの隙を作ったことに対し感謝し、そして褒めるべきだと思うのだが? ほら、吾輩を褒めろ褒めろ」


 俺の振るう剣を短剣で受け止めながら涼しい顔でしらを切るエクス。こいつ……!


「隙を作るにしてもお前なら他の方法があっただろ! それにクナイのあの速さ、あれはあわよくば俺もろともやるつもりだったな!」


 あの速さはこいつが全力で投げた時のものだった。ということはもし俺に当たってやられたと結界が判断し、俺が消えてクナイが減速されたとしてもリヴォルをやる威力は十分残っていたということになる。


「よく分かってるじゃないか」

「当然だろ何年お前と一緒にいると思ってんだ! なんだまた俺にぶちのめされたいのか?」

「そう何度もやられる吾輩とは思うなよ? お前がいない間にも吾輩はどんどん強くなったのだ。今度こそお前に勝って一番になってやる」

「俺に勝つなんざ100年早ぇよ」


 俺は誰にも負けるわけにはいかないのだ。

 魔法陣を踏みつけて素早く動き、俺の背後に回ったエクスを迎え撃とうと剣を横に薙ごうと――


 ズドンッ!


「うおっ!?」

「おっと!?」


 したのだが俺とエクスとの間に大剣が飛んできて地面に斜めに刺さった。この大剣は……


「おいテオ止めるんじゃねぇ! このバカには……一度……」

「どうした? 何をそんなに怯……え……」

「ねぇ」


 大剣の持ち主であるテオを見ると笑っていた。笑ってはいるがこの笑顔は……!

 まずいと思いすぐに土下座をする。チラリと横目に隣を見ればエクスも同じ体勢になっている。

 そんな俺たちの元へザッ……ザッ……と足音を立てながらゆっくり近づいてくるテオ。……恐ろしくて頭を上げられないんだが。


「ねぇ、そういうのはギルドに帰ってからやってくれないかな? ここにはフランヴィーレの人や観客が大勢いるの分かってるよね?」

「「……はい」」

「へー、分かっててこんなことをしたんだ?」

「「すいません」」

「やだなぁ、僕じゃなくて他に謝罪する人たちがいると思うんだけど?」

「「すいませんでしたぁ!」」

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