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増える謎

「恭也はいるかー!」


 クロと話しているとレオンが大声をあげながらギルドに入って来た。朝からうるさいなぁ。


「そんなに声を上げてどうしたんじゃ?」


 クロが迷惑そうにレオンに尋ねる。多分昨日のことだと思うけど、ってそういえばクロはあの場にいなかったか。


「なぁに、恭也に急いでお礼をしてやらないといけなくてな」

「それならまた研究室におるのではないかの?」

「そうか、ありがとな」


 お礼を言ってスタスタと階段を下りていくレオン。そしてすぐに「バン!」という音とともに小さな衝撃が地下から響いてきた。あぁ……またドアが犠牲になったのか、可愛そうに。


「なんじゃ、またあやつは余計なことをしたのか?」

「うーん、どうなんだろうね?」


 眠らせたのはやりすぎのような気がしなくもないがどうなんだろうか? そのあたりの詳しい事情はまだ俺には分からないので判断しづらい所だ。


「まぁどうでもよいか。それでは我らは練習に行こうではないか」



           ☆           



「以前よりスムーズにできるようになったようじゃな」


 クロが驚いた様子で声をかけてきた。


「そりゃあ毎日のように誰かと練習してるからね」


 確かにクロとするのは久しぶりであったため前回との差に驚いたのだろう。魔力を素早く、そして無駄なく渡せるようになってきたため俺自身の魔力量はあまり増えていないが結果的に以前より渡せる回数が増えた。


「それよりクロもその銃も凄いね」


 クロが撃ち抜いた獲物を歩いて回収しながら俺はクロの腕前、そしてスナイパーライフルを褒めた。回収した獲物はどれも眉間や胸を撃ち抜かれ一発で息絶えている。


「そうじゃろうそうじゃろう! これはふら~としておるときに見つけたものを我が真似して創ったのじゃ。なかなか強力じゃぞ」

「へー」


 銃って見よう見まねで作れるものではないと思うのだが……


「でも使ってる人クロ以外に見たことないね」


 疑問に思ったがまぁクロだしということでスルーして不思議に思ったことを尋ねる。強力な武器なら他に使っている人がいても良いと思うのだが。


「それはじゃな……そうじゃ! 実際に使ってみたらわかりやすいじゃろ、ほれ」


 そう言ってクロは俺に銃を渡してきた。えっ、この銃思ってたより軽いんだけど。

 見た目は鉄なのだがそれにしては軽すぎる。何かこの世界特有の素材で作られているのだろうか?

 ってそんな銃の分析よりも


「いや、使い方分からないんだけど」


 そう。俺は銃を使ったこともないし、そもそも銃に関する本を読んだこともない。そのため急に渡されても困るのだが。


「なぁに簡単じゃぞ、ただ銃に魔力を流し引き金を引くだけじゃ。ほれ、あの木に撃ってみろ。しっかり狙えよ」


 言われたとおりにすると弾の形をした魔力が銃口から撃ち出され、言われた隣の木に命中した。


「確かにこれは……あれ?」


 急に体に倦怠感を覚え、その場に座り込む。これは魔力が少なくなったときのじゃないか! まだ魔力には余裕があったはずなのに!?


「やっぱりそうなったか、まぁ気絶しないだけマシじゃと思うがの」


 クロがケラケラと笑いながら銃を手に取った。


「今ので分かったと思うが強力な代わりに魔力の消費量がとんでもなく多いんじゃ。まず普通の人は一発撃っただけで気絶するか、そもそも魔力が足りなくて撃てないんじゃ。だから使っておるのは我だけということじゃな」

「そうだったのか」


 確かにそれならクロしか使ってないのも納得だ。……ってうん? それなら何回も撃ったクロの魔力量はどうなっているんだ? いくら俺が何回も魔力を補充したからといって何回も使える代物じゃないように思えるのだが。


「ん? 何か言いたそうじゃの?」

「いや、なんでもないよ」


 クロが俺の顔を見て聞いてきたが誤魔化した。それにしても俺はますますクロのことが分からなくなってきたぞ……



           ☆           



「あれ、エクスじゃん」

「お、優臣にクロじゃないか」


 クロとともに街へ戻るとエクスが歩いていたので声をかけた。


「二人で何してたんだ?」

「魔力の受け渡しの練習だよ。そっちは?」

「俺はこれからだ。そうだ、お前らも来るか?」

「どこに?」

「素晴らしい所だよ」




「エクスお兄ちゃーん!」

「なんだ?」


 エクスに連れて来られた場所、それは孤児院であった。エクスは何回か来たことがあったのだろう、着くとすぐに子供たちに囲まれていた。


「私前から気になってたんだけどなんでエクスお兄ちゃんは『我輩』なんて言ってるのー?」

「ぶっ!」


 子供たちのドストレートな質問に思わずふいてしまった。だが確かに俺も気になる。エクスが何と返すのか耳を傾ける。 


「それはだな、一人称が我輩だと紳士っぽく感じるだろ?」

「は?」


 エクスの口から飛び出した言葉に思わず耳を疑った。えっ、何その理由。


「そーなんだ!」

「そうなんだよ」


 しかし子供たちはその理由で納得したようでこの話題はそこまでとなった。どうしてそんなので納得できたんだ!


「こらこら、エクスさんに迷惑をかけたら……」


 一人で悶々としていると、この孤児院で働いている女性が建物から出てきた。その女性はシスター服を着ており、そしてなぜか――俺の顔をまじまじと見ている。なんだ何か顔に付いてるのか?


「あなたはあの時の! ずっと探してました!」

「はい?」


 そしてなぜか嬉しそうにこちらに近づいてきた。えっ、誰この人? 俺この女性知らないんだけど!?

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