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Unknown①

「ほら、これが依頼達成の報酬だ」


 いつものようにギルドに行くとレオンからお金の入った小さな袋を三つ貰った。


「これとこれがそれぞれお前とメアの分だ。それでそっちがお前だけになるがディスパールを捕まえた報酬だな」

「えっ? そんなのがもらえるの?」

「あぁ、あれは指名手配されてたみたいだからな。その上、称号持ちみたいだったからそれなりにもらえたんじゃないか?」

「へー」


 受け取った報酬の中身を見ずにアイテムボックスへしまう。賞金といっても俺が倒せた相手だったのだ、たいした額ではないだろう。


「それで称号は『独占』だったらしい。だからあれほど強力な結界を張れたんだろうな」

「……もう二度と会いたくないタイプだったなぁ」


 独占かぁ……今思い出してもディスパールの言動にはゾッとさせられる。あいつの行動はまさしく狂人のそれであろう。


「まぁこれであの事件は一先ず終わったってことだな。これでエラたちも安全だろう。よくやったな優臣」

「そりゃどうも」


 あの時散々足を引っ張ったため罪悪感を感じていたが、レオンの「よくやった」という言葉で少し気持ちが楽になった気がする。


「それでお前はこれからどうするんだ?」

「お金がないから依頼を受けようと思ってたんだけど臨時収入があったからなぁ。別に受けても良いんだけど今の浮かれた気持ちで受けたら失敗しそうだからここでのんびりしていこうかなって」

「なら少し俺に付き合ってくれないか?」

「あれ、恭也じゃん。どうしたの?」


 レオンと話していると、この時間は大体地下にこもっていることが多い恭也が話しかけてきた。


「薬の材料が足りなくなったから採りに行こうと思ってな。暇なら一緒にどうだ? 一人で行ってもつまらないし」

「じゃあ行こうかな」


 とくに断る理由もないためそう返事をする。


「レオンは? あぁ、お前はまだ仕事が残ってるか」

「いや、俺も行こう。仕事はジジイに任せればいいし」


 レオンは師匠に仕事を押し付けて俺たちについてくるようだ。……こんなやつがギルマスでいいのか?



           ☆           



「あぁ、これこれ」


 森の中へと入ってしばらく進んだところにあった湖の水辺に咲いていたピンク色の花を恭也が丁寧に摘んでマジックボックスに入れていく。


「それ、何の材料なんだ?」


 よくポーションの材料の依頼で求められるものではないため気になって聞いてみた。


「ん? これは俺が新たに開発してるやつの材料だな、完成したら試してやるよ」

「けっこうだ」

「もちろん金も払うぜ?」

「楽しみにしてる。頑張れよ」

「おい、恭也。一ついいか?」


 レオンが怪訝そうな顔をしながら恭也に尋ねた。どうしたのだろうか?


「ここはいつもこんなに静かだったか?」

「静か?」

「あぁ、以前はもっと生き物の鳴き声がしていたはずだし水を飲みに動物が現れたはずだ。それがまったくなかった上に、なにより空気が重く感じる」


 確かに森に入ってから鳥の鳴き声すら聞いていない……ような気がする。自信をもっては言えないが。


「んー……確かにおかしいかもな。気付かなかったけど」

「テメェ! もっと周りに気を配れや!」

「ぐっ、だからお前らを頼ったんだろ!」

「自分でどうにかする気はないのか!?」


 何やらギャーギャーと言い合いを始めたため、二人から少し離れて何か生き物がいないか辺りを見渡す。すると湖に向かってくる影を見つけた。あれは……ゴブリンか?

 ゴブリンかどうか疑問に思ってしまったがそれも仕方がないことだと思う。なぜなら現れたそれは、姿はよく見るゴブリンのそれであるが()()()()()()()であったのだから。


「二人とも」

「「なんだ!」」

「一匹ゴブリンがいたよ。なんか黒いけど」

「黒い? どこだ」


 レオンに場所を聞かれ、ゴブリン? がいた場所を見るがいなくなっている。あれ? どこにいっ――


「優臣下がれっ!」

「ぐえっ!?」


 ゴブリン? を探そうと目を細め、いた辺りを見ているとレオンから急に襟首を捕まれ後ろにとばされた。


「なにすんだってうぇ!?」


 急に掴まれたことに文句を言おうとレオンを見れば、横から勢いよく飛び掛かってきた黒いゴブリンと剣を交えていた。


「レオンありが――」

「礼はいいから今すぐここから離れて障壁を展開しろ!」


 その場で礼を言おうとしたがレオンにものすごい剣幕で怒鳴られてしまったため、すでに離れた場所にいる恭也にすぐさま近づき魔力を渡して障壁を展開させた。


「おぉ、これがお前の話していた障壁か! 確かになかなか堅そうだな」

「そりゃどうも。それよりあれは何?」


 レオンと対峙している生物について尋ねる。ゴブリンかと思っていたがそれにしては素早く攻撃も重そうに見える。なによりたかがゴブリンがレオンと何度も打ち合えるはずがない。


「あれは『Unknown』だ」

「Unknown?」

「そうだ、Unknownとは――」


 恭也に『Unknown』なる生物について説明してもらおうとしたところで「バン!」という音とともに障壁に衝撃が響いた。どうやらゴブリンが障壁に攻撃したようで、障壁に阻まれた手のひらが見えたのだが


「えっ……」


 それを見て思わず後ずさってしまった。

 それはそうだろう、なぜなら俺たちから離れた位置にいるゴブリンが片腕を生物とは思えないほど伸ばして攻撃してきたのだから。

 予想外のことに障壁に流す魔力を増やそうとすると


「GYAAAAAAA!!!!」


 とUnknownが恐怖、そして不快感を与えてくるノイズのかかった大きな声を上げた。どうやらレオンが腕を斬り落としたようである。

 



 そしてそこからは一気に事が進んだ。レオンはUnknownの腕を斬り落とした直後に武器を籠手に一瞬で変更し、暴れながら繰り出される攻撃をかわして大量の魔力をこめた拳をUnknownの腹部へと思い切り叩きつけたのだ。拳がめり込んだUnknownは吹っ飛んで木に激突し、ピクリとも動かなくなった。


「終わったからもう障壁解除して良いぞ」


 Unknownの死を確認したレオンがそれをマジックボックスに入れた後、こちらに戻ってきた。


「お疲れ」

「あぁ」


 レオンにしては珍しく疲れを露わにしている。普段ほとんど使うことはないが、本来の武器である籠手を使ったということはそれほど強敵だったということなのだろう。


「お前が一緒に戦えられたならもっと楽だったと思うがな」

「勘弁してくれよ、ギルドで五本指に入るほど弱い俺にそれは酷ってもんだろ? その代わりに俺の天才的な頭脳とスキルを使って貢献してるじゃないか」

「それをもっとエロ以外のことに使ってくれたらなぁ」

「おいおい、何度も言うが俺は自分に興味のあること、主にエロになるがそれに関係することだから存分に頭脳とスキルを活かせるんだぜ? 別のことに使ったらそれこそ俺は凡人レベルだぜ」

「知ってる。それでこそ恭也だ」


 レオンと恭也が軽口をたたきあいながら笑う。


「それでお前はまだ素材を集めるのか?」

「いや、そこそこ集まったしそれにUnknownが現れたからギルドに帰ろう」

「そうか、そうしてくれると助かる」

「優臣、Unknownについては帰りながらでいいか?」

「あぁ」


 こうして予想外の出来事が起きたものの無事に俺たちは帰路に就くことになったのだった。

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