王子との出会い
「はぁ……」
やっと落ち着いたため、思わずため息を漏らしてしまった。
「こういうことだったんだね」
レオンについてくることを決められてから三日が経ち、俺たちは今白の中にいる。その中でエルピリアのメンバーが城に行きたがらなかった理由が分かった。
貴族が起こした事件で使用する城の中にある裁判所にて、王様の前でレオンが今回の件についてテオが録音していた魔術具から重要な部分を使って説明しているときに周りからすごく見られていたのだ。たしかに城に入ったときから何か視線を感じるなと思っていたがそれが裁判所にて顕著に表れた。
そして裁判が終わり、部屋の外に出てやっとその視線から逃れることが出来ると思ったら、今度はたくさんの人から声をかけられたのだ。内容は様々だったが一番多かったのは勧誘だろう、レオンが前に出て対応してくれなかったらどうなっていたことやら。
「だから来たくなかったんだよ」
レオンも苦々しそうに言った。レオンは嫌味も言われていたから尚更だろう。
「そう言えば二人はあまり疲れているように見えないね」
メアとシルティも疲れてるのかなと顔を見てそんな感想が出た。二人とも疲れが顔に出ているように見えない。
「慣れてるからね。王女となればこんなことは日常茶飯事よ」
「私は他人にどう思われようが関係ない。私は自分が成すべきことをするだけ」
「ふーん」
メアはヴァリナージュ王国の姫であることが伝えられていたらしく、仲良くしてくれといった内容だけだった。しかしシルティはそんな身分はないため、妾にならないかなど一部の奴らに散々なことを言われていた。その言われた当人は顔色一つ変えず淡々と処理していたが。
失礼なことを平気で言う一部の人間の頭の中身がどうなっているのか見てみたいものだ。
「そういえばどこに向かってるの?」
レオンについて歩いていたが来たときとは違う通路を通っている。
「裁判が終わったら来いと言われていた場所があるんだ。それがどこかはついてからのお楽しみだな」
レオンはニヤリと笑って言った。何がそんなに楽しいのだろうか?
「俺帰りたいんだけど」
「駄目だ」
ドアの前で懇願するが断られてしまった。なぜそんなことを俺が言ったのか、それは――
「カイル様が待たれているから行くぞ」
このドアの先が第二王子の部屋だからである。いきなり偉い人に会うと言われて「はいそうですか」となるほど俺は肝が据わってないんだよ!
そんな俺の気持ちを知ってか知らずかレオンはドアをノックし、「入れ」という声が聞こえてきた。
「お久しぶりです、カイル様」
「……」
広い部屋に入るとレオンは椅子に座っていた男に挨拶した。この男が第二王子のカイルなのだろう。しかしそのカイル王子は難しい顔をしている。
「レオン、この部屋では俺たち以外誰も聞いていないから普通にしろ。久しぶりだな」
カイル王子が呆れたように言うとレオンはニヤッと笑った。
「それじゃあ遠慮なく。久しぶりだな、カイル」
「あぁ。そしてそちらの銀髪の方がメノア王女かな? 初めまして、私は第二王子のカイルです、よろしく」
「えぇ、その通りですわ。私はヴァリナージュ王国第一王女、メノアです。砕けた口調で良いですしメアと呼んでください」
「そうか。じゃあ俺のこともカイルと呼んでくれ、メア」
「分かったわ」
「それでそっちの二人は新しく見るけど誰かな?」
「なんで前回リアに拉致されたときに俺を訪ねなかったんだよ」
「拉致されてたら無理だと思わないか?」
俺、シルティとカイル王子が互いに自己紹介を終えるとレオンとカイル王子は話し始めた。
「あの二人どういう関係なの?」
レオンが王子と親しげに話しているためエクスに聞いてみる。
「そうだなぁ……幼いころから付き合いがあり、そして未来の義兄弟といった感じだな」
「なるほど」
そういえばレオンはリアと婚約者だったか。エクスの説明に納得しかけたところに
「おい待て、まだそうと決まったわけじゃないからな!?」
レオンが焦ったように会話に割って入ってきた。
「なにぃ!? 俺の妹がそんなに気に入らないのか!?」
「違うっていつも言ってるだろ!」
「じゃあ何がダメなんだ!」
「あぁうるせぇな! それよりエクスに礼がしたいんだろ!」
「ん? ああそうだな。エクス、今回はありがとな。お前がやってくれたおかげでロデスを捕まえることが出来た」
「吾輩がやりたかったことだから別に礼なんていいぞ」
「それもそうだな。……ところでレオン、今思い出したがお前のギルドは滅多に新しいメンバーを入れなかったよな?」
「そうだな」
「それが今回三人も入れたとはどういうことだ? そんなに優臣たちは面白いのか?」
「あぁ、それはもちろん。なぁ優臣?
「えぇ!?」
急に話題が俺たちのことに変わり、そしてレオンが話題を振って来た。急にこっちに話題を振るのは止めて欲しいんだが!
☆
「ただいま」
「お帰り、どうやらその様子だと大変だったみたいだね」
ギルドに帰るとテオが出迎えてくれた。
「もう二度と行きたくないよ」
「それは分かるよ。良くも悪くもこのギルドは注目されてるからね。ところでカイル王子には会ったかな?」
「あぁ、会ったよ」
「どうだった?」
テオに言われてカイル王子と話したことを思い出す。あの人は王子ではあるがなんというか親近感がわく人であり、そんなところがメアと似ている気がした。
「面白い人……だったかな」
「それは間違いないね。ところで今日はこれからどうするんだい?」
「なんか精神的に疲れたから家に帰るよ。エラたちも待ってるだろうし」
「それもそうだね、気を付けて帰りなよ」
「ありがとね」
メアは少し買い物をしてから帰るらしく一人で帰ることになった。
ぶらぶらと帰路に就きながら今日のことを思い出す。エルピリアは有名だと聞いていたが正直あそこまでとは思っていなかった。
「もっと頑張らないとな」
エルピリアという看板に泥を塗らないためにも明日からまた頑張ろうと俺は心に決めるのであった。




