道連れ
「という訳で魔力の受け渡しの練習をしたいんだ。これから時々でいいから時間があるときに手伝ってくれると嬉しいんだけど……だめかな?」
翌朝、ギルドに着いた俺はレオンを除いた昨日の打ち上げメンバーに、自分の魔力量のことを含めてそう告げた。
「そんなに魔力が増えたのか……別に手伝うのは構わないがやれるのか?」
「恭也の言うとおりだよ。まずは制御だけに集中した方が良いんじゃないかな?」
協力してくれそうだが皆、心配そうな顔をしている。
「やってみせるよ。それに魔力の受け渡しができたら難しい依頼をこなしやすくなるからね」
パートナーであるメアだが時を止める魔法の影響で魔力量があまり増えず、平均より少ないようなのだ。
依頼で共に行動することが多いメアの魔力量の少なさを補えるのはありだと思う。
「なるほど……そこまで言うなら僕はもう何も言わないよ。一緒に頑張ろうね」
「私も同じ」
心配されたが、俺の意志が固いことが伝わったのか皆からの協力を得ることができた。そしてどんな感じなのか知りたいということで外に行こうとすると――
「はぁ……」
溜め息を吐きながら疲れた顔をしたレオンが入って来た。
「んっ? お前らどこに行くんだ?」
「ちょっと魔力の受け渡しを実戦を交えてやりたいなって」
「それは少し待て、今から人を集めるから」
「えっ?」
☆
「来れる奴は集まったな」
レオンが魔報を使ってギルドに集まるよう一斉連絡をすると、遠い所にいる人や用事がある人たちを除いたメンバーが集まった。
「坊ちゃん、急に俺らを集めてどうしたんだ?」
「さっきロデスのことについて三日後城に来るように連絡があったんだが……その時にエクスは確定として他に誰を連れていこうかと思ってな」
レオンがそう言った途端周りがざわつき始めた。
「そうだな……バーン、三日後暇か?」
「すまない坊ちゃん、その日は熱が出る予定なんだ」
「そうか、それなら仕方ないな」
えっ?
「フィーナは?」
「ごめんなさいね、その日は筋肉痛になる予定なの」
「そうか、それも仕方ないな」
えっ???
その後レオンは数人に聞いていたが皆てきとうな理由で断っていた。そんな理由でいいのだろうか? と思っているとレオンがニコリと笑った。
「そうかそうか、お前らそんなに行きたくないのか」
レオンが悲しそうに言った瞬間、弁明が始まった。
「違うんだ! 本当はもっと別の理由があるんだが言えないからこんな理由になったんだ!」
「そうだそうだ! 坊ちゃんを一人で行かすわけないだろ!」
などなど様々である。しかし――
「本音は?」
そうレオンが聞くとその弁明は一瞬でなくなり、代わりに
「行きたいわけないだろ!」
「なんでそれを俺らに言ったんだ!」
といった言葉が場を占めた。……なんだこの状況は?
これらの言葉にレオンは怒ると思ったのだが
「俺も行きたくねぇよ! でも来いと言われたんだよ!」
と同調していた。あれぇ?
「というわけで一緒に行く奴を決めるぞ」
「どういうわけだよ! 行くなら坊ちゃん一人で行け!」
「断る。どうせなら道連れだ!」
「このクソギルマスがー!」
「お前が行った方が良いんじゃないか?」
「いや、それならこいつの方が適任だろ」
逃げられないと分かったのか今度は擦り付けあいが始めった。どうすれば良いのか分からず、ただその状況を眺めていると
「あっ、優臣たちなんてどうだ?」
という声が聞こえた。見れば言ったのは恭也である。
「まだ一回も行ったことがないし会ったこともない。良いと思わないか?」
「なるほど、確かに」
「年齢も近いしありだろ」
「優臣、メア、シルティ。三日後空いてるか?」
「何も用事はないけど……」
「私もないわね」
「同じく」
「じゃあ優臣たちを連れて行くか」
そうあっさりとレオンは決めた。
三日後は何も用事がないため正直に答えたが失敗したか? と思ったがもう後の祭りであった。




