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魔力の受け渡し

「やぁ、レオン君。それで僕への用ってなんだい?」


 打ち上げを終えた翌日、昼食を食べてからレオン、そしてパートナーだからということでメアと共に蓮二さんを訪ねた。


「優臣くんとメアくんがいるということは彼らのどちらかについてかな?」

「その通りです、優臣」

「分かった、実はですね――」




「それは本当かい? ちょっと見せてもらっていいかな?」


 属性、そして魔力量について詳しく説明し終えると蓮二さんにギルドカードを見せて欲しいと頼まれたので見せる。


「話に聞いたとおりだね……本当にドッペルは倒してないんだね?」

「倒してない……はずです」

「それなら反対の属性の魔法を使ってみればいいんじゃないかしら? もし使って瞳の色が変化しなければ倒してないってことでしょ」

「確かにメア君の言うとおりだね。じゃあちょっとついて来てくれるかな」




「うーん、変化していないね……」


 蓮二さんに連れられて実験場へと着いた俺は反対の属性である水の魔法、つまり青の属性を使った。初めての属性で慣れていないにも関わらず、威力はこれまで使っていた魔法とほぼ同等、いやそれより少し強いように感じた。制御しきれていない魔力が魔法に使われ、威力が上がったのだろう。

 そして魔法を使った瞬間を録画して瞳を確認したが変化はなかった。


「どういうことなんだ……?」

「だから蓮二さん、俺はこういう仮説を立ててみたんだが――」 




「そんなことがありえるのか? いやでも……」


 昨日俺にも話していたレオンの考えを聞いた蓮二さんは何やらぶつぶつと呟きながら考え込んでいる。


「なるほど……それは一考の余地があるね、レオン君」


 そして自分の中で何か答えが出たのか蓮二さんは顔を上げた。


「まず属性に関してだけど僕から言えることは今のところ何もないとしか……なにせこんなことは初めてだからね。もちろんこれから調べていくけど何か分かればすぐに伝えよう。そのためにも優臣君も協力してくれ」

「もちろんです」

「それで次に魔力量だっけ? さっき見た感じだと普通に見えたけど」

「いや蓮二さん、こいつ異人でしかもさっきのは初めての属性の魔法ですよ」

「初めての属性でさっきのかい!? ちょっと待っててくれ!」


 そう言って蓮二さんは部屋の隅に置いてあった機械を持ってきた。


「リラックスして普段通りに魔法を使ってくれないかな? あ、もちろん属性は使い慣れたものでね」


 もう一度と言われて少し躊躇ってしまう。昨日は魔法を二回使っただけで魔力がなくなったからだ。だが先程の魔法は昨日の一回分よりも少ないから大丈夫だろうと判断し息を吐いてリラックスする。

 そして昨日と同じようにこれまでと同じ感覚で魔法を放つと、壁にぶつかって「ドンッ」という衝撃が派生するというまるで昨日の再現のようになった。


「おぉー」


 そして機械を見ていた蓮二さんは驚きの声を上げた。どうしたのだろうか?


「優臣君、見てくれ。今の結果がこの色だ」


 蓮二さんに言われ機械を見ると真ん中の画面が赤く光っている。


「これは魔法に使われた魔力量を測定するものなんだけど、青が少なくてそこから赤に近づくほど増えていくんだ。それで優臣君は赤だったわけだけど……どうだい? まだ魔法は使えそうかい?」

「使えるとは思いますけど多分魔力を制御できなくて全部使ってしまうだろうからできれば使いたくないです」

「あぁごめんごめん、使わなくて大丈夫だよ。話は戻るけど大体の人は全力で使ってオレンジ色になるかならないかなんだよね。それなのに君は普通にしてて赤色、さらにまだ余裕もあるわけだ」

「どうですか蓮二さん? 『魔力覚醒』でここまで魔力が跳ね上がるものなんですかね?」

「いやぁ、ここまではありえないよ。なるほど、そりゃあ魔力の制御ができなくなるわけだ。あぁ、だから僕に相談に来たんだね」

「そうなんですよ、なにかこいつが元通りとはいかなくても戦いに支障が出ないようにする方法とかないですかね?」

「レオン君、そうはいうけどねぇ……優臣君の魔力を減らすぐらいしかなさそう――あっ」


 蓮二さんが俺とメアを見比べて声を上げた。どうしたのだろうか?




「おおぉぉぉぉ! すごい! 魔法が普通に使える!」


 蓮二さんに言われたとおりにすると魔法がこれまで通りに使えるようになった。その蓮二さんに言われた方法とは――


「あら、確かに私の魔法の威力が上がったわね」


 魔力の受け渡しである。


「いやぁ、魔力を減らすで思い出してね」

「これ便利ですね!」

「それがそうでもないんだよ。魔力を渡す時に魔力の相性や技術でロスが生じるからね。君たちはパートナーだから魔力の相性が良くてロスが少ないんだよ。こんなことをしている人なんてほとんどいないから忘れていたよ」

「なるほど……おい、優臣。俺にも少し魔力をくれないか?」

「はいはい」


 レオンの肩に手を置き、魔力を流す。


「じゃあ使ってみるか」


 魔力を受け取ったレオンが魔法を放つとこれまで見てきたものより少しではあるが威力が上がっているように感じた。


「確かにメアほどではないが上がっているな」

「これは面白いね。優臣君、まずはこの方法でどうかな? 魔力を渡すのにも制御しなければならないから同時にできで一石二鳥だと思うんだけど」

「優臣、俺も面白いと思うぞ。だが問題点をあげるなら魔力の受け渡しを取り入れた戦い方なんて聞いたことがない。お前は自分で道を切り開く必要があるが覚悟ができるか?」

「覚悟……」


 レオンに覚悟できるかと聞かれてたじろいでしまう。俺が新しい戦い方を創る、そういえばかっこよく聞こえるが0から俺が考えないといけないのだ。

 そんなことが果たして俺にできるのだろうか……?


「まぁ今決める必要はないし家でゆっくり考えてみろ。もし無理だと思ったら言えよ、出来る限り協力するからよ」

「そうするよ、ありがとう」



           ☆           



「どうしたらいいんだ……」


 家に帰った俺はベッドの上で悩んでいる。魔力の受け渡しを取り入れた戦い方……大変であることは間違いないが非常に魅力的に感じる。


「うーん」


 結局エラが夕食を告げにくるまで、俺は延々と悩み続けたのであった。

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