仮面の男の正体
「えっと……ここは?」
目が覚めるとベッドで寝ていた。別にこれだけを聞けばおかしなところは何もないと思うだろう。だが、布団が普段使っているものとは違っているのだ。
「ん……?」
ここでふと、昨夜自分が寝た記憶がないことを思い出した。そういえば俺、いつ寝たっけ? それを思い出すために昨日の行動を思い起こすことにした。
昨夜は確か……ロデスを捕らえた後、地下室にいた女の子たちを外へ連れ出して警察へと預けて……それからギルドに戻って……あれ? それから俺、どうしたんだっけ?
ここからまったく思い出すことが出来ない。ギルドでエラとアリスに会ったところまでは覚えているのだが……
とりあえずここがギルドであることは間違いないはずであり、それを確認しようと体を起こすと――
「あいたたた!?」
全身に激痛が走った。なんだこれ!? 筋肉痛……ではないと思うがそれに似た痛みである。その痛みに耐えつつ、部屋の外に出ると見慣れた廊下が目に入り込んだ。やはりギルド、というより正確には寮のようである。
よろよろと壁に手をつけながらギルドへ入るといつもよく目にする光景があった。
「むっ、優臣。目を覚ましたか」
これからどうするべきかギルドを見渡すとレオンと近くの椅子に座っていたクロが声をかけてきた。
「おはよう、クロ、レオン」
「うむ。といってももう昼過ぎじゃがな」
「そっか。そうだ、クロに聞きたいんだけど俺ギルドに戻ってきてから何してたっけ?」
「む? お主なら帰ってきて我らを見るなり気を失ったではないか。隣に立っていたシルティに支えられなければ、危うく顔面を床にぶつけておったぞ。あとで感謝しておけよ」
「えっ」
「聞いたところによれば恭也特製のポーションを使われたらしいのう。それに初めての対人の実戦であったし様々な疲れが溜まっておったのじゃろう。それらがギルドに帰ってきて気が抜けたところにドッと出てきて結果こうなったのではないか?」
「なるほど……」
これで昨夜ギルドに戻ってからの記憶がないことに合点がいった。
「そうだ、お守りありがとね」
クロに伝えようと思っていたことを忘れないうちに言っておく。お守りがなければ俺はあのとき諦めていたかもしれない。
「なに、気にするでない。我がやりたくてやったことじゃからな。我お手製のお守りなんじゃ、役に立ったであろう?」
「あぁ、本当に助かったよ」
「うむうむ、じゃあそのお礼といってはなんじゃが昨日どんなことがあったのか教えてくれぬか? 我はそれが聞きたくてお主を待っておったのじゃ」
「それぐらいお安い御用だよ。そうだなぁ……」
「それは確かに俺も気になるな」
どこから話すか考えようとするとレオンがやって来た。
「やぁ、レオン」
「おう、体は大丈夫か?」
「全身が痛いんだけど」
「そりゃ仕方がない、ポーションの副作用だから諦めて我慢しろ。それより俺もお前の話を聞きてぇな」
「うーん、じゃあ結界に捕らわれたところから……」
話そうかなと言おうとして言葉が止まってしまった。なぜなら仮面の男がギルドに入って来たからだ。
「どうした優臣? ん、あぁ、来たか」
俺の様子を不思議に思ったレオンが後ろを振り向き仮面の男を目にした。しかし、大して慌てた様子を見せず、それどころかどこか嬉しそうに近づいていった。
「よぉ、テメェはいつになったら捕まるんだ? 別に捕まるんじゃなくて刺されるのでも俺は構わないが」
「そういうお前こそ、そろそろ首輪でもつけてもらったらどうだ?」
「……」
「……」
「テメェなに怖いこと言ってんだ! あいつなら本気でやりかねないことを口にすんじゃねぇ!」
「それは吾輩のセリフだ! 吾輩は違うと何度も言っているだろう!?」
「……」
「……」
「ふっ、あはははは! お疲れだったな、エクス」
「なぁに、それほどでもなかったよ、レオン」




