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求めるは力、求めるは魔力

 ディスパールが笑顔で近づいてくるのに体は言うことを聞かず、意識が朦朧としてきた。さらに頭が重くなってきて相手を見据えていることすら辛くなる。

 もう無理なのだろうか? そんな考えが頭によぎり、遂に頭を下げてしまった。


「あれ……これは……」


 地面を見れば手作りのお守りが三つ、目に入った。どうやら結界に叩きつけられた衝撃で内側のポケットから落ちたようだ。


「まだ……だ!」


 まだこんなところで終われない。いや、終わってはいけないのだ。ここで諦めたら俺はオモチャにされた上で殺され、エラとアリスはロデスの影に怯えながら過ごすことになってしまう。

 こんな結末、俺は絶対に認めない! 最後の力をふりしぼって風の障壁を展開し、頭をあげてディスパールを睨み付ける。


「おや、まだそんな顔ができたんだね。だけどその障壁を見る限り、やはり限界みたいだね」


 ディスパールの言うとおり、魔力も体力もないため障壁が薄くなっている。一回でも攻撃をくらえばすぐに壊れてしまうだろう。クソッ、余裕をぶっこきやがって……

 おい、称号(混沌)! 強く思えばスキルが手に入るんだろ! 俺は今、死ぬ気で願ってんだ! だから……だから早くこの状況を打開できるスキルをよこしやがれ!



 今思うと我ながら無茶苦茶だったと思う、称号に文句を言うなど。だが俺の実力じゃどうしようもなかったのだ。新たなスキルを手に入れられるかどうか、これに全てがかかっていたのだから。



「じゃあ今度こそ終わりだ!」


 その言葉と共にディスパールが障壁を割ろうと、高く掲げた剣を振り下ろしてきた。


「ちっくしょうー!」


 敗北を確信し、声を荒げたその瞬間


「なに!?」


 今にも壊れそうだった障壁が元に、いや、これまで以上に色が濃くそして大きくなった。


「なんだいそれは!?」


 障壁に押され、距離が離れたディスパールが声を上げている。だが俺にも何が何だか……って、ん? ふと体に違和感を感じ、息を深く吐いて乱れていた呼吸を整える。


「あぁ」


 障壁がより強力になった理由が分かった。俺の魔力が増えているのだ、それも現在進行形で。


「よし……」


 きっと何かのスキルを手に入れたのだろう。力の入らない左腕と両足に魔力を集めて纏わせ、魔力を操作することによって身体を起き上がさせる。普段は見ることのできない魔力だが、かなりの量を一部に集めたからか薄らと光り、今は見ることができる。


「クソッ! クソッ!」


 ディスパールが障壁を壊そうと必死の形相で障壁を斬りつけてくるが全て弾かれている。そんなディスパールに背を向け、俺は結界に目を向けた。


「何を……何をするつもりだぁ!」

「お前の結界を壊す」


 この男にやられっぱなしで悔しいし、やり返したい気持ちもある。だが今は確実に脱出できる方法をとらさせてもらう。

 そして俺は手に持っている刀に今あるだけの魔力を流し出す。


「グッ!」


 いきなり増えた魔力に身体が耐えられないのか、これまで負った傷とは別の痛みが身体を襲う。その痛みを歯を食いしばって我慢し、纏わせた魔力で左腕を補助して刀を上段に構える。そして


「やめろー!!!」

「これで終わりだー!!!」


 後ろで障壁を壊そうと必死になっているディスパールを無視し、刀を障壁と結界が接触している部分へと思いっきり叩きつけた。すると結界がビリビリと大きく震え、強力な衝撃波が発生した。

 しかし衝撃波が発生するほどの魔力を叩きつけたにもかかわらず、結界はまだ耐えている。だが、

「ピシッ、ピシッ!」という音があちこちから聞こえてきだした。もう少しだ……


「あああぁぁぁぁ゛ぁ゛!!!」


 最後の力を振り絞ってさらに前へと力を加えた。そして遂に「パリン……」という音が響き、目の前が真っ白になった。



           ☆           



「クソッ!」


 空間の歪みを見つけ結界の場所は分かったのだがかなり固く、外から壊すのは難しそうだ。もう一度結界に攻撃を加えようすると


「うおっ!」


 小さく空気が震えて歪みがあった場所に一目見ただけで満身創痍と分かる優臣と見知らぬ男が現れた。


「優臣!」

「はぁはぁ……レオン……やってやったぜ……」

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