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侵入

「心配してた」


 他の班と別れ目的地に向かっている途中、シルティが声をかけてきた。


「ん? あぁ、エラたちのこと?」

「そう」

「最初は少し避けられたりもしてたのになぁ」

「うっ!」

 

 恭也の一言で俺のガラスの心にヒビが入る。今では二人とも俺のことを兄と慕ってくれている(はず)だし、俺も彼女たちを妹のように可愛がっている。

 しかし最初の一週間はとくに、人懐っこいアリスはまだしも、エラには無意識ではあるだろうがちょっとしたことで避けられたりした。彼女たちの置かれていた状況を考えると分かるが、ひそかにダメージを受けたものだ。

 今ではその光景を思い出しただけでも泣けてくる。


「そろそろ着くから準備しろ」


 どうやら目的地が近づいてきたようである。レオンのその声に俺はマジックボックスに入っている装備を、他の皆は指輪に魔力を流して装備する。

 ……やっぱりその指輪欲しいなぁ。今の俺では手が出せない値段であるが、少しお金に余裕ができたらすぐにでも買いたいものだ。




 準備を整えて到着した目的地は、街から少し外れた林の中にある大きな屋敷であった。そして俺たちは現在、作戦通りに屋敷の裏側から少し離されて埋められていた隠し通路の出口の前で待機している。


「時間だ」


 レオンはそう呟くと同時に、魔報にて別の班に合図を送った。すると「キンッ!」という音を立てて大きな屋敷を、さらにはこの出口を包むように包むように結界が張られ、屋敷の正面側から土煙が上がるのが見えた。


「行くぞ」


 屋敷の中から怒声が聞こえ、反対側が騒がしくなってきたのを確認してからレオンを先頭に隠し通路から屋敷へと侵入した。




「こっちからも侵入者が!」

「いったいどこから入ってきやがった!?」

「邪魔だ道を開けろ!」


 正面から来た敵の一人を壁へと蹴り飛ばしたレオンの横を抜けて続いて来た敵に刀を振るうが、防具に「ガッ」という音を立てて防がれてしまう。

 しかしそこにすぐさまシルティの追撃が入り、後ろにて魔法を放とうとしていた仲間のところまで吹き飛び、団子になったところをテオが風魔法を撃ちこみ壁へぶつけて動きを封じた。

 助かった……それにしてもさっきから全然攻撃が通らないな。これで防がれたのは三度目だぞ? 刀はきちんと整備しているし魔力も問題ないから敵の防具が堅いのか?


「先に進むぞ」


 魔術具にて敵を素早く拘束して床へと転がし先に進む。

 ちらりと窓から外を見ると他の班が戦っているのが見えた。ざっと敵を数えたところ屋敷の中にまだ敵はいそうな感じである。


「この階段を上がってまっすぐの部屋のはずだ」


 レオンの言葉にさらに気を引き締める。敵の親玉がもうすぐのところにいるのだ、エラたちが安心して過ごせるようになるためにも絶対にここで捕らえなければ。

 そんな思いを抱きながら三階へと足を踏み入れた瞬間、


「えっ」


 俺の視界を真っ黒な何かが覆った。すぐに視界が晴れ目に光景が映ったのだが


「どこだここ……」


 これまでの薄暗い屋敷の光景とは打って変わり、明るく真っ白な部屋へと変わっていた。しかし明るいにも関わらず、正面にポツンとドアが一つしかない、この箱のような部屋には何とも言えない不気味な雰囲気が漂っている。

 どうするべきか考えようとしたところにレオンから魔報に連絡が入った。


「優臣! どこに行きやがった!」

「分からない! ただ屋敷とは雰囲気が違うところにいる!」

「お前の後ろにいたメアが言うには、目の前でお前だけ何かに吸い込まれるようにその場から消えていったらしい! 現にお前以外のメンバーはここにいる」

「どうすればいい!?」

「多分結界に閉じ込められたんだろう。まず聞いておくがドッペルじゃないな?」

「予告がなかったし何よりドッペルが目の前にいないから違うと思う!」

「じゃあとりあえず出口を探せ。こっちはこっちで結界を探し当てて外から破か――」


 レオンが喋っている途中で「ブツッ!」という音とともに魔報が途切れた。初めてのことに少し不安になるがここで立ち止まっていても解決するとは思えない。

 目の前のドアをくぐるか……

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