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不安

「そらそらそらぁ!!」

「ヤバいヤバいヤバいぃ!?」


 テオからの横やりに一瞬気をとられた隙に、魔法で牽制していたレオンが距離を詰めて右に左にと猛攻を仕掛けてきた。それを魔法陣に頼らず、自分の意志によって魔力で強化した刀で防ぎきる。

 そして


「あっ、レオン! そこから――」


 俺の視界に捉えていた、テオと対峙している師匠がこちらをチラリと見ると同時に魔法を発動したため、強引ではあったがレオンの行動を制限するために強力な一撃を叩き込もうとする。

 テオが師匠の動きをレオンに伝えようとしたがもう遅い。俺が正面から魔法を放ち、それを相殺するためにレオンが遅れて魔法を発動させる。その僅かな隙をついて上から刀で斬りつける。

 すぐに防ぎきれない且つ、俺の攻撃が大振りであるため避けるのがベストだと判断したのだろう。レオンは左に体をずらし避ける。そして大振りの攻撃を外して大きな隙を見せている俺に反撃しようとしてきた。が、


「ぐっ!?」


 そこに師匠の魔法が刺さる。吹っ飛ぶまではいかなかったがその場にレオンは膝をついた。すぐに立ち上がろうとするレオンの首筋に俺は刀を当てた。


「くっ……」

「ここまでじゃな」

「ふぅ……」

「ごめんレオン! 途中から押されちゃって間に合わなっかたよ」

「気にすんな。……ちっ、ジジイがいるとはいえ負けたか」

「やっぱりシュヴェルトさんは強いね」

「流石にお主らの得意武器ならまだしも刀での勝負に負けるわけにはいかんからの。それと優臣、今のは良い動きだったぞ」

「ありがとうございます!」


 なかなか褒めることのない師匠に褒められて嬉しくなった俺は、思わず少し大きな声で返事をしてしまう。いやぁ、やっぱり人に褒められるって気分が――


「これでやっとスタートラインに立ったかの」

「えっ?」


 すたーとらいん? なにそれ?


「ん? どうした?」

「スタートラインですか?」

「? 当然じゃ。そもそもお主はこの前まで素人じゃったろう? ずっと鍛錬してきている奴らにそんな一ヶ月やそこいらで追いつけるわけなかろう」

「今のだってジジイがテオと戦いながらちょくちょくこっちを牽制してたから勝てたんだぞ。お前もそれなりに頑張っていたが」

「そうだったのか……」


 俺はレオンとの戦いに集中していて確かにあのタイミングでしか師匠を見ることはなかった。


「まぁまぁ。スタートラインに立ったのなら良いんじゃないかな? 優臣はどんどん吸収するからすぐ強くなると思うよ」

「ありがとう、テオ。君だけが俺の癒しだよ」

「確かにお主の根性と成長速度は目を見張るものがあるがのう」

「俺はどんどん強くならないといけませんから」


 これからできるであろう大切なものを守るために、そしてドッペルに勝つために。


「そうじゃの。さて、キリが良いしここで鍛錬は終わるか」

「そうだな。優臣、家に帰ってもいいが夕方に連絡があるからそれまでにはギルドに戻ってこいよ」

「? 分かった」


 訓練場から出ていこうとしたらレオンから声をかけられた。またギルドに来ないといけないのは面倒だが、まだ昼前で時間がたっぷりあるため俺は家に帰ることにするのだった。



           ☆           



 そして夕方に今度はメアやエラたちと一緒にエルピリアへとやって来た。


「メア、エラとアリスを借りてもいいか?」


 椅子に座ってレオンからの連絡を待っているとあいがやって来た。


「あら、あい。私は別にいいけれどどうしたの?」

「ちょっと用があってな? お前らもいいか?」

「はい」「うん!」


 あいに連れられてエラとアリスは奥の部屋へと入っていった。そしてそれと入れ替わるようにレオンが二階の正面に現れ、魔道具で何らかの結界を発動させた。


「お前ら静かにして聞け! さて五日前に連絡がいっていると思うが明日の夜に馬鹿貴族の屋敷に攻め入ることになっている」


 えっ、俺のところにはきてないんだけど。


「それでできるだけ予定を開けておくように言ったが無理だった奴は壁際に寄れ」


 その言葉に数人が壁際へと移動した。


「あぁ、フィーナたちはあらかじめ聞いている。依頼の内容からもお前たちがベストだろうしな。てことは想定しておいたメンバーを動かせるな。今から名前を呼ぶ奴は俺の下に来い」


 いったい何が起こっているのだろうか? 分からなくて思わず周りを見るが情報は何も得られない。


「――、恭也、テオ、シルティ、メア、優臣。以上だ、呼ばれなかった奴は帰っていいぞ」


 えっ、俺の名前が呼ばれたんだけど……とりあえず言われたとおりにレオンの下に移動する。




「明日はこれでいくぞ」


 下に降りてきたレオンが明日の作戦の内容について詳しく説明をした。途中で出た意見によって所々変更はあったがほとんどはレオンが考えた案で行くことになった。


「じゃあ解散だ。後は各自の班でさらに詳しく作戦を立ててくれ」


「なぁレオン、俺は連絡を受け取ってないんだけど」


 さっきの場で聞けなかったことをレオンに聞く。そう、五日前に連絡があったようだが俺はそんなことを全く知らない。もしかして魔報になにか不具合があったんじゃないだろうか?


「あぁ、お前には送らなかったからな」

「なんで!?」

「お前にあらかじめ言っておいたら鍛錬に集中できないと思ったからだ。それにもし明日お前に何か用事が入っていたとしても必ず参加させるつもりだったからな」

「どういうこと?」

「明日攻め入るのはロデスという名の馬鹿貴族の屋敷だ。こいつは違法に奴隷を買っている奴なんだ、主に年端のいかない少女のな。……ここまで言ったら何か思いつくんじゃないか?」

「まさかエラとアリスの――!」

「そうだ、正確には金貸しの親玉がこいつというわけだ。っと、落ち着け優臣」


 ……どうやら顔に出ていたようだ。


「やっぱり先に話しておいたら無駄に力が入ることになっていたかもな。流石俺だな」


 レオンの言うことを否定できないのが悔しいところである。確かに今の話を先に聞いていたら今日までのように鍛錬に集中できなかっただろう。


「それで明日俺たちの班はロデスを捕らえに行くわけだが……他の班が大半を引きつけている間に俺たちは屋敷に侵入しこいつのところに一直線に向かうだけの簡単な話だ」

「一直線にって場所は分かってるのかしら?」

「当たり前だ」

「そう、それなら良いわ」

「なにか質問はあるか?」

「ない」

「あぁ、大丈夫だ」

「私も大丈夫よ」

「優臣は?」

「大丈夫だ」

「じゃあ明日の夜、遅れるなよ」




 家に着き、明日のために早めに寝ようと電気を消そうとすると部屋がノックされた。


「私です」


 どうやらエラのようだ。


「どうしたの?」

「あの……少しお話良いですか?」

「もちろん」


 入室を許可するとエラとアリスが今にも泣きそうな表情を浮かべて部屋に入って来た。


「えっ!? 何があったの!?」

「お兄さん、明日危ない仕事をするって本当ですか?」

「……」

「あいさんから話を聞きました。明日私たち家族をめちゃくちゃにした貴族のところに行くと」

「……」

「お願いですお兄さん! 明日――」

「明日そんな仕事に行っちゃやだぁ!」


 エラの話をさえぎってアリスが泣きながら抱きついてきた。


「お兄ちゃんいなくならないでぇ……また私とお姉ちゃんだけにしないでぇ……」

「お願いですお兄さん……」


 エラも涙目になりながらお願いをしてきた。


「……メアには話したの?」

「はい、メアさんにも言いました。ただメアさんはそれは無理だと、それどころかお兄さんは絶対に連れて行くと言っていました」

「そうか……俺もメアと同じだ。明日は絶対行かなきゃいけないと思うんだ」

「お兄ちゃんなんで!?」

「なんでですかお兄さん!? もし私たち姉妹のためと言うなら――」

「確かに君たちのためでもある。それは間違いない。でも他にも理由があるんだ。俺は異人だ、だから対人での戦いというのはどうしても抵抗がある」

「だったら――」

「だから明日は絶対に行かなきゃならないんだ、少しでも慣れるために」

「そんな……」


 エラは涙をぽろぽろと流し、アリスは大声で泣き始めた。

 彼女たちを不安にさせるのは心が痛む。だがそれでも行かなきゃいけないのだ。胸を張って彼女たちの保護者となるためにも、そしてなによりも経験を積んでドッペルに勝って生き残るために。


「俺は明日の作戦に必ず参加する、そして必ず君たちのもとに帰ってくる。これを約束するのは駄目かな?」

「……本当に?」

「あぁ」

「……絶対ですか?」

「もちろん」

「「うわーん!!」」


 断言した途端さらに大声で泣き出してしまった。えぇ、どうしよう!?




「すぅー……すぅー……」


 しばらくして両脇から寝息が聞こえてきた。泣き疲れたのだろう。


「大丈夫だったかしら?」

「メア」


 見ればドアのところにメアが立っている。


「明日大丈夫でしょうね?」

「もちろん。……そういえば俺を絶対連れていくと言ってたらしいね」

「当たり前でしょ、あなたにはパートナーとして強くなってもらわないと。契約にもあるようにね」

「なるほど……それはそうと彼女らを連れて行くのを手伝ってくれない?」

「……今日ぐらいは一緒に寝てあげても良いと思うわよ?」

「そう?」

「そうよ、ほら明りを消してあげなさい」

「分かったよ、おやすみ」

「えぇ」



           ☆           



 そして再び夜がやって来た。


「大丈夫かの優臣?」

「ありがとうクロ。緊張はするけど大丈夫だよ」

「そうか。そうじゃ、これを持っていけ」


 クロから何かを渡された。見ればお守りのようだ。


「これは?」

「お守りじゃな。この世界で一番効果があるものじゃぞ」

「ふふ、そりゃどうも」

「お兄ちゃん、お姉ちゃん」

「ん?」


 見ればエラとアリスが立っている。


「これ!」

「今日急いで作ったから不格好だけど持っていってください!」


 見れば彼女たちも手作りのお守りを持っている。


「あら、ありがとうね」

「ありがとう」


「絶対! 無事に帰ってきてください!」

「もちろん」

「お前ら準備はできてるな」

「レオン」


 話しているとレオンがやって来た。


「うん、ばっちりだよ」

「第二班大丈夫だ」

「第三班もいけるわ」

「そうか、じゃあ行くぞ。作戦通りにな」

「分かった」「分かったわ」

「じゃあエラ、アリス。良い子にしてるんだよ」

「お兄ちゃん、お姉ちゃん! 必ず帰ってきてくださいね!」

「もちろん」

「任せなさい」

いろいろとやっていたらすっかり遅くなってしまいました。ストーリーは最後まで大まかに考えてあるんですがね……

このままだといつ完結することになるのやら。自分の考えを入力してくれる機械でもあればありがたいのにと思いましたね。

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