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魔力適応による病

「そらぁ!」


 刀を横に薙いでコボルトを斬る。魔力を纏った刀はコボルトの首を捉え、首をはねた。


「ふう」


 戦闘を終え、刀を鞘に戻す。


「お疲れさま!」


 近くでそれぞれ別の戦闘をしていたテオ、クロ、シルティがやってきた。俺が一体倒している間にテオたちはそれぞれ三体以上倒している。


「優臣はどんどん動きがよくなっていくね、成長が短期間で目に見えて分かるなんて凄いよ」


 シルティの歓迎パーティーを終えた次の日から鍛錬と両立できる依頼を受けている。稼ぎは良いとは言えないが貰えるものは貰っておきたい。


「確かに目を見張るものがあるの。我が見てきた限りその早さはトップレベルに入るんじゃないかの? 我は嬉しいぞ」


 クロの関心したといった言葉ではなく嬉しいという言葉に少し違和感を感じたが、まあ気にするほどでもないか。それより


「クロはそんなに異人を見てきたんだ?」


 さらに気になったことを聞いてみる。この世界に異人はあまりいない、その成長をクロの歳でいくつも見てきたとなるとかなりすごいことなのではないだろうか?


「うむ、一応情報屋をしておるからな。異人の情報をいち早く入手することができるのじゃ」

「へー、クロはいろんなことを知っててすごいな」

「そうじゃろ?」

「すごいと言えばシルティ、君もすごい強さだね」

「ありがとう、強くなるために頑張ってるからそう言われるのは嬉しい」


 テオが褒め、シルティが少し照れながら言った。

 このシルティという女の子、数日一緒にいてみて分かったが感情の起伏が少なくあまり顔に出ない。ただ今みたいにふと感情を出すことがあり、それが非常に可愛らしいように思う。……あと胸がでかくてつい目を奪われてしまうことが。


「じゃあ依頼も終わったしギルドに帰ろうか」




「この後みんなはどうするのかな?」


 帰り道、テオがそのように聞いてきた。


「我はとくに何もすることがないからのんびりじゃな」

「私も」

「俺は蓮ニさんのところに報告しに行ってそのあと食材の買い出しだな」


 蓮二さんにまだ詳しく俺のドッペルのことを話していなかったのでそれを済ませ、そのあと市場に行って食材を買いに行くのだ。

 これまでギルドで食べていたがせっかく住んでいる家に立派なキッチンがあるのだ、使わないのはもったいない……というのもあるがどちらかというとお金が少なくなってきたため少しでも安く済ませるためである。


「そっか。じゃあクロとシルティ、一緒に甘いもの食べに行かないかい? 今キャンペーンやってるところがあるんだ」

「なに、甘いものじゃと! 我は行くぞ!」

「私も行く」

「優臣はまた今度一緒に行こうね」

「残念だけど仕方ないよ、また誘ってね」


 ちくしょー!! 俺も行きたかった! 何が悲しくて他のことを優先しなくちゃいけないんだよ、俺も一緒に行ってテオを含む三人の美少女と食べたかった! 食べる姿なんて絶対可愛いって分かってるのに!

 ただテオが「また一緒に行こうね」と言ってくれたし今日は我慢するか。……本当に残念だ。



           ☆           



「そこで意識を失ったって感じですね」

「なるほど……」


 テオたちと別れた後、魔研異人支部へと向かった。そこでは蓮二さんが表にて「まだかな、まだかな」といった様子で立っていた。


「改めて聞いても不思議なことばかりだね。ただ前回より詳しく聞くことができたから今はそれで満足かな。この情報代は価値が決まってから払うってことでいいかな?」

「お金もらえるんですか?」

「もちろんさ、いつどこでも情報は大事だからね。ただドッペルの情報は必要としている人が少ないからあまり期待はしないでくれよ?」

「もらえると思ってなかったのでもらえるだけで儲けものですよ」


「じゃあ失礼します」

「こっちこそありがとね。……あっ、ちょっと待った。優臣君こっちの世界に来てからそろそろ三週間だっけ?」

「そうですね」

「じゃあそろそろ体調を崩すだろうから気持ちの準備をしておいた方がいいよ」

「はあ……? ありがとうございます」




「これを三つください」

「まいど」


 魔研異人支部を後にした俺は、市場にて肉を三つといろいろな野菜を買った。今買ったこの肉であるが、他の肉と比べて美味しさは劣っていないのにも関わらず値段が安い。理由は単純明快、この肉には甲殻が付いているのだがこれが非常にはずしづらいのだ。ここ最近はイライラしながらこれと格闘している。

 外すにはコツがあるそうだが、それを習得するには時間がかかるらしい。なんか簡単に外せるようになるスキルとかないのかな?


 今日の夕飯の食材を一通り買い終え、帰路に就こうとすると並べられた真っ赤な林檎が目に入った。

 ……そういえば蓮二さんがそろそろ体調を崩すといやに確信めいた口調で言っていたな、一応買っておこうかな。


「これ一つください」

「あいよ!」



           ☆           



「めっちゃ体がだるいし痛い……」


 朝起きると体調がすぐれなかったため、熱を測ってみると三十八度ちょいあった。……蓮二さんの言った通り体調を崩したけど、あの人何か知ってたのかな?

 そう思い、連絡すると


「それは身体に魔力が急激に適応しようとして起こる症状だね。薬とかはないから安静にしていることだ」


 と返事が返ってきた。薬ないのか、辛いなあ。


「とりあえず優臣は今日は休んでなさい。私がなにか食べられるもの作ってきてあげる」

「でもメア、家事はできないって」

「まあまあ任せなさいって」


「じゃーん、どう?」


 部屋から出てしばらくしてからメアが部屋に朝食を持って戻ってきた。


「ありが……」


 皿を見ると赤くドロドロとした何かが入っている。……ナニコレ?


「メア、コレハナニ?」

「雑炊よ、作り方が分からなかったけど頑張ったわ」

「そう……ありがとね。……あとは大丈夫だから一人にしてもらえるかな」

「分かったわ、何か困ったことがあったら連絡してね」


 そう言ってメアは部屋を出ていった。

 さて、メアはこれを雑炊といっていたな……絶対違うだろ!? なんで雑炊がこんなに赤いの!? いったい何を入れたんだ、見た目でおかしいなとか思わなかったのかよ! というか味見してないだろ! これもう雑炊じゃなくてゾウスイという名の新しい料理だろ!

 さっきから湯気で目が痛いが料理をまったくしたことのないメアが作ってくれたのだ、食べないわけにはいくまい。


「……」


 ええい! ままよ!


 スプーンですくって食べる。なるほど……この一口で様々な味を楽しむことができるのか、甘さ、しょっぱさ、すっぱさ、そしてメインを張っている辛さ……


「うっ!」


 危ない危ない! 気を失いかけたぞ!

 一口食べてみて分かった、これは兵器である。調味料や他にもいろいろ、主に辛い物をぶち込んだのであろう。確かに風邪には汗をかくのがいいとは言うが、これはやりすぎであるしそもそも俺は風邪ではない。

 ちらっと皿を見るとまだまだ中身は残っている。


「……」


 食べ切れる気がしないが頑張って作ってくれたメアを残して悲しませるわけにはいかない。

 って、あれ? さっきよりなんか体調が悪くなってきてる気がするぞ? それにめまいもしてきたし……


「……レオンに連絡しておくか」


 これを全部食べたとき、俺はどうなっているか分からない。メアには悪いがせめて保険をかけさせてもらうおう。

 さて気を失うまでの時間が近づいてきてる気がするし、短い時間でレオンにどのように簡潔に伝えるか……

 回らない頭を必死に使って考えた文章は


「今、家。助けて、とどめさされそう。メアには何も言うな」


 となった。

 完璧だな! さあ、食べるか!

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