表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/124

メアという人物

「で、そのうちの一つがここだな」


 目の前には円い広場が広がっており中心には噴水が、そしてそれを囲むように花が咲いている。




 湖から帰ってきて寮でのんびりしていたところにあいから「暇なら出かけないか?」と魔報が送られてきたため、ギルドに向かうとメアとあいが待っていた。


「お前らまだこの街を見きれていないだろ? だから案内しようと思ってな」


 とのことらしい。助かるので俺もメアもお願いした。



 そして今いる場所であるがここは待ち合わせなどでよく使われる場所の一つのようである。


「ここは季節ごとにいろいろな花が咲いて綺麗なんだよ。あとはよくカップルが……」


 なにかを言いかけてあいが魔報を弄りだした。


「ごめん、ちょっと用事ができて向かわないといけない場所ができたから行ってもいいか? 近くだしすぐ終わると思うから」

「別にいいわよ」

「ああ、焦らなくてもいいから。俺たちはそこのベンチに座って待ってるよ」

「ありがとな」


 そう言ってあいは広場から出ていった。


「あいってば意外と優しいわよね。最初は女子なのにオレとか言うから怖いのかと思ってたけど、まったくそんなことはなかったわ」

「確かに最初は言葉遣いにイメージを引っ張られるけど一緒にいるうちに普通にいいやつって気付くよな」

「そうよねそうよね! あと可愛いところがあってこの前……」


 かの会話からどんどん膨らんでいき、他のエルピリアのメンバーへと対象が移っていった。


「そういえば私たちと近い歳でメンバーがもう少しいるらしいけどどんな人たちなのかしらね?」

「うーん……ちょくちょく話に聞く感じだと――」

「やっと見つけましたわ、お姉さま!」

「あっ」


 まだ会っていないメンバーについて考えていると前にいつの間にか可愛らしい女の子が立っていた。

 ん? 今お姉さまってこの子言ったよね? それにメアの反応といい、もしかして


「さあ帰りますわよ! そっちの男も事情を聞くのでついてきなさい」

「えっ」


 言うが早いか女の子は俺を魔法で縛りなにかを取り出した。


「ちょっと待――」



           ☆           



「有罪」

「誤解だー!」


 現在俺は牢屋に入れられている。罪はメアの誘拐ということらしい。


「何が誤解なのだ?」

「俺はメア……メノア様を召喚術で召喚した(よんだ)だけで――」


 メアと言ったら睨まれたため先程罪の説明のときに読み上げられたメノア様と言い直す。なんで様付けしなきゃいけないんだよ!


「やっぱり誘拐してるじゃないか」

「いやだから……」


 と言いかけてふと思う。俺がしたこと実は誘拐なのでは? 言われてみればそんな気がしなくも……


「どうなのだ? なにか分かったのか?」


 自分がしたことについて考え直していると高そうな服を着た男が武装した男二人を連れてやってきた。


「はっ。どうやらこの男、メノア様を召喚したらしく」

「なに、召喚しただと? ……それで契約は済んでおるのか?」

「おいお前、どうなんだ!」

「はい! 済んでます!」

「許さん」

「えっ」

「許さんと言ったのだ!」


 なんかまずいことになってきたぞ!? 


「我が娘を召喚(誘拐)しただと? それだけでは飽き足らず契約まで? どうしてくれようか!」

「お父様、お待ちください!」


 目の前の男が怒りを露わにしているとドレスを着たメアがやって来た。頭にはティアラを付けている。

 ……あれ、なんか目の前の胸に違和感が。初めて出会ったときの大きさに戻ってるんだけど? ここではまだバレていないのか。


「お父様、召喚術はお互いの合意がないと召喚されないということは知っているでしょう? それなのに誘拐というのは違うと思いませんか?」

「メノア、そうは言うがな……」


 そして父であるらしい男に俺の弁護を始めてくれた。助かるよメア! なぜか言葉遣いが召喚したときのものに戻ってるけど!


「王よ!」

「なんだ! 今は忙しいと言っておいただろうが!」

「はっ! ですが晋冶様から緊急の連絡と」

「なに、晋冶が? すぐに向かおう」


 そういうと男は牢屋の前から去っていった。ひとまず助かった……のか?


「ふう」

「ごめんなさいね優臣、必ずあなたの無罪を証明してみますから」

「ああ、ありがとう、ございます。それにしても王女だったなんて驚きました」

「隠してましたからね」


 それからメアとこれからどうやって俺の無罪を証明するのか話しているとメアの父親が戻ってきた。もう戻って来たのか!


「優臣だったか?」

「はい」

「お父様、だから――」

「もうよい。無罪だ」

「えっ?」

「無罪と言ったのだ」




「急に無罪とするなんて……いえ、それは大変喜ばしいことですが何があったのですか?」

「晋冶に言われたのだ『エルピリアのメンバーだから待ってくれないか』と。エルピリアのメンバーなら不本意だが悪いやつはいないだろう」


 助かった! 誰かは知らないけど晋冶なる人ありがとう!

 牢屋から移動して広い場所に連れてこられた。目の前の豪華な椅子にメアの父親が座っており、その横にメアとメアの妹が立っている。さらにその椅子に続く道には両脇に兵士が並んでいる。


「それでメノア、お前についてだが今すぐこの男との契約を破棄しろ」

「!? なぜです、お父様!」

「なぜもなにもない」


 なにやら俺とメアの契約を破棄するように言っているようである。


「お父様、私はこれまでお父様の言うとおりにこの国から出ずに過ごしてきました。ですが今回初めて外の世界について知りました。外の世界は不思議なことや楽しいことでいっぱいでした。知らなければお父様の言うとおりにしていましたが知ってしまったからにはそれを奪われてしまうようなことは拒否させていただきます」

「メノア!」


 メノアの父親とメノアとの間に険悪な空気が漂う。そこに


「まあ良いのではありませんの? お父様」


 メアの妹がメノアの味方をする発言をした。


「私も不思議に思っていたのです、お姉さまが外の世界に出てはいけないということに」

「カルティナ! っっ! 勝手にするがよい!」

「ありがとうございます、お父様」

「優臣! ついて参れ! 他のやつらは必要ない。各自持ち場に戻れ」

「お父様!」

「黙っておれ、害をなすようなことはせん」


 メノアの父親が椅子から立って部屋の角にあったドアを開けて入っていった。なにこれ? ついて行ったらいいのか?


「早くしろ!」

「はい!」




 中には机が一つと椅子が四つあり、その一つにメノアの父親が座る。


「前に座れ」


 言われメノアの父親の前の椅子に座る。


「この部屋には防音の魔術具があり音が外に漏れないようになっている」


 えっ、なに! やっぱり殺されるの!?


「だから本音で話せ。お前はメアについてどう思っているのだ?」

「メノア様に――」

「ここではメアでよい、そう呼んでいるのだろ? 気楽に話せ」

「メアについてですが大切な仲間の一人と思っています」

「好きという気持ちはないのか?」

「はい?」

「聞き方が悪かったか、愛しているという気持ちはないのか?」


 なに言ってんだ、このおっさん?


「ないですけど」

「そうか、ならよい」


 満足そうな顔をして頷くメア父。なんだこの状況は?


「メアは外の世界を知ってしまった、お前のせいでな。そしてお前も聞いていたように外の世界へ行くことを選んでしまった。だからお前には責任をとってもらう」

「えっ?」


 責任ってなんだ、恐いんだけど!?


「メアには時を止める魔法がかけてあるがそのことをあの子は知らない。これはあの子の中のドッペルを抑えるためのものなのだ」


 メア父によるとメアは幼い頃にドッペルと闘ったらしい。だが幼さゆえ吸血鬼としてのドッペルとの闘い方を完全に把握していなかったメアはドッペルを吸血、吸収してしまったらしい。その結果完全に倒すことはできず、今もメアの中に存在しているということだ。


「だからあの子は年齢の割に少し幼く見えるのだ」

「なるほど……でもそれだけなら魔法をかける必要性を感じなかったのですが」


 中で存在しているだけなら襲われもしないし何も問題ないように思うが……


「あの子は一度幼いときにドッペルの力を暴走させているのだ、メア自身はそれを覚えていないようだがな」


 メア父が服を捲り上げると鍛え上げられた腹が現れ、そこに三本の痛々しい傷跡があった。


「メアのドッペルは初めから強大すぎたのだ。だから我はあの子に魔法をかけたのだが強大さゆえに完全に止めることが出来ず、時の進みを遅らせる程度に止まったのだ。我の魔法でも抑えきれぬそのドッペルがメアの身体を乗っ取ろうとしていることは、あの子の髪の色が金から銀へと徐々に変わっていったことからも明白であろう。今のあの子の中のドッペルは我が対峙した時とは比べものにならないほどに強大になっているだろうな」


 はあ……とため息をつくメア父。


「幼い頃からであったがドッペルがいつ暴走するか分からない、暴走するにしてもこの国の中でなら我がすぐに力ずくで抑え込むことが出来る。だから外の世界に出さなかったのだ! それを!」


 なにかを決意した顔でこちらを見るメア父。


「王として国に甚大な被害をもたらす恐れのあるメアは殺しておくべきなのだろう。だが可愛い我が娘を殺したいと思う父親がどこにおろうか。それなのにあの子は外の世界に行くことを選んだ。……優臣、エルピリア所属なら魔報は必ず持っているはずであろう、出せ」

「は、はい」


 メア父に俺の魔報を渡すと何やらいじり始めた。そしてすぐに終わったのかこっちに返してきた。


「これに我の個人的な魔報を組み込んだ、確認しろ」


 見ると新たにダンケルハイトという名前があった。


「今から大事なことをいうからよく聞け。メアが暴走しそうな兆候、もしくは暴走したらすぐに連絡をよこせ。すぐであれば抑えることができるであろう。だが抑え込むのが無理だと判断、もしくはドッペルが完全にメアを乗っ取ったなら我はメアを殺す」

「待ってくだ――!」

「我にこのような決意をさせたのはお前たちだ! 我は王だ、自分の国の不始末は片づけなければなるまい! だが……だが先にも言ったが我はメアを殺したくはないのだ、王として間違っているかもしれぬがメアは大事な娘の一人なのだから。だからお前は契約者として責任をとれ、我にメアを殺させるようなことをさせないでくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ