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不思議な少女

「お主、大丈夫か?」


 という声とともに屋根の上から長く白い髪に黒い蝶の髪飾りをつけた女の子が、スナイパーライフルを背負っているにも関わらず髪を揺らしながらふわりと飛び降りてきた。

 そんな可憐な彼女は黒の着物を着て、スカートを履いているのだがその丈が短く肩と脚の大胆に露出させている。

 ……まあ異世界だしそういうものもあるのかな? ただあの格好だと袖が邪魔して腕を動かし辛そうに見えるけど。


「ありがとう、助かったよ」

「よいよい。しかし赤の他人を命を懸けて助けようとするなんてお主、バカだのう」


 お礼を言うといきなりバカと言われてしまった。まさか出会ってすぐの女の子にバカ呼ばわりされるとは誰が思うだろうか。


「ナイフをもってると思わなかったんだよ。ボコボコにされるかなとは思ったけどまさか命を懸けることになるとは……」


 それにこの子は俺をバカと言うが


「それを言うなら君だってそうだろ? 俺と君だって赤の他人じゃないか、そこの女性とも知り合いじゃないようだし」


 そう言うと女の子は着物の袖で口元を隠し、「ふふふ」と笑った。


「我が赤の他人を助けるようなやつに見えるか? 面白いやつじゃの。まぁ良い、我はまずこの男たちを警察に届けてからそこの女を安全な場所へ送る。お主も迷子になる前に戻ったらどうじゃ?」


 と女の子が縄で男たちを巻き上げながら言う。だが女の子二人じゃ危ないだろう。


「いや、俺も一緒に――」

「我一人で十分じゃ、お主がいると守る対象が増えて大変じゃからの」


 今度は暗に邪魔と言われてしまった。言い返したいが彼女の動きを見る限りその通りであろうから何も言えない。


「……じゃあそうさせてもらうよ、助けてくれてありがとね」

「気にするでない、またな()()




「はあ……」


 現在ギルドに一応報告するため来た道を戻っている。あの後、別れる直前に女の人からお礼を言われたが、結局俺は何もできなかった。あの少女は不意を突いたとはいえ男二人を見事に対処してみせた。


「はあ……」


 またため息が漏れる。まだ鍛錬を開始して僅かなのにそれだけで強くなったと思って、自信過剰になっていたのだろうか? 武器もなく魔法もまだ使えないのに。あそこで助けがなければ死んでいたかもしれない、そう考えるとぞっとする。強くならないといけないな。

 そう考えたところでふと、疑問に浮かんだ。


「そういえばあの子はなぜ俺の名前を知っていたんだ?」


 俺はあの子に名乗った覚えは一度もない。


「どういうことだ? ……まぁ今はそんなことより安全な場所に移動するか」


 気になったがまずは自分の安全を確保するため、ギルドに向けて再び歩みを進めるのであった。




「疲れた……」


思っていたより奥に入り込んでいたらしい。ギルドに着いたときには歩き疲れて足が少し痛くなっていた。

 報告する必要があるか分からないがとりあえずレオンに話しておくか。


「あい、レオンいる?」


 受け付けにいるあいにレオンがいるか尋ねる。


「レオンは今ちょっと無理だな、オレが伝えておこうか?」

「じゃあお願いしようかな」




「ということがあったんだよ」

「お前危なかったなあ、なにやってんだよ」


 そう言いながらあいに呆れた顔をされる。


「まさか武器をもってるとは思わなくて」

「元の世界とは違うんだから気をつけろよ……それにしても『我』と話す女の子か、そいつ白髪で黒い着物着てなかったか?」

「なんで分かったの? 知り合い?」

「そりゃあよく知ってるぜ、そいつは――」

「クロじゃ、よろしくな優臣」

「「うわっ!?」」


 横から急に声が聞こえ、振り向くと先程助けてもらった少女がいた。


「帰ってきて早々びっくりさせるなよクロ。それで優臣、こいつか? 今話してたのは?」

「そうそう、あらためて助けてくれてありがとね」

「さっきも言ったが気にするでない」

「それにしてもそういうことか~。同じギルドに所属していたから名前を俺の名前を知ってたし、赤の他人じゃないっていったんだね」


 と納得しかけたのだが


「我はエルピリアに所属しておらぬぞ」

「えっ」


 また振り出しに戻った。訳が分からなくなってきたぞ……


「こいつのことは考えてもよく分からないからやめておけ」

「そうじゃ、あまり乙女の秘密を探るでない」


 どういうことだ、と考えているとレオンがやってきた。どうやら今までクロの対応をしていたらしい。


「そういえば聞き忘れていたが、今回クロはどのくらいギルドにいるつもりなんだ?」

「うん? そうじゃな、詳しくは分からんがしばらく世話になるつもりじゃ」

「了解了解。それで優臣、報酬は受け取ったのか?」

「あっ、忘れた」

「カウンターで受け取れるから行って来い。あとメアにも連絡しておいてくれ」

「了解」


 レオンはもう少しギルマスとしての仕事があるとかで奥に、そしてあいは報酬の準備のため受付にそれぞれ戻っていった。俺はというと魔報でメアに報酬の話をし、メアが今から寮にやってくると言ったためそれまでクロと話して待つことにした。

 そしてメアがギルドにやってきたのだが


「なんじゃと!?」


 メアを見るなりクロが驚いた声を上げた。


「? どうしたの?」

「ああ、いや……そう! 彼女のあまりの美少女っぷりに少し驚いてしまってな!」

「ふーん」


 クロもメアに劣らずかなり可愛いと思うのだが。自分が美少女であっても相手の可愛さに驚くものなのだろうか? それに少し誤魔化したように感じたが。まあ細かいことはいいか。


「あれ優臣、その子は? 私はメア、よろしくね」

「我はクロじゃ、よろしくな」


 メアとクロが軽く挨拶をしてから、報酬を貰いにカウンターてへ向かった。さぁ、報酬はいくらかな?



           ☆           



「これ美味しいね」

「ミラ姉の弟子が作ってるからな、そりゃ当然さ。なぁサナ?」

「私もこれぐらい作れる」


 報酬を受け取った後、夕食の時間にはまだ早かったのでギルドでレオンたちと暇をつぶしていた。ちなみに報酬は俺とメアそれぞれ銅貨一枚であった。命の危険がある割には安く感じるのだがゴブリン程度だとこんなもののようである。

 そして夕食時になるとサナちゃんがギルドに来てみんなと一緒に食べている。そのサナちゃんであるがレオンが料理を褒めると少し拗ねたように言った。意外と負けず嫌いなのだろうか。

 こんなとりとめのない話をしていると


「俺の嫁の方が可愛いに決まってるわ!」

「いいや、俺の嫁だね!」


 大きな声で男二人が口喧嘩を始めた、見たところ片方はバーンさんでもう一人は……誰だったかな? 二十代というのは覚えているのだが。


「なんだと!」

「やんのか!」

「やってやろうじゃねえか、誰か今すぐ坊ちゃんを呼べ!」



           ☆           



「嫌だー! やめろー!」

「俺には妻と娘がいるんだ!」


 バーンさんたちに呼ばれたレオンがギルマスの部屋に行き、なにやらカラフルな箱を持ってきた。そしてその箱から何やら紙を引き、それを見るとバーンさんたちが騒ぎ始めた。


「テオ、あの箱は何なの?」

「ああ、あれはね――」


 テオの説明によると小さないざこざが起きた時、お互いが同意すればレオンがあの箱の中身を引くらしい。箱の中にはエルピリアのメンバーによって勝負方法が書かれた紙が入っているらしい。その勝負方法について過激なものは箱に入れた瞬間削除されるらしい。


「そんなものがあるんだ」

「ここ一週間はほとんどなかったからね、ちなみにレオンが帰ってくるまでは僕が引いていたんだよ」

「へー……それにしてもあの嫌がり様、何が書いてあったんだろうね?」


 そう疑問に思ったのだがすぐに解決した。


「「誰だ、ポッキーゲームと書いたのは!?」」

「ぶっ!?」


 まさかのポッキーゲームかよ!


「そんなのエロの化身である恭也以外いないだろ」

「やっぱりか!」

「それであいつはどこだ!?」

「あいつなら地下で研究してるはずだが」

「「今すぐここに呼べーー!!」」




「なんだよ、今いいところだったのに」


 ギルドメンバーの一人に連れて来られた恭也が心底面倒くさそうに言う。


「お前、勝負方法にポッキーゲームと書いただろ?」

「ああ? ああー、書いた書いた。まさかおっさんたちが?」

「そうだ! 俺は前にも言ったよな、リスクとリターンを考えろと! どう考えてもリスクの方が大きいよな!?」

「おっさん、俺はエロというリターンがあるならどんなにリスクが大きく、割に合わないと感じてもそれを受け入れよう。俺のエロ道を邪魔するのは誰であっても許さない、それがたとえ神であってもなぁ!」


 何やら恭也が熱弁している。言っている内容がエロじゃなければかっこよかったのだろうが……


「お前の価値観に俺たちを巻き込むな! 最近娘が俺にゴミを見るような目を向けてくるようになったんだ、そこにさらにこんなことをしたとばれてみろ! 俺はおしまいだ!」

「俺も妻にこんなことをしたと知られたら、相手がこんなおっさんであったとしても何をされるか!」


 バーンさんももう一人の人も大変そうだなぁ。


「それは大変だな。でもこれはギルドのルールだから仕方ないよな。まあ安心しな、もしばれたらフォローはきちんとするから」

「恭也てめー!!」

「ふざけんなよ! このゴブリンが!」

「あぁ!? 俺は不細工じゃないだろうが!」

「エロに関してはゴブリン、いやそれ以上だろ!」

「そうだそうだ! このゴブ也め!」

「言いたい放題しやがって! 戦争じゃー!」

「さっさとやれ!」

「「ちくしょーー!!」」


 口喧嘩を始めた三人にレオンが一喝し、バーンさんともう一人の男が悲鳴を上げた。可愛そうに……




 結局ポッキーゲームはあのあとすぐに行われ、周囲はかなり盛り上がっていた。やっている二人の顔はこの世の終わりみたいな顔をしていたが。その後は特に何事もなく一日が終わった。

 寮に戻ろうとするとあいが声をかけてきた。どうやら恭也とあいも寮に住んでいるらしく、少しではあるが話しながら一緒に寮へと戻ったのだった。

 さて、今日は初の実戦での鍛錬や男二人との対峙があってかなり疲れた。また明日頑張るためにもしっかりと休息をとらないとな。

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