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VSグラースの蛇

「お前ら、準備はいいな?」

「おうよ!」

「それじゃあ行くぞ!」


 レオンの『蛇』に攻め込むという宣言から二日後、予定通りに準備が進んだ俺たちは日が昇り始めた頃にギルドへと集まり、ギルドに防衛部隊を数人残して『蛇』に向けて出発した。



           ☆           



「あそこだ」

「あれが……」


 木々に隠れながら遠目に一つの建物を確認する。

 クリューンから蛇のギルドがある場所に一番近い街、クライズの敷地外に出て少し歩いたところにそれはあった。周囲に木が鬱蒼としているそれはエルピリアより大きくフランヴィーレより小さいように見える。

 前もって決めておいた部隊に分かれてそれぞれの持ち場へと移動しており、レオンや恭也といったいつものメンバーは正面からである。


「それでどう突入するの?」


 こっそり近づくのか、それとも派手にいくのかをレオンに問う。


「今回は派手にいく」

「その心は?」


 安全に行くなら当然不意打ち一択である。それなのにわざわざ相手に俺たちの存在を知らせるのだ。何か考えがあるのだろう。


「いいか? 俺たちは人数が少ないから他のギルドと争いたくはない。だから対立しないように気を付けている」

「そうだね」

「だがそうもいかないギルドもあるが攻めてきたことはない。なぜだと思う?」

「うーん……」

「それはエルピリア(俺たち)が強いからだ、少人数であってもな。でも今回『蛇』の奴らは攻め込む準備をしていた。つまり俺たちをなめているということだ」

「あぁ、なるほど」

「だから正面から叩き潰す。向こうは攻め込む準備をしてたんだ、俺たちからすればもう戦いは始まってるのさ」


 つまりここで俺たちの実力を分からせてやろうという魂胆なのだろう。そして他にギルドへのけん制も兼ているはずだ。


「というわけで音は派手だが威力を抑えた魔法なり()()なりあれば助かるんだが……」


 うん? レオンの今の言葉に何か含みみたいなのを感じる。こいつは何を企んでるんだ?


「それなら俺に任せろ!」


 恭也が嬉々としてマジックボックスから小さい物体を取り出した。それってもしかして……


「これは前に開発した小型爆弾なんだけどよ、どんなものかまだ試してなかったんだ。多分威力は抑えられてるはずだし俺がやっても良いよな!?」

「おう、お前ならそう言うと思ってたぜ。一番槍を務めるなんて流石だな!」


 あっ、そういうことか! レオンの野郎、管理協会に何か問われた時に恭也を道連れにするためにさっきあえて爆弾を少し強調して言いやがったな。怖い怖い……


「じゃあやるか、そらぁ!」


 そんなレオンの思惑に気付くことなく、恭也はドアの前に爆弾を勢いよく投げた。


ドッカーーン!


「……」


 予想していた10倍もの音と衝撃が響き渡り大きな砂煙が上がる。


「おい恭也!」

「うーん、どうやら失敗したみたいだな」

「なんだなんだ!?」

「なにがあった!?」


 建物内のざわめきが大きくなり、ぶわっと砂煙が晴れた。恐らく誰かが中から魔法を使ったのだろう。見ればドアがあった場所が跡形もなく吹き飛んでいる。


「まぁ良い。これで正面が広くなって入りやすくなったんだ。さぁ行くぞ、お前ら!」


 レオンはそう言って勢いよく茂みから飛び出した。そして俺たちも遅れないようにレオンについて行く。


「あれは……『凶乱』だ! エルピリアが攻めて――!」

「邪魔だぁ!」


 ドアがあった場所に立っていた男をレオンが思いっきり蹴り飛ばした。さぁ、やってやりますか!




「くそったれがぁ!」

「優臣!」

「あいよ!」

「んっ!」


 敵の魔法を俺が障壁で防ぎ、レオンたちが反撃する。そんないつもの戦法で順調に建物内を進んでいる

俺たち。

 中は部屋がいくつもあり、地下や上の階を含めると思った以上に『蛇』のギルドは広そうだ。


「おらおらぁ! どんどん行くぞ!」


 目の前の敵をなぎ倒しながら進んでいるレオンの援護をしようとして、ふと後ろから纏わりつくような嫌な空気を感じた。パッと振り返ればどこに潜んでいたのか、何者かが放った黒い球がテオをまさに飲み込まんとしていた。


「テオ!」

「えっ、な――!?」


 急いでテオに駆け寄って障壁を展開しようとしたが間に合わず、俺はテオとともに黒い球に飲み込まれてしまったのだった。



           ☆           



「テオ!」


 優臣の大きな声に振り返った俺の目に飛び込んできたのは、黒球が優臣とテオを飲み込んで二人がその場から消えた場面だった。


「おい、何が起こった!」

「分からん、警戒は怠っていなかったのに全く気付けなかったのだ」

「私もよ」

「……そうか」


 エクスとミーナですら気付けなかったものを優臣が気付いたという点に少し驚いたが、そんなことは今は些細なことである。

 問題は弱い優臣と恭也を狙わずにテオを狙ったことにある。普通は弱い奴から倒すのに魔法を放った奴はあえてテオを狙ったのだ。ということは恐らくテオに勝つ算段があるということなのだろう。


「まずいか……?」

「レオン、どうするんだ」

「ちっ! 俺たちはこのままセビルを見つけ出して『蛇』をぶっ潰す! 行くぞ!」


 あいつらのことは心配だがテオは強い。それに恐らくテオ一人を攻撃するつもりだったであろう敵にとって予想外な存在である優臣がテオについている。なんとかなるだろう。

 そう考えた俺は再びエクスたちと敵を蹴散らしながらセビルを探し始めた。

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